農林水産まつり&国際フォーラムも同時開催

11月11日から13日までの3日間、「第21回アジア獣医師会連合(FAVA)大会」がヒルトン福岡シーホーク(福岡市)で開催される。
「アジアからのワンヘルスアプローチ」を大会テーマとして、アジア・オセアニア地域をはじめ 世界中から多数の獣医師、医療関係者や著名な環境問題の研究者が集い、ワンヘルスに関する最先端の研究・活動の講演が行われるビッグイベントだ。

大会の最終日の13日は、一般の方も無料で参加できる特別シンポジウムが行われる。
参加申込みは不要、人と動物の健康と環境の健全性について考える絶好の機会だ。

FAVA大会 特別シンポジウム

また、大会開催に合わせ 12日・13日には、「福岡県”OneHealth” 国際フォーラム2022」と「福岡県農林水産まつり」がFAVA大会に合わせて開催される。

「福岡県”OneHealth” 国際フォーラム2022」では、12日(土)、長年にわたり動物の保護活動を続けてきた 俳優の坂上忍さんによるトークショーが予定されている。

福岡県”OneHealth” 国際フォーラム2022 公式サイト



同ホテル前の地行中央公園で開催される「福岡県農林水産まつり」では、新鮮な農林水産物や加工品のほか、県内各地から自慢料理やスイーツが勢揃いする。
また、家族そろって楽しめる体験・参加型のコーナー、更に12日には お笑いタレントのヒロシさんと野外料理研究家のベアーズ島田キャンプさんによるキャンプトークと盛りだくさんだ。

福岡県農林水産まつりチラシ

期間中、天神・博多駅から20分間隔でシャトルバスが運行する。
FAVA大会特別シンポジウムと福岡県”OneHealth” 国際フォーラム2022、そして 福岡県農林水産まつり、今週末 家族で出かけみてはいかがだろう。

福岡県 “One Health” 国際フォーラム 2021

■ 動物由来のインフルエンザ

この冬、2ヵ月あまりで14県35の養鶏場で鳥インフルエンザの感染が確認され、600万羽以上の殺処分が行われた。
一部の感染症研究者の間で心配されているのがヒトへの感染のリスクだ。
感染した鶏をさばくことや、ペットの鳥との接触などによる感染で、中国では2013年以降 1600人が感染し約600名が死亡、また、変異した鳥インフルエンザウイルスがヒトからヒトへと感染した例も報告されているという。
鳥インフルエンザに限らず、今後また動物由来の別のウイルスが出現し、社会を混乱に陥れることがあっても不思議ではなくなった。

しかし、ただ闇雲にウイルスを怖がるだけでは、人間らしい生活を送ることはできない。
正しく恐れ、共生していくための知識を得ることが重要ではなかろうか。

 

■ 福岡発、“One Health”国際フォーラム2021

福岡県は、「人と動物の共通感染症をはじめとするワンヘルスに係る課題について、各分野の関係者で共有し世界に発信する場とする」として、“One Health”国際フォーラム2021を開催し、オンラインでライブ配信する。
1月30日(土)13:00開始のライブ配信で基調講演を、また、同日18:00開始のオンデマンド配信では、特別講演や分科会の模様を視聴できる。

“One Health”国際フォーラム2021

同フォーラムの実行委員会の大会本部長には小川洋福岡県知事、顧問に吉松源昭福岡県議会議長、委員長に大曲昭恵福岡県副知事、副委員長に松田峻一良福岡県医師会会長と草場治雄福岡県獣医師会会長が就き、県と医師会、獣医師会が総力を挙げて取り組む。
また、12月議会では、議員提案で全国初となる「福岡県ワンヘルス推進基本条例」が成立したばかりだ。

 

■ 国主導でワンヘルス推進を

動物由来の新型コロナウイルスの感染拡大により国民は大打撃を受けているが、ワンヘルスにおける研究や啓発に、これまで国がかけてきた予算はごくわずかで、軽んじられてきたのが現実だ。
そういった中、福岡県が自治体として率先して、ワンヘルス実践の仕組みを構築し、その活動を次世代に継承していく取り組みを始めた意義は大きい。

この福岡発の国際フォーラムを機に、国がその意義を受け止め、いずれは国主導で全国にワンヘルスを推進していくことを期待したい。

ワンヘルス

福岡県がまとめた令和2年度一般会計補正予算案に、人と動物の感染症対策を一体的に進める「ワンヘルス」の理念普及事業に、3120万円計上することがわかった。

ワンヘルスという言葉に馴染みのない方も多いと思われるが、今回の新型コロナウイルスはまさに動物由来の感染症であり、福岡の地から その対策についての重要性を発信していたことが特筆されるべき点である。

平成28年に福岡県北九州市で、世界各国から医師と獣医師が集まって、「第2回世界獣医師会―世界医師会のワンヘルスに関する国際会議」が2日間に亘り 開催された。

会議では、横倉義武日本医師会長と藏内勇夫日本獣医師会長の講演はじめ約30の講演等が行われ、最終日には、ワンヘルスの概念に基づき実践する決意を示した「福岡宣言」が満場一致で承認され、感染症対策の重要性を世界に発信した。

安倍総理が少しでも福岡宣言の内容を理解した上で、感染症対策の予算を充実させていたならば、今回のコロナウイルスによる国内被害はもう少し小さかったのではなかろうか。