筆者は昭和のバブルを経験したモーレツ社員の生き残りであるが、博多っ子だけに幼少期からラーメンよりうどんをよく食べて来たが、今でも変わらず美味しそうなうどん屋を見つけると思わず飛び込んでしまう。
たまたま通りかかった筥崎宮近くに、昭和28年創業のうどん店「三勝」を発見し、迷うことなく食してみると昆布といりこでとった出汁や、やわもち食感の麺も博多っ子好み。美味しさはもちろん価格も非常にリーズナブルで直ぐに感動し次第に通う回数も多くなって来た。
店名の「三勝」が気になりその由来を店主に聞くと、飲食業は「味」「量」「サービス」の三点が大事としていた創業者の考えから、店名にしるし常日頃から真剣に考え疎かにしない様に「三勝」と決められた様だ。
今だにその家訓は受け継がれており、現在も店主とその家族で店を切り盛りし、出前にも店主がバイクで対応、店休日も第1・第3日曜日の月2回だけ、祭日も営業している。その「味・量・サービス」が勝っている「三勝」には、ランチタイムなど客が途切れる事なく訪れている人気店だ。
日本企業の大多数は中小零細企業で、従来から創業の原点である労働力は家族、親族、社員で賄われ、社員においても家族同様の付き合いが長年に亘って戦力となっていた。
しかし最近は、社員はもちろん身内においても、休暇が少ない上に長時間労働が敬遠され、自身のライフワークを重視する傾向となり、そのための仕事選びが主になったことで、後継者不在の中小零細企業も多くなっている。また、その中でも自由を求めるあまり義務を忘れて権利ばかりを主張する社会人も多くなってきた気がする。
日本は小さな島国で原材料やエネルギー源が乏しかっただけに、勤勉な労働力に支えられて成長してきたが、この歪を早く修正しないと元気と笑顔に満ち溢れた日本は遠くなるような気がする。
一度「三勝」に食事に行くと、一杯のうどんが働くことの喜びを教えてくれ、更に働くことのエネルギーになるだろう。
~うどん「三勝」~
福岡市東区馬出5-36-1
電話092-651-6119
アクセス 筥崎宮前駅から徒歩3分