17日、外国特派員協会(東京都千代田区)で行われた「都民ファーストの会」元事務総長の小島敏郎氏が語った内容は、マスコミ関係者に耳の痛いものだった。
2020年6月の都知事選前、郷原信郎弁護士と黒木亮氏が小池百合子氏の学歴詐称問題について記者会見を行った。
その1時間半前に、エジプト大使館のFacebookでカイロ大学の声明が出され、郷原氏らの会見の効果はかき消されてしまった経緯がある。
今回、当時小池氏が外国特派員協会の会見に間に合わせようとした際の心境、言い換えると 会見を小池氏が嫌がった理由について何か思い当たることがないかを、郷原氏が尋ねた。
→ 小島氏の記者会見(郷原氏の質問と回答)
以下、小島氏の回答の要約。
なかなか言いにくいが、やはり今の記者クラブ、内閣記者会や都庁クラブもそうだが、質問する人を当てるのは内閣側や知事側で、そこで嫌な質問をしたら次は当てられないということになる。
私が役所にいた際、広報室長を務めたこともあり、内閣府に友人の職員もいて聞いていたが、残念ながらいわゆるプレスへの対応も、「嫌な質問は受けない、聞かない、それを最初に指名しない」というようなガバナンス支配が行われている。
それが(小池氏が嫌がった)1つの原因ではないかと思う。
多くの人が外国人記者クラブを選ぶのは、そういう(ガバナンス支配がないという)ことだ。
日本の記者に対しても或いは記者クラブに対しても、私は絶望していると同時に大きく期待している。
忖度とか、恐れることなく、ジャーナリストとして質問をして頂きたい。
行政の内幕を知る人物の指摘だけに説得力がある。
昨今の新聞・テレビ報道に対しては、行政が発表する情報を右から左に流すだけ、大本営発表という批判もある。
最近でこそようやくワクチン接種後の被害者に光が当たるようになってきたが、死亡者が出ていても政府方針に反する記事は全く報じてこなかったのも、一つの分かりやすい例だろう。
SNSで情報発信されるようになるにつれて、マスコミが本来の役割を十分に発揮できていないことが浮き彫りになってきた側面もある。
こうした状況に危機感を持っている中堅若手の記者は多いが、信頼されるためには 上層部が意識を変える必要があるのではなかろうか。