進む建物の傾斜・福岡市中央区

4月27日、大阪市城東区の住宅密集地で、5階建て賃貸マンション2棟が「ハの字」形に傾いて接触したという報道があったが、福岡市中央区においても 新築賃貸ビルの施工不良が原因で、両側の建物の傾斜が進んでいる。

昨年竣工した同ビルの設計・監理は、デザイナーズマンション等を手掛け 福岡では名の知れた設計事務所(中央区)が担当、建物は 鉄筋コンクリート、地上7階地下1階建の建物だ。

平成31年は福岡市内は建設ラッシュ、施工予定ゼネコンの突然のキャンセルもあって、急遽決まったのが久留米市の 滉王㈱(ひろたか)だった。
同年5月、3メートル程掘削したところで左側に隣接する木造2階建の商店Aの床に亀裂が入り始め、右側に隣接する鉄筋3階建の賃貸ビルBからも床が傾斜しているとの異変を訴える声が上がった。
床が傾いたことで商店Aの経営者は平衡感覚がおかしくなり、賃貸ビルBのテナント飲食店は退去したという。

被害を訴えるも 滉王側は認めず工事は継続、7メートルまで掘削し亀裂や傾斜が更に大きくなった同年9月、ようやく認めた。
12月には 被害者が民間検査会社に依頼して 施工の問題点を洗い出し、その後双方が弁護士を通じ、店舗Aは補修、賃貸ビルBは買い取りと営業補償を行うことで話を進めていた。

ところが令和2年6月、県警が滉王を暴力団関係事業者として 公共工事からの排除措置通報を行ったことで、事業を停止し破産手続きに入ったのである。
それから10ヵ月経つが、管財人による債権確定の作業が未だ終わらず、補償も受けられないまま今に至っている。

現在、新築ビル内のテナントの床にはひび割れが入り、先日は商店Aの水道管が破損した。
賃貸ビルBの傾きも進行し、今にも新築ビルのダクトに接触しそうだ。

大阪のビルのように、福岡で同様の接触が起こるのも時間の問題かもしれない。

福岡市中央区の欠陥マンション

弊社が報じてきた福岡市東区の傾斜マンション「ベルヴィ香椎六番館」は、JR九州ら販売JVが今後解決に向けて協議していく事になったが、今度は福岡市中央区で構造上の問題がある分譲マンションについての情報が寄せられた。

同マンションは、平成12年竣工で15階建、天神へのアクセスも良く、眼下に大濠公園を見渡せる好立地で、相応の資産価値も見込まれることもあって即完売したという。
販売したのは大手不動産会社S、当時のパンフレットには、「ここにしかない。オンリーワンの選択。」「オーナーとマンションの幸福な関係が始まる。」というキャッチコピーが並んでいる。

しかし、同24年の大規模改修前後に数多くの欠陥が見つかり、建築基準法に適合しない構造スリットの未施工が発覚した上、基礎杭の支持力が不足している疑いが判明、住民は不安の中での生活を余儀なくされるようになった。
販売会社は施工不良の瑕疵を認め、希望者には時価で買い取り、構造スリットの無償施工、及び全戸に解決金の支払いという条件を提示している。

基礎杭の支持力が不足している点については、当初の構造計算時の時に比べ、支持力が7割程度に落ちているという専門家の意見もあるが、販売会社は支持力に問題ないという立場を取っており、管理組合が要望すれば有償で杭の補強を行うとしている。

現在、管理組合は販売会社の提案を全面的に受け入れるかどうか協議中であるが、一部住民からは建て替えを要望する声も根強く、残りの基礎杭の調査を専門家に依頼する案も出ており、解決にはもうしばらく掛かるだろう。

販売元や建設会社は高度な技術を駆使し全ての建物を竣工させているはずであるが、瑕疵が全くないとも言い切れない。
人生最大の買物となる戸建住宅やマンションに瑕疵が疑われたとき、最近はオーナーが専門家に調査を依頼し、見えない場所の欠陥や手抜きを発見できるようになってきた。
地場建設会社も、今後更なる現場管理を徹底し、細心の注意を払っていく必要があるだろう。



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