インベスト破綻の舞台裏(1) [2008年7月1日13:50更新]

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6月30日月曜日の朝一番、地元デベロッパー「インベスト」(福岡市中央区)の社長が交代した―とのニュースが飛び込んできた。同社はこの日のうちに会社更生法を申請し破産、負債総額は100億円近くに上るという。

マンション業界受難の時期だけに、業況が悪いであろうことは想像に難くないが、なぜ創業者である社長の交代なのか、興味よりも疑問のほうが先に頭の中をよぎり、さっそく関係者の間を取材に走り回った。



若くしてマンション業界に身を投じ同社を設立してからは、持ち前の商才を生かして売り上げを伸ばし、瞬く間に株式上場を目指す企業に成長した。金融機関の資本参入を得て代表も得意の絶頂にあったのは言うまでも無い。

営業社員はコミッションシステムが導入されており、「人材は消耗品」と考える風潮の業界だけに、社員の入退社は日常茶飯事。同社には「やっと顔を覚えたら、もういなかった」という笑い話さえあるほどだ。

入社歴が浅くとも仕事が出来ればそれだけに出世も早いが、社長の方針について行けないものが多かったという。いわば「ワンマン体制」が社内に浸透していたわけで、取締役でさえコロコロと変わるのには、銀行関係者も驚くほどであった。

今回新社長に就任した人物も同社での社歴は1年未満といわれる。社員の「定着率の悪さ」は業界トップと言っても過言ではなく、社員の間には相当不満がたまっていたようだ。

 

ところで、臨時取締役会で社長を解任し、引き続き新社長の選任・就任を経て、会社更生法の手続きを依頼する手際の良さ。その経過と時間をチェックして行くと、どのように考えても理屈に合わない所が出てくる。そのため、先述の「社員の不満」を利用して「倒産劇」のシナリオを書いた人物が影にいて、演出をしたのではないか―こう考えざるをえない。

さらに調査し取材を重ねてゆくと、旧福岡相互銀行OBの影がちらついてきた。銀行時代に培ったノウハウの裏表を生かし、自分達の老後=実益だけでなく、現役に対し頭の勝負を挑み半ば「ゲーム感覚」で倒産劇を演じた―だからこそ成功した、と思えてならないのである。

(J)