食の安全を求める消費者の声

食べ物、口に入れるあらゆる物に気を使っている人は少なくない。
子どもがアトピーやアレルギーなどに悩まされている親ならなおのこと、無農薬で育てた米や野菜は当然だが、肉についても その生産ルートにこだわっている。

佐賀県で発生した豚熱を発端に、九州各県では家畜伝染病予防法の規定による豚熱ワクチン接種が義務付けられた。
豚熱ワクチンを接種した豚の肉や加工品は輸出できなくなり、海外に出荷していた業者が痛手を受けていることが報じられたが、一方で 食の安全を求める消費者からも悲鳴が上がっている

我が国の養豚場の多くは太陽の当たらない密封型の豚舎、コンクリート床の狭い部屋で密飼いをしていて、ストレスが多く病気になりやすいためワクチンや抗生剤などで薬漬け、また餌も 安価な ポストハーベスト農薬がかかった穀物や遺伝子組み換えの穀物や添加物だらけの残飯が与えられているという。
この目で確認したわけではないので簡単にコメントできないが、事実であれば考えてしまう。

県内に住むAさんは冒頭の理由で、こだわりの豚肉を直接生産者から直に購入している。
その牧場では、放牧で伸び伸びと育て、安全な餌を与え、ワクチンや抗生剤は与えていない。
小規模の牧場だが、肉質がいいこと、それと何より安心安全な点が 口コミで広がり、コアなファンが付いている。

国は、ワクチンを接種した豚を食べても人の健康には影響はないとしているが、Aさんたち消費者にとっては大問題である。
生産者の方にも取材をしたが、突然のことで困惑しているとの話だった。

電話で農水省にこうした声があることについて見解を尋ねたところ、「ワクチンを打たない生産者が一部おられると 十分に病気を抑えることができない。食糧の安定供給に向け、全ての生産者にしっかり説明をして理解頂けるようにしたい」 という趣旨の回答があった。

残念ながら 法律がある以上、接種拒否を推奨する訳にもいかない。
これからも 人と動物の感染症は容赦なく襲い掛かり、関係者に想定外の不利益を与え続けていくものと思われる。