飾り山が消える

博多祇園山笠の舁き山が、コロナ対策を徹底した上で3年ぶりに実施されることが確実になった。
待ち望んだ夏の風物詩、これで福博の街に活気が戻ってくる。

一方で残念なニュースも。
ある流で、約30年間飾り山製作の資金を提供してきた企業が、今年初めに辞退を申し出て、飾り山を建てることができなくなった。
資金を1企業に依存してきたことが要因だが、地元のショックは大きい。

背景には、コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、燃料の高騰、円安と 畳み掛けるように悪条件が重なる。
背に腹を変えられない事情があり、企業としても苦渋の選択だったと思われる。

流の関係者は「まずは今年の舁き山を無事に成功させること、その後は 来年の飾り山復活に向け、資金調達のあり方など協議していかなければならない」と語った。


日本映画優秀賞に「すばらしき世界」・毎日映画コンクール

第76回 毎日映画コンクールで 日本映画優秀賞に、西川美和監督の「すばらしき世界に」が選ばれた。

福岡市にゆかりがあり、注目していた映画が高い評価を受けたのは喜ばしいことだ。

原作は佐木隆三氏の「身分帳」。
殺人で13年の刑期を終え 旭川刑務所を出所した男が主人公、真っ直ぐで不器用だが 周囲の助けを借りながら社会に復帰しようとする様を描いた小説で、実話が元になっている。

身寄りのない主人公が出自を探しに 福岡まで足を伸ばす場面がある。
そこで立ち寄ったのが 「若久緑園(当時は県営)」と「萬行寺」、萬行寺は櫛田神社に近い国体道路沿いの浄土真宗の寺で、明治から戦後にかけて境内に「龍華孤児院」という施設が併設されていた。
主人公は幼少時に母親に預けられ そこで暮らした記憶があり、その孤児院が現在の若久緑園の前身にあたる。

また小説の補遺には、小説のモデルとなった人物が 福岡に移住し、平成2年に南区三宅のアパートで孤独死したこと、佐木氏自身が遺体を引き取り 喪主として野間の葬儀場で見送ったことなどが紹介されていた。
生活圏にある固有名詞や地名が次々に出てきて親近感がわく一冊だ。

Youtubeに映画の予告編あり。
https://www.youtube.com/watch?v=-xSthIWoByg
本編は Amazon Prime ビデオ等で視聴することができる。

豆まき

毎年1月末になると、櫛田神社の氏子で祇園山笠の役員を務める ㈱まつい工務店の松井社長から 小さなマスに入った豆が届き、我が家で豆まきをするのが年中行事となっている。

祭り好きで知られる博多っ子だが、コロナの影響で 各神社の恒例の祭りが次々と中止に追い込まれている。
最近は、西日本一と言われる中洲のネオンも消えた有り様で、福岡市全体が暗く活気が感じられない街になった。

先日、筥崎宮の田村宮司にお会いした際、「2年間 放生会は中止に追い込まれているので、伝統を守るという意味からも今年は是非とも行いたい」という話を聞いた。

早くコロナが終息し、福博の街に元気が戻ることを豆まきをしながら願った。



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映画と萬行寺と若久緑園

1990年に刊行された佐木隆三氏の長編小説、「身分帳」を読んだ。

きっかけは、南区若久にある福祉型障がい児入所施設「若久緑園」から届く「事業所便り」だ。



若久緑園 取材協力映画『すばらしき世界』、10月6日からBlue-ray&DVDが発売されます。
コロナ禍で映画館に出向くことができなかった方たちも ぜひ観ていただきたいと思います。
小説「身分帳」の映画化で、主人公は若久緑園出身者で実在した方がモデルです。

興味が沸いたので、早速 文庫本を取り寄せ 一気に読んだ。
殺人で13年の刑期を終え 旭川刑務所を出所した男が主人公、真っ直ぐで不器用だが 周囲の助けを借りながら社会に復帰しようとする様を描いた小説で、実話が元になっている。

身寄りのない主人公が出自を探しに 福岡まで足を伸ばす場面がある。
そこで立ち寄ったのが 「若久緑園(当時は県営)」と「萬行寺」、萬行寺は櫛田神社に近い国体道路沿いの浄土真宗の寺で、明治から戦後にかけて境内に「龍華孤児院」という施設があった。
主人公は幼少時に母親に預けられ そこで暮らした記憶があり、その孤児院が現在の若久緑園の前身にあたる。

また小説の補遺には、小説のモデルとなった田村明義氏が 福岡に移住し、平成2年に南区三宅のアパートで孤独死したこと、佐木氏自身が遺体を引き取り 喪主として野間の葬儀場で見送ったことなどが紹介されていた。

生活圏にある固有名詞や地名が次々に出てきて親近感がわくと同時に、佐木氏の偉大さを認識し 心に残る一冊になった。

「すばらしき世界」は今年2月11日公開、脚本・監督 西川美和さん、主演 役所広司さん、他に 長澤まさみさんなど豪華俳優陣、恥ずかしながら映画情報に疎く、上映されていたことを知らなかった。
コロナ禍にも拘わらず、興行収入は5億円を超えたそうで 何より。

ネットで 映画をレンタル視聴できる時代、年末 ゆっくり鑑賞しようと思う。

映画「すばらしき世界」オフィシャルサイトはこちら

新宮家の葬儀

今年で73歳になるが、なぜだか出席する葬儀が多くなったように感じる。
これまで裏方として葬儀にかかわった経験は、普通の人たちよりも多いと自負しているが、先日亡くなられた故・新宮松比古元県議会議員の葬儀は実に立派だったと、多くの参列者が話題にして故人を偲んでいる。
ガンを患い入退院を繰り返していただけに、家族はある程度の覚悟があったと思うが、亡くなられて短時間のうちに、通夜、葬儀の日程が関係者に連絡され、実に見事だった。
故人の実子である長男は、あれほど博多区に堅固な選挙地盤がありながら、後継者とはならず、自ら起業して経済人となり、立派に活躍していると聞く。
葬儀で古い友人が読まれた弔辞も立派で、参列者の涙を誘った。
会場となった中央区の斎場は、これまで地元政財界人の葬儀が、数え切れないほど行われてきたはずだが、これほど多くの参列者が焼香に訪れたのは、初めてではないだろうかとも言われている。
故人は40以上の公職に就いていたようだが、中でも祇園山笠関係者への連絡は、実に感心するほどスムーズに行われた模様で、今年も追い山を櫛田の空から見守っておられることだろう。


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