第76回 毎日映画コンクールで 日本映画優秀賞に、西川美和監督の「すばらしき世界に」が選ばれた。
福岡市にゆかりがあり、注目していた映画が高い評価を受けたのは喜ばしいことだ。
原作は佐木隆三氏の「身分帳」。
殺人で13年の刑期を終え 旭川刑務所を出所した男が主人公、真っ直ぐで不器用だが 周囲の助けを借りながら社会に復帰しようとする様を描いた小説で、実話が元になっている。
身寄りのない主人公が出自を探しに 福岡まで足を伸ばす場面がある。
そこで立ち寄ったのが 「若久緑園(当時は県営)」と「萬行寺」、萬行寺は櫛田神社に近い国体道路沿いの浄土真宗の寺で、明治から戦後にかけて境内に「龍華孤児院」という施設が併設されていた。
主人公は幼少時に母親に預けられ そこで暮らした記憶があり、その孤児院が現在の若久緑園の前身にあたる。
また小説の補遺には、小説のモデルとなった人物が 福岡に移住し、平成2年に南区三宅のアパートで孤独死したこと、佐木氏自身が遺体を引き取り 喪主として野間の葬儀場で見送ったことなどが紹介されていた。
生活圏にある固有名詞や地名が次々に出てきて親近感がわく一冊だ。
Youtubeに映画の予告編あり。
https://www.youtube.com/watch?v=-xSthIWoByg
本編は Amazon Prime ビデオ等で視聴することができる。