頑張れ!再チャレンジ組

安倍総理が2006年に「再チャレンジできる社会を目指す」と主唱してから16年経ったが、負け組が這い上がるのは 難しい世の中が続いている。

ただ 角界においては挫折を味わった再チャレンジ組が頑張っている。

横綱不在の九州場所、三敗同士の三つ巴戦を制したのは西前頭9枚目の阿炎、10日目に3敗目を喫した時は 優勝争いから脱落かと思われたが、その後 周りの力士が星を落とす中で白星を重ね、初優勝を果たした。
週刊誌に叩かれ、不祥事による3場所休場で幕下まで落ちたが見事に復活した。

西前頭6枚目の竜電も 同様に3場所休場で幕下まで落ちたが、今場所は 9勝を挙げ 以前の力強さが戻ってきた。
もうひとり忘れてはならないのが 元大関 朝乃山、6場所休場で三段目まで陥落、幕下優勝は叶わなかったが 十両復帰が確実となっている。

来場所は1横綱1大関、怪我も多く 上位陣が安定しない状況が続いている。
豊昇龍や王鵬など若手が台頭してくる中、阿炎・竜電・朝乃山の再チャレンジ組がどこまで番付を上げてくるか 楽しみだ。

阿炎に期待・九州場所

不祥事を起こし、マスコミが騒いでも なかなか辞職願を出さない地方議員がいるかと思えば、引退を望んだのに引退届が受理されなかった関取もいる。

前頭十五枚目の阿炎(あび、錣山部屋)である。

昨年7月、不要不急の外出自粛が求められている中で、夜の接待を伴う店で会食していたことが明るみとなり、引退届を提出するも 相撲協会が受け取らず、出場停止3ヵ月、5ヵ月50%の報酬減額の懲戒処分となった。

今年三月場所で復帰して幕下全勝優勝、五月場所も幕下で全勝優勝を飾り 格の違いを見せつけた。
十両に昇格した七月場所では11勝4敗の成績を収め、続く九月場所は 13勝2敗で十両優勝を果たした。

そして十一月場所、ここまで9勝1敗と快進撃を続けている。
失敗からどん底を経験し 再起を目指す姿に共感するファンは多い。
今後は上位陣との取組も予想されるが、四股を踏む際 他の誰よりも高く上がる足に期待をしたい。



 

勝武士さん

西三段目82枚目の勝武士さん(高田川部屋)が、コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため亡くなった。

勝武士さんは初っ切りや弓取式を演じていたほか、普段は明るくひょうきんなで部屋のムードメーカー、慰問先で誰からも慕われる性格だったという。

2017年、九州場所の千秋楽の日、高田川部屋の宿舎となっている福岡市早良区のオイスカ西日本研修センターで行われた慰労会に参加した時、勝武士さんが海外の研修生らと踊って会場を沸かせていたのが忘れられない。

28歳、あまりにも早い死に驚くばかり、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。