今から約30年前、結婚して新築アパートに引っ越すと、直ぐに新聞販売店の方がドアをノック、「地元紙だから朝刊だけでも購読してくれ」とお願いされた。
嫁は自分の一存では決められないと話すと、「是非、ご検討ください。これは取り敢えずのプレゼント」とプロ野球観戦のチケットを2枚、その上で契約してくれれば自転車か電子レンジをプレゼントする旨を伝えて帰っていった。
その夜、嫁から「電子レンジはまだ買っていない。欲しい。」との言葉。
当然、毎朝の朝刊は欲しいところで、直ぐに契約し電子レンジをゲットした。
その後も契約更新や引っ越しの際には、新聞がきれいに入る整理袋はもちろん、プロ野球チケットやサーカスチケット、自転車、フライパンなどを頂いた。
30年前のデータは不明だが、20年前の2004年では一般紙やスポーツ紙を合わせて5302万部が発行されていたが、2023年では2859万部、約半分にまで減少している。
各地域には代々家族経営の新聞販売店も多かったが、後継者不在の中で配達員を雇い、新聞社の支援もあって経営を続けられて来たが、今やそれも限りなく薄く、整理袋さえ作っていない新聞社もあるとか。
未明の時間帯でもあり人件費の高騰、バイクのガソリン代も負担増の中、購読者の減少はもちろん、スマホの発達で折り込みチラシが激減、これでは経営は困難を極めるのは当然だろう。
最近は1社だけの取り扱いをする専業店ではなく、他紙も扱う合売店にシフトしているようだが、今も年間200万部程度の減少が続いており、新聞販売店の廃業倒産は今後も続くものと思われる。
既に配達困難地域も出て来ており、大手新聞社はネットに注力するのも大事だが、長年に亘り支え続けてくれた新聞販売店が生き残れるための、何らかの手立てを講じてあげるのも新聞社そのものが生き残るための務めではなかろうか。
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新聞販売店の廃業・倒産
新聞業界の再編
新聞大手の読売、朝日、毎日、日経新聞は、今から数十年前に九州へ進出したときは、九州各地への新聞配達のことを考え、鹿児島本線と日豊本線が交差する、現在の北九州市小倉北区に西部本社と印刷工場を設置した。
九州各県に独自の販売店を設け販売網を拡大して、発行部数を伸ばす戦略で、かなり強引な営業拡販人員を教育して、景品を付けた営業が問題になったこともある。
しかし無理な拡販営業が自らの首を絞める事に気づき、その様な行為を自粛する協定で拡販体制は廃止に追い込まれ、結果は購読者の減少に繋がって、競争の原理を失った販売店は、衰退の一途を辿り廃業する店が増えた。
今では福岡市内の販売店も地元紙を含め、数社の新聞を配達している販売店もあり、拡販業務はしていないため、発行部数の減少に歯止めが掛かっていない。
過去においてはニュースの内容によって、締め切り時間の延長もあったが、最近は印刷の工程が優先され、締切が早まる内部改革が行われているように思える。
新聞が持つ使命も薄れているようで、新聞社の顔である社説でさえ、ニュース配信会社の記事を転載して、人件費の削減に苦労しているようだ。
大手新聞社の中には赤字の補填を、社有不動産の賃貸収入で賄っているが、長続きするものではなく業界再編が始まるのは、時間の問題と言われている。
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前に進むか廃業か
戦後創業された企業を受け継いだ経営者も高齢化が進み、結婚しない息子や娘を抱えて後継者問題で頭を痛めている。
特に土木や建設業界では、十数年前から腕のよい職人が、高齢で廃業に踏み切る一方で技術が継承されず、慢性的な人手不足に陥っており、最近では現場の交通整理を行うガードマンさえいないため、ガードマンを確保してから受注を図るなど、笑い話のような話さえ聞く時代になってきた。
昔のようにアグラをかいて儲かる時代ではなくなり、夏の暑さや冬の寒さを敬遠する若者が増え、また請負業と呼ばれる建設関連業者は発注者や元請業者から価格を値切られ、逆に職人などからは値上げを要求され、正に請け負けする職種であるため、実子などからも事業の継承を敬遠されている有様。
しかし人口が減少し続けている過疎地から見ると、福岡はまだ恵まれており、後継者がいない企業を探してM&Aを持ちかける、新しいビジネスを動かし始めた金融機関もある。
マイナス金利を逆手にとって、保険を見直して資金を捻出、新しい不動産投資ビジネスを編み出した若い経営者など、張り切って働いているから面白い。
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新聞社の再編
~ある老舗販売店が廃業を決意~
無冠の帝王と言われマスコミに君臨していた新聞社も、何時からか購読料に広告収入が加わり、収入に占める広告料の比率は高くなる一方であったが、テレビに追い抜かれ、最近ではネットにも抜かれて下降の一途だ。
新聞の広告収入は発行部数に大きく左右されるため、昨年から紙面の記事で問題が起きていた朝日新聞社は、新しい代表に代えて、とりあえず終止符を打った。
朝日や毎日、読売、日経などの全国紙に加えて、西日本新聞などのブロック紙、そして県紙と呼ばれる地方紙があるものの、その発行部衆は年々かなりの部数が減少している。
しかし広告との兼ね合いがあり、一部では発行部数の水増しで、各新聞販売店に「押し紙」と称して、購読数を維持しているのが現状だ。
新聞販売店は、毎日配送される押し紙の処理も頭の痛い問題だが、押し紙分の購読料を負担することで、販売店の収支は悪化して赤字決算となり、年老いた販売店主の老後を不安に陥れているため、廃業する新聞販売店が福岡でも昨年からいくつか出て来た。
特に朝日新聞においては、問題記事の発生で数多くのクレームが寄せられただけではなく、購読中止が相次いで歯止めがかからず、また2万人を超えたと言われる集団訴訟に、経営意欲を削がれた販売店も増えている。
新聞社を超えた販売店同士の業務提携や経営統合が進む一方で、新聞社自体も出先の支局などの維持経費を削減するため現場の統廃合が進められているが、この両方を手っ取り早く進められるのは2つの新聞社が一緒になることで、朝日と日経の合併が囁かれている。 続きを読む