■ 動物由来のインフルエンザ
この冬、2ヵ月あまりで14県35の養鶏場で鳥インフルエンザの感染が確認され、600万羽以上の殺処分が行われた。一部の感染症研究者の間で心配されているのがヒトへの感染のリスクだ。
感染した鶏をさばくことや、ペットの鳥との接触などによる感染で、中国では2013年以降 1600人が感染し約600名が死亡、また、変異した鳥インフルエンザウイルスがヒトからヒトへと感染した例も報告されているという。
鳥インフルエンザに限らず、今後また動物由来の別のウイルスが出現し、社会を混乱に陥れることがあっても不思議ではなくなった。
しかし、ただ闇雲にウイルスを怖がるだけでは、人間らしい生活を送ることはできない。
正しく恐れ、共生していくための知識を得ることが重要ではなかろうか。
■ 福岡発、“One Health”国際フォーラム2021
福岡県は、「人と動物の共通感染症をはじめとするワンヘルスに係る課題について、各分野の関係者で共有し世界に発信する場とする」として、“One Health”国際フォーラム2021を開催し、オンラインでライブ配信する。1月30日(土)13:00開始のライブ配信で基調講演を、また、同日18:00開始のオンデマンド配信では、特別講演や分科会の模様を視聴できる。
“One Health”国際フォーラム2021
同フォーラムの実行委員会の大会本部長には小川洋福岡県知事、顧問に吉松源昭福岡県議会議長、委員長に大曲昭恵福岡県副知事、副委員長に松田峻一良福岡県医師会会長と草場治雄福岡県獣医師会会長が就き、県と医師会、獣医師会が総力を挙げて取り組む。
また、12月議会では、議員提案で全国初となる「福岡県ワンヘルス推進基本条例」が成立したばかりだ。
■ 国主導でワンヘルス推進を
動物由来の新型コロナウイルスの感染拡大により国民は大打撃を受けているが、ワンヘルスにおける研究や啓発に、これまで国がかけてきた予算はごくわずかで、軽んじられてきたのが現実だ。そういった中、福岡県が自治体として率先して、ワンヘルス実践の仕組みを構築し、その活動を次世代に継承していく取り組みを始めた意義は大きい。
この福岡発の国際フォーラムを機に、国がその意義を受け止め、いずれは国主導で全国にワンヘルスを推進していくことを期待したい。