市民不在の行橋市議会③ ~ 元部長、書類送検の衝撃 ~

本日の地元紙朝刊に「行橋市元部長を書類送検、採用試験の漏洩容疑」という記事が報じられ、たいそう驚いた。
令和2年の職員採用試験において、元部長が面識のあった受験者1人に試験内容を漏らした容疑で 福岡地検に書類送検していたことが分かったという。

16日付で略式起訴されているので 容疑は固まっており 有罪は確定すると思われる。
ただ これは”令和2年”のことで想定していない話で、行橋市で問題になっていたのは”令和元年”の職員採用試験だ。
県警がそこまで立件できなかったということか、それとも捜査が続いているのか、現時点では不明だが、いずれにしても 市職員の採用試験で不正があったという事である。

ところで、行橋市議会は 何をやっているかというと、弊社記事「市民不在の行橋市議会(2023/03/23・27)」で報じた通り、市長が提案する予算・条例改正・人事の議案に悉く反対し、市民のためにならないことに 時間と労力を費やしている。
終には15日の百条委員会で、来たる6月定例会において工藤政宏市長を地方自治法違反(虚偽陳述など)の疑いで刑事告発する方針を決めた。

昨年12月議会で設置された百条委員会の目的は、「採用試験受験者に関する個人情報漏えい問題の調査」で、県警に誰が情報を漏らしたかということである。
目的が違うという声がSNS上でも上がっているが、市民が明らかにしてほしいのは「職員採用試験で不正があったか、なかったか」ということで、本当なら百条委員会で、前市長や試験に関わった関係職員などを証人喚問し、真相究明をするべきところである。

百条委員会にも税金が使われており、委員には費用が支払われている。
元部長の書類送検は、市議会が本来 やるべき調査をやっていなかったことを露呈したものだ。

市民不在の行橋市議会 ② ~全員合格!職員採用1次試験~

行橋市議会では昨年の12月議会において、「採用試験受験者に関する個人情報漏えい問題を調査する特別委員会(百条委員会)」が設置された。
そして、今月20日の3月議会最終日に、同委員会委員長より中間報告があり、その後、工藤市長に対する「辞職勧告決議案」が提出され、賛成多数で可決している。

ここだけ捉えると、市長が悪いことをした印象を受けるが、この問題の発端となった職員採用試験の結果等を考え合わせると 別の見方も出てくる。

発端は、令和元年9月に行われた市職員採用試験において、「上級事務職の1次試験を29名が受験し 29名全員が合格」という 通常考えられない結果が明るみになったことだ。
更に、市は毎年結果を公式ホームページ上で公表していたが、この時に限り一次試験の結果を公表をしていなかったことが判った。

同年12月議会で、鳥井田幸生市議から試験結果の不自然さを問われた田中純市長(当時)は、
「100人受けて100人合格したらおかしいか。100人とも同点だったら全員合格。2次・3次試験がある。同点者が数名いれば、当然同じ数の人がいても論理上不思議ではない」という趣旨の答弁で、全員合格の正当性を主張した。

ちなみに、過去3年の上級事務職の1次試験の結果は、
平成28年度 1次受験者12名 合格者8名
平成29年度 1次受験者31名 合格者20名
平成30年度 1次受験者31名 合格者14名
と、少なくとも受験者の3分の1は不合格となっており、令和元年度の全員合格には疑義が残る。


クリック → 令和元年12月議会一般質問

続く3月議会において、情報公開請求で入手した合格者全員の点数表を元に、別の市議が厳しく追及した。
公開された資料では、「(200点満点中)1位の点数が 168点、2位が 155点、そして、25位と26位が 83点、27位が 65点、28位が 60点、最下位の29位が 58点、平均点が 101点」だった。
つまり、 田中市長の「全員同点だったら論理上不思議ではない」という答弁は誤魔化しで、実際には168点から58点までバラつきがあって、役所が合格ラインを敢えて低く設定していたことになる。

一般的に1次試験は公務員として相応の教養を兼ね備えているかを問うものだが、200点満点中 58点で合格できるということは、行橋市役所の上級事務職職員は 正答率3割未満でも問題ないという理屈になる。
随分レベルの低い役所と思われる。

しかし、市長は強弁を繰り返し、一部の市議以外はこれを問題視することはなかった。
実は、田中市長を厳しく追求していた市議が、現市長の工藤氏だった。

工藤市議は現在市長となり、百条委員会で多数派の市議から追及される立場、ついには辞職勧告決議まで出されるに至った。
百条委員会のテーマが違うのではないかと思われるが、次回、同委員会の審査について説明したい。


クリック →  令和2年3月議会一般質問

ー 続 く ー

市民不在の行橋市議会 ① ~予算否決、副市長も不在に~

「弱いものいじめはダメ」、学校では当たり前の言葉だが、自治会・職場・サークル・団体、仕事の取り引き、政党、民族、国家、力の強い者が弱い者を虐める構図はどこにでも存在する。
良い子の皆さんにはあまり知ってほしくないが、世の中そんなもんだ。

さて、昨年2月に三つ巴戦を制した行橋市の工藤政宏市長に市議会が攻勢を強め、市民不在のまま大荒れとなっている。
過去に少数派の支援を受けた候補者が首長に当選するケースはあったが、多数派の議会が当初予算案に加え副市長人事案まで否決した例は聞いたことがない。

工藤市長は就任以来、東九州道「今川PA交流拠点整備事業(概算約45億円)」の中止や、国際公募彫刻展「ゆくはしビエンナーレ」も今年度限りでの打ち切りなど、前市長が進めてきた施策の見直しを進めてきた。
一方で、反市長派が過半数を占める市議会では、昨年4月の臨時議会で「教育委員会委員の選任」案が否決されたのを皮切りに、市長提案議案の否決が始まった。

6月議会では「市職員駐車場を確保するための条例改正」案が否決され、9月議会では「企業誘致に関する条例改正」案など3議案が否決、空席だった「副市長の選任」案は事前の会派代表者会議の説明で批判が相次いだため提出も見送られた。
続く12月議会では「機構改革」案が否決となり、その後は 市長を照準にした「市採用試験受験者に関する個人情報漏えい問題を調査する特別委員会(百条委員会)」が設置されるに至った。(同委員会については次回説明)

そして、今月20日に閉会した3月議会では更に厳しいことに。
当初予算案の反対討論に立った井上倫太郎市議は、「口先だけの予算を続けさせるわけにはいかない。市民の皆様の生活に迷惑をかける可能性があることを理解しているが、自らの失職も覚悟し、近い未来に行動を起こすことを誓い、反対する」と述べ、採決の結果、賛成少数で否決となった。
新年度からの予算執行が出来ないため、市長は予算の組み直しを余儀なくされる。

また、昨年9月に見送った「副市長の選任」案が改めて提出されたが、賛成少数で不同意となり、現在定数2の副市長を1に戻す条例改正案も否決、3月末に現副市長が退任予定のため4月からは副市長2人が不在となる異常事態だ。
この他にも、昨年の9月定例会で否決された議案なども否決されている。

とにかく、工藤市長がカラーを出そうとする議案については全て否決、徹底して市長を引きずり下ろそうとする意図が窺える。

ー 続 く ー

激戦を制した工藤新市長

27日投開票された行橋市長選は、元市議の工藤政宏氏(44)が、次点の元副市長の松本英樹氏(63)を144票という僅差で抑え 初当選を果たした。
3選を目指した 現職の田中純氏(75)は、保守票に加え 立憲民主党、国民民主党の推薦を得ながら意外に伸びず、最下位に終わった。

市長には新しい発想で 教育や子育てをはじめ 魅力ある まちづくりを期待したいが、激戦の後だけに、議会与党をはじめ 抵抗勢力も多いと思われる。
これからの4年間で幅広い市民の支持を得られるよう、若さを武器に足を使って汗をかき、信頼関係を築くことが求められている。

行橋市長選開票結果
当選 工藤 政宏 11,052
・・ 松本 英樹 10,908
・・ 田中  純   7,301