ワクチン接種歴を条件に入れるな

政府は水際対策措置を見直し、「青」区分の国・地域からの帰国者・入国者(98か国指定)には、ワクチン接種の有無に関係なく、入国時検査を実施せず、入国後の自宅等待機も求めないとしている。
このことから 感染対策において、ワクチン接種歴を重要視しなくなったと理解できる。

こうした中、政府はイベントのチケット代金を割り引く「イベントワクワク割」事業を検討している。
実施開始は未定だが、コンサートやスポーツ観戦等のイベントのチケット代金を 2割引き(上限2000円)にするもの。
報道によると、「ワクチン3回接種済みの人」や「検査の陰性証明を示した人」を対象とする方針という。

だが 待ってほしい。
陰性証明には費用がかかり、2割引きされてもマイナスになる。
ワクワク割の恩恵を受けるのは ワクチン3回接種済みの人だけである。
入国時に接種歴を問わないのに、なぜワクワク割で接種歴を求めるのか。

厚労省が発表した 直近のワクチン接種歴別新規陽性者数を注目して頂きたい。
人口10万人あたりで比較して、確かに29歳未満までは未接種者の新規陽性者が多いが、それ以上の年齢では 未接種者の方が2回接種者より新規陽性者が少ない傾向にあり、更に未接種者と3回接種者と比べても さほど大きな差がないという結果になっている。
60~69歳未満に限れば、むしろ未接種者の方が3回接種者より新規陽性者数が少なくなっている。

政府が水際対策で接種歴を問わなくなったのは、こうしたエビデンスがあるから以外に考えられない。
今後の経済対策に、接種歴を問うことは もはや無意味、それでも進めるなら水際対策と整合の取れる説明が必要だ。

6月3日、最後の意見広告

昨年11月30日より 新型コロナウイルス関連情報発信センター(代表 堤猛氏)が取り組んできた新聞意見広告だが、6月3日の毎日新聞 両面掲載を最後に活動を終えるとの報告があった。

今でこそ 新型コロナウイルスに対する恐怖は収まっているが、昨年末はオミクロン株が出たばかりで マスコミも煽っている頃、新聞社に「ワクチンの副反応に注意、子どものワクチン接種に反対」という趣旨の意見広告掲載を要望するのは ある意味挑戦だった。

最初に許可してくれたのは西日本新聞、堤氏は私財を投じて掲載することができ、その後専用のホームページを立ち上げた。
すると全国の医療関係者や公務員などから 賛同する声が上がり、累計でなんと 2億6139万9490円(5月30日現在)の寄付が集まった。
その後、全国の新聞社に掲載を申し込み続け、地方紙では 48紙、全国紙では日本経済新聞から同意を得て掲載にこぎつけた。

最後まで首を縦に振らなかったのは、地方紙 6紙と 朝日・毎日・読売・産経の全国紙、会社に広告収入は入るが 政府方針に逆行する内容を掲載することで、社内で相当議論があったという。
堤氏は5月末で活動を終えることを宣言していたが、最後の最後に 全国紙の毎日新聞が同意し、掲載することが決まった。

厚労省の発表によると、5~11歳ワクチン接種率は 10.2%~11.7%(対象者700万~800万人)、コロナワクチン接種後の副反応疑い報告は29人 (うち重篤者5人・死亡者1人)となっている。
対象者の1割程度と接種率が意外に低かった一因に、新聞意見広告の影響が少なからずあったと思われ、堤氏も努力が報われたのではなかろうか。