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8月は志多組、丸美に加えて東京でもデベロッパーの上場企業が破綻、「次はどこか」の声に押され、盆休みも返上し取材に走る日々が続いていた。そんな中でも少し自由な時間が取れたので、福岡アジア美術館に足を運んだ。韓国の友人で金属工芸作家の泰榮燮氏が「本能」のタイトルで個展を開いており、お祝いに駆けつけたのだ。 知り合った数年前は「力仕事」ともいえるの創作ぶりであったが、その後交通事故に遭遇したり自らが癌に冒された結果、制作方法が大きく変わったようだ。実にスマートな作品が展示されて、多くの韓国人が観光を兼ねて釜山から訪れていた。 入り口の受付から展示会場に向けて、左右の壁に色とりどりの魚が泳ぎ、魚に導かれて自然に会場へ。布で作られた魚に混じって金属製の魚や青いライトを用いた魚が泳いでいる。中にはりんごをモチーフにした作品も並び、見ていて楽しくなる。 海の中を自由に泳ぎ回る魚たちの群れが、中央の壁で合流するように構成されていた。国は違っても人の気持ちは共通で、特に福岡はアジアの情報発信基地として、隣国の釜山へは気軽に行けるシステムが構築され民間交流が盛んに行われている。釜山と福岡はいわば海で結ばれているわけで、日本に対する作者の気持ちを表現した実にユニークな個展であった。 作品に利用している素材については国民性の違いか、あるいは発想力が豊かなのか、凡人には理解し難い面もある。とはいえ日本では資材として使用している金属を芸術作品に変化させた着眼点はすばらしく、着目・鑑賞する価値は十分あると思う。 (J) ★秦榮燮金属工芸展 「本能」 福岡アジア美術館 企画ギャラリー(A室) 8月28日から9月2日まで

