談合摘発の裏に「密告」あり [2007年4月15日00:47更新]

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(07年4月号掲載) 

日本全国の公共工事の大半で談合が行なわれてきたと言って過言ではない状況から一変し、諸悪の根源として社会問題になっている。各地に鉄の結束を誇る談合組織が存在し、それを利用して先生方が甘い汁を吸ってきたのを、多くの業界関係者は知っている。

 



名古屋市における地下鉄工事の談合は、これに参加していたあるゼネコンが当局に密告したのがきっかけで刑事事件に発展した。このゼネコンは密告の見返りに罪を減じられて逮捕も免れ、罰金・営業停止などの行政処分も受けない。一方、他の談合参加企業の損失は計り知れない。

今回密告した企業の行為は、当然ながら談合組織に対する裏切りと見なされる。これまでなら何らかの報復を受けていただろうが、現在は社会環境がそれを許さない。とはいえ密告した企業自身も、「当局に仲間を売る」、この行為によって業界だけでなく一般社会の信用も失うことになり、信頼回復にはかなりの時間が必要だろう。

従来、密告や裏切りは恥ずべき行為と教わって来たのが日本人気質だったと言えるだろう。ところが最近はそれを奨励するような法律が成立し、施行されればどのような社会になるのか不安である。通報された情報から当局が脱税や談合を摘発するのは良いが、一般市民からは信用や信頼の文字が消え、ギスギスした社会になるかもしれない。

今は金さえ出せば色々な資料や情報が入手出来る。プライバシー尊重・個人情報保護の風潮が強まる一方、思わぬ場所で個人が丸裸にされる時代でもある。

(J)