良識の府に少しだけ期待

昨日の衆院本会議において、 国民の不安を解消することなく LGBT法案が可決された。
国民の意識とこれだけずれた法案審議も珍しい。

自民党は党議拘束をかけた。
郵政民営化法案の時の様に さすがに造反者は出なかったが、2人が採決に加わらず小さな抵抗をした。

そのうちの一人 杉田水脈議員について、某新聞が「過去にLGBTのカップルは『生産性がない』と主張した杉田水脈氏は、体調不良を理由に衆院本会議を欠席した」と書いている。
既に
杉田氏は「不適切な表現、差別する意図はなかった」と釈明しているにも拘わらず、わざわざ引用するところに 悪意を感じる。

今後、15日に参議院内閣委員会、翌16日に参議院本会議で成立する予定という。
こうした理念法の成立を急ぐ意味はなく、社会がどう変わるのか、女性が安心して生活できるのかなど徹底的に審議を尽くし、国民の不安を払拭してから採決しても遅くない。

参議院が良識の府であることに 少しだけ期待したい。

ちょっと待った! 各党、国民に説明不足

与野党3案が提出されたLGBT法案、そもそも自民党内から強い反発が出ていたため、今国会の成立が見送られると安心していたが、会期末を前にして 成立に向けた動きが出てきた。
性的少数者の人権は守られるべきだが、「女性の権利」が保護されなければ本末転倒だ。

自民・公明案と維新・国民案で 文言のすり合わせ協議が行われる様だが、この理念法が成立したら、社会がどう変わるのか、女性の安全・安心は担保されるか、肝心なところを国民は何も知らされていないし、メディアも報じようとしない。
最も心配されるは、女性トイレ・公衆浴場・更衣室に 男性の姿をした人が入って来るケースであるが、その点について明確な説明を求めたい。


米国バーモント州の高校で、高校の女子更衣室に 外見は男性で心は女性のトランスジェンダーの生徒が入ってきた際、出ていくように求めた女子生徒が 学校から停学処分になり、それに抗議した父親は 職場で無給停職の処分を受けた。
また、米国ノースカロライナ州では、高校のバレーボールの試合で、女子生徒がトランスジェンダーの選手に顔面に強烈なスパイクを打たれ重症を負う事故が起こり、スポーツへの参加の有り方が社会問題となっている。

このようにLGBTの先進国で混乱が起きている。
民主党と共和党では真っ向から考えが対立しており、州によって司法の考え方もそれぞれ異なる。

他にも この法律は、職場や学校でLGBTに理解を深めるための教育や研修などを施す努力義務が課せられており、学校で過激な性教育が行われる危険性や 新たな利権を生む可能性が指摘されている。

国政政党でLGBT法案に明確に反対しているのは参政党のみ、各党は法案成立を目指すなら、想定される様々な場面で「女性の権利」が保護されるのか、社会がどう変わるのかについて 国民に説明を尽くしてから前に進めるべきだ。

どうしちゃった自民党? LGBT法案通過なら…

自民党が「LGBT法案」について、反発する保守派議員らに配慮した修正案を党内会合で事実上了承し、総務会で正式決定した後、19日に議員立法として国会提出するというニュースがあった。

しかし、「内閣第一部会・性的マイノリティに関する特命委合同会議」に参加していた議員のSNSで、継続審査を求める声があるも 採決が行われ、反対15・賛成10・中間3の 反対多数という結果だったということが判った。
ところが、役員が議論を打ち切って「一任願いたい」という流れで 提出が決まったことが明らかになったという。

もちろん総理の指示あってのことだと思うが、反対が多いのに 力技でひっくり返すことが罷り通れば 自民党は民主的な政党とは言えないし、もはや保守政党とは呼べなくなるだろう。

そもそも、G7広島サミットに間に合わせるとか、エマニュエル駐日大使が法案成立を求めているなどと報じられているが これは内政問題。
エマニュエルは民主党のバイデン大統領が任命した大使であって、仮にLGBTに否定的な共和党が政権を取れば 首になる人物、アメリカという国の恒久的な立場を代弁している訳ではない。

仮にこの法案が通れば いかに社会に影響があるか等、起こり得る問題についての議論は全くされていないし、総理も もともとそういう認識だったはずである。
重要なのは、身体も心も女性の権利が脅かされる危険性を孕んでいることだ。

例えば、トランスジェンダーで「外見は男性だが心は女性」という人が女性トイレに入ってきた時に、一般女性は拒否できなくなる。
今でさえ女性トイレでの性犯罪が繰り返し報道されているが、これを悪用する輩も出てくることは間違いない。
もちろんトランスジェンダーの方の人権に配慮する必要はあるが、こうした重大な点について答えがないまま法案が通ろうとしている。


本来、女性や女性の人権を守る団体が反対の声を上げるべき法案だが、安全が脅かされる可能性があることなど デメリットについて周知がなされていない。
自民以外では、立憲、国民、共産、社民、そして 維新が この法案の速やかな成立を目指している。

この法案を無理に通せば、自民党を見限る党員が出てくる可能性もある。
唯一、参政党だけが 反対を表明しており、自民党の動き次第では 保守層が参政党支持に流れるかもしれない。


参照:弊社記事「LBGT法案提出の前にやるべきこと (2023年3月30日)」

LBGT法案提出の前にやるべきこと

アメリカ・テネシー州の学校で、教員と児童の計6人が銃に撃たれて亡くなる痛ましい事件が起こった。
当初犯人は28歳の女性と報じられたので驚いたが、あとで元男性のトランスジェンダーと判ったので納得した。

テネシー州では、学校や公園など公共の場で 子どもに影響を与える「ゲイ」のショーを禁じる法案や、性同一性障害の未成年がホルモン剤や性転換手術などの治療を受けることを禁止する法案が可決したばかりで、これに抗議する声だけでなく殺害予告もされていたという。
銃の問題にLBGTも絡み合った、アメリカを象徴する事件と言えよう。

ところで、首相秘書官のオフレコ発言が発端となり、岸田総理が自民党にLBGT法案の提出を指示してから2ヵ月経つ。
オフレコを公表した全国紙は、社説で「性的少数者に対する差別の解消は一刻の猶予もならない課題」として、法案提出を党任せにし率先して取り組もうとしない総理を批判する。

もちろん差別は良くないし、国民の理解を深めていく努力も必要だが、果たして一刻の猶予もならないほど深刻だろうか。
その前に、LBGT法が社会に与える影響について、国民は何も知らされていない。

LBGT関連法を制定している国は少なくない。
しかし、レイプ犯の男性が公判中に性別を変更して女性刑務所に入ったという嘘のような話が実際に起こっている。
トイレや公衆浴場の問題もある。
法律の種類、法律制定の前後の社会変化、ソフト面やハード面でのコストなど、研究すべきことは山ほどある。

法律が出来ればそれを盾にした訴訟リスクもあり、モノを言えなくなる社会が来るかもしれない。
これにはもっと女性の方から声を上げるべきだと思うが、そうした機運が盛り上がらないのは、人権問題として声を上げにくいという一面もある。
そして、何よりも国民に情報が伝わっていないからではなかろうか。

まずは、LBGT法が成立したら 社会の何がどう変わるのか、メリットとデメリットを国民に示すことの方が先だ。