好評につき~【口福探訪シリーズ~鮨職人①】 [2015年10月16日13:00更新]

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食文化とも言われるように、食はそれ自体が文化として時代の変遷に寄り添うように、さまざまな進化と深化を遂げている。中でも寿司は、国内全都道府県、全市町村の91%に店舗が存在する日本人のソウルフードである。福岡の鮨業界では、近年特に20~30代の若年層経営者による新規開店ラッシュが続き、その比類無き一貫を求めて首都圏から団塊の世代リタイヤ組が予約に押し掛ける程の盛況振りとなっている。食通の間では定説となった“福岡寿司王国伝説”を支える若き職人たちの中でも、今回はリーダー格と言われる料理人にフォーカスを当ててみたい。

江戸前の本場銀座では、実は供されるその半数以上が九州産の魚介であり、九州の魚は九州の鮨屋が最も知悉しているのは言うまでもない。魚ごとに、その旨みが最適化される熟成時間は異なり、決して新鮮なものが旨い訳では無い。しかし、ただ時間を掛けるだけのエイジングではウマ味も引き出せず、湿度管理やドリップコントロールが味の要諦となるため、中には魚種ごとに包む紙さえも変えている店も有る。巷では、客人同士が話に夢中になり、カウンターに置かれた鮨が乾燥して崩れている風景も目にするが、これは味の分からぬ残念な客と、寿司ならぬ“刺身ご飯”を提供する店主の、食材に不敬な共犯行為である。旨い店に漂う凛とした「空気」は、それ自体が『喰う気』にさせるもので、決して放置乾燥崩れ寿司のような惨状を目にする事は無いものだ。

福岡に居た頃は中堅どころの寿司職人でも、都内進出後にはトップクラスの人気を博しているのを見るにつけ、改めて福岡のレベルの高さを思い知る。包丁で味付けする技を縦糸として、時間で味付けするノウハウを横糸に織り成す珠玉の一貫には強い習慣性があり、その味わいは、言葉で表現できる範囲を遥かに超えるもので、一度食せば季節ごとに通いたくなるものである。魚それぞれにアミノ酸が最大化するよう、時間という調味料の使い方を熟知した技とノウハウに、独特の包丁捌きに拠る味付けが加わるという、次回ミシュランでのノミネートが必定の、今年2月に新規開店した鮨店をこっそり紹介しよう。今まで自分は一体何を食して来たのかと思える珠玉の一貫が、怒涛の如く続いた。しかし、店名などの詳細は次回お伝えするとして、先ずは至高の仕事ぶりを写真でお伝えしたい。

金目鯛|勝浦産_旨みの塊
 


北紫雲丹|北海道津軽海峡産_圧巻
 


赤貝|宮城県名取市閖上産_磯の香りが炸裂 

きす|昆布締め4日目_時間と言う名の調味料を、自在に使いこなす
 


玉子|名古屋コーチン+エビすり身+白ごま油
 


  ジャバラ(トロ)|築地直送_よこわ(マグロの幼魚)とは比べ物にならぬ風味