ワクチン接種歴を条件に入れるな [2022年6月7日17:16更新]

政府は水際対策措置を見直し、「青」区分の国・地域からの帰国者・入国者(98か国指定)には、ワクチン接種の有無に関係なく、入国時検査を実施せず、入国後の自宅等待機も求めないとしている。
このことから 感染対策において、ワクチン接種歴を重要視しなくなったと理解できる。

こうした中、政府はイベントのチケット代金を割り引く「イベントワクワク割」事業を検討している。
実施開始は未定だが、コンサートやスポーツ観戦等のイベントのチケット代金を 2割引き(上限2000円)にするもの。
報道によると、「ワクチン3回接種済みの人」や「検査の陰性証明を示した人」を対象とする方針という。

だが 待ってほしい。
陰性証明には費用がかかり、2割引きされてもマイナスになる。
ワクワク割の恩恵を受けるのは ワクチン3回接種済みの人だけである。
入国時に接種歴を問わないのに、なぜワクワク割で接種歴を求めるのか。

厚労省が発表した 直近のワクチン接種歴別新規陽性者数を注目して頂きたい。
人口10万人あたりで比較して、確かに29歳未満までは未接種者の新規陽性者が多いが、それ以上の年齢では 未接種者の方が2回接種者より新規陽性者が少ない傾向にあり、更に未接種者と3回接種者と比べても さほど大きな差がないという結果になっている。
60~69歳未満に限れば、むしろ未接種者の方が3回接種者より新規陽性者数が少なくなっている。

政府が水際対策で接種歴を問わなくなったのは、こうしたエビデンスがあるから以外に考えられない。
今後の経済対策に、接種歴を問うことは もはや無意味、それでも進めるなら水際対策と整合の取れる説明が必要だ。