「一源三流」 汗水流す労働を軽んずる風潮の裏側で [2008年10月30日08:43更新]

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今から40数年前に行われた福岡県議会選挙で、民社党(当時)から立候補した故有田誠氏が、「一源三流」と書かれた、墨痕も鮮やかな大きな幟(のぼり)を使っていたことを思い出す。通常は神社の祭礼などで見るものだが、有田氏は事務所の駐車場などにそれを立てて選挙を戦い、見事当選を果たした。



その意味するところは、「家のために汗を流し、友のために涙を流し、国のために血を流す」-と、故人が一席ぶったように記憶している。

最近の日本は豊かになり、空調も整ったおかげで労働で汗を流す仕事も少なくなった。また友と酒を酌み交わし、口角泡を飛ばすような議論を戦わすこともなく、用件のみをメールで伝える友人関係では、ともに涙を流す機会も減ったように思える。

かつての日本は、海外から原料を仕入れ、町の小さな工場で朝早くから夜遅くまで汗を流して製品を加工し、大きな工場で組み立てて輸出し利益を得ていた。その利益が貯まってくると今度は海外に投資して現地の安い賃金で製品を作るようになり、海外との貿易で利益を得るとともに為替の差益で利益を確保することを覚えた。さらに、インターネットの普及で株式や海外企業への投資がより手軽に行えるようになると、一般の人々までもが本格的な利殖に取り組むようになり、汗水流しての労働を軽んずるような風潮が強まっていた。

国内においてもデベロッパーなどは、ファンドやリートを利用しての資金調達で、大きなプロジェクトを次々に計画。福岡にも分譲マンションが雨後のタケノコのように建ち、大きく膨らんだ「バブル」によって多くの人が恩恵を受けたのもまた、事実である。

 

そうした流れに便乗し、エスカレートしていったのが「丸美」(福岡市)である。当初は出資者や会員をだますつもりはなかったと思われるが、リゾート会員権の販売で面白いように金が集まり、道を誤ったようである。会員証券を印刷する毎に200万円が入るわけで、このシステムを考え出し実行した人間は、さぞ笑いが止まらなかったことであろう。

現在被害者の会が設立され、訴訟問題に発展しているとの話も聞く。だが、仮に経営陣の責任が法廷で認められたとしても、多くの会員らに対して被害の弁済がなされる可能性は低いだろう。欲と金に目がくらんだ結果、としか言いようがなく、自己責任で処理する以外に道はないと思われる。

(J)