JR九州株主総会・今年もファーツリー社から株主提案 [2020年6月15日17:43更新]

6月23日に株主総会を迎えるJR九州、昨年自社株買いを要求し「モノ言う株主」として注目されたファーツリー社(米国)が、昨年に引き続き株主提案で「定款の一部変更」と「取締役3名の選任」を求めている。

「定款の一部変更」については、JR九州が保有する全ての居住用及び商業用不動産に係る営業純利益等の開示指標を公開するよう条文の変更を、また「取締役3名の選任」については不動産投資や資産運用等、またリスクマネジメントやガバナンス等に実績のある人物3名を社外取締役として選任することとしている。

提案理由では、低い利回りでの不動産の購入や、住宅ローン融資書類の改竄やエステート・ワン㈱(福岡市)を巡るトラブルを引き起こし、3400億円もの設備投資の詳細を説明不要としてきたのは現取締役会と厳しく指摘している。

これに対しJR九州取締役会は、株主提案が求めている開示指標を定款に定めるには不適切、また会社提案の新取締役会体制が最適として、株主提案全てに反対することを決議した。

しかし弊社が報じてきたように、JR九州住宅については前社長の松尾氏の解任理由は非公表、債務超過額が8億4500万円にも拘わらず短期貸付金に約4億円を計上しており、松尾氏の時代の不透明なお金の流れは解明されないままで、JR九州が説明責任を果たしているとは言い難い状況だ。

建設・不動産業がグループ売上の約半分を占めているところに、今後コロナが鉄道事業に深刻な影響を与えることも予想され、投資家への情報公開や資金使途の説明責任が更に求められる。

昨年の株主提案では、取締役3名の選任の議案は否決されたものの、うち2名への賛成票が4割を超えていた。
旧国鉄の体質が抜けきらないJR九州に新風が吹くか、今年の株主提案に注目が集まっている。