核心に触れない質問をする市議

首長が批判をかわすため、議員に一般質問を指示するケースがあるという。
職員が予め「問題点を鋭く突っ込んだふうの原稿」を準備して議員が質問、再質問、再々質問までして 最後は納得して終わるパターンだ。
福岡都市圏の議会に限って言えば、こうした猿芝居はないと思われる。

ところで、春日市議会12月定例会の一般質問の動画及び会議録が公開された。

昨年来 弊社が報じている放課後児童クラブの決算・予算の収支内訳書が黒塗りで公開されている問題について、迫賢二議員が質問に立った。
迫議員は、「黒塗りでの公開は透明性が欠ける」と市の対応を批判しながら、その理由について核心部分を外した質問に終始、これに対し、井上澄和市長はいかに黒塗りが正当なものか理路整然と答弁し、対応に全く問題がないことを強調した。

弊社が指摘しているのは、
① 実費徴収したおやつ代の合計約2000万円の支出額が黒塗りとされていること
② テノ社が アレルギー等の危機管理マニュアルを著作権を理由に公開しないこと
③ テノ社の収支内訳を黒塗りにしたことが発端で 図書館など他の公共施設の収支まで黒塗りとなり、議員も予算の使い道をチェックできなくなったこと
である。

迫議員は質問の中で、「一方的な論調がウェブニュースなどに掲載されている」と発言していることから、おそらく弊社の記事を読んでいると想像するが、見事なくらい核心に触れていない。
市立図書館の図書購入費まで黒塗りで議会がチェックできないというのに、たいへん物分かりのいい先生だ。

テノ社に関する過去記事はこちら

迫議員の一般質問動画はこちら

市議会が おやつ代黒塗り企業を承認

春日市議会の最終日、放課後児童クラブの指定管理者の指定に関する議案の採決が行われ賛成多数で可決された。

再指定を受けたのは、あの「おやつ代の黒塗り」で知られる ㈱テノ.サポート(福岡市博多区)、来年度から5年間の予定となっている。

採決前に討論が行われたが、賛成の議員からは
「議会は選考委員会での結果を尊重するべきだ」
「コロナ禍の中、ここまでやってきたテノには感謝したい」
という頓珍漢な意見が飛び出しズッこけた。
選考委員会の結果を追認するだけなら議会は要らないし、今後5年間で7億円近く支出する企業として相応しいかを審査するのに「感謝」してどうする?


一方、反対の議員からは、
「保護者の改善要求に対応しようとしない」
「支援員の入れ替わりが多い」
「学童保育やケガ病気対応のマニュアルが未だに整備されていない」
「収支決算書が黒塗りで透明性が確保されていない」
「指定管理者の選考委員会に市民や有識者を入れず、市の幹部だけで選定している」
という指摘があった。


最後の選考委員会だが、原則公募の指定管理者制度なのに 放課後児童クラブについてはテノ社ありきの非公募、しかも 審査結果は得点率69.5%(合格60%以上)と決して高くはない。

非公募に決めたのは市の幹部、点数をつけたのも市の幹部、こういう仕組みなら人事権を持つ首長の意向で何でも恣意的に進められる
大任町を彷彿とさせるが、春日市のガバナンスについても心配になる。

最終的に議会の議決なので口を挟むつもりはないが、弊社記事「おやつ代と保険代を隠す学童保育(2022年8月20日)」で報じた間食代や保険代等の実費徴収分について、賛成議員からは異論が出なかったということで 非常に残念だった。
「議会は公共事業の収支の非開示を容認」という 間違ったメッセージを テノ社に与えかねない。
市議の先生におかれては 国や県に問い合わせるとか 他自治体の状況を調査するなど最低限の仕事をして、情報公開を進めるよう市に働きかけて頂きたい。

但し、そのようなことをしなくても、井上澄和市長が公開すると決めればいいだけの話、簡単なことだ。