用意周到だった倒産劇 インベスト 「突然の破綻」 [2008年7月30日09:15更新]

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(08年7月号掲載) 

国内の大都市の中でも、将来人口増加が期待できる街の1つ、福岡市。現在「ミニバブル」の到来でオフィスビルや分譲マンションの建設が盛んに行われ、かつてのバブル崩壊の痛手も忘れたかのように、特に市内中心部で土地価格の高騰が始まった。

ところが不動産業界の動きがあまりに速いために消費者に戸惑いが生じ、実需がついて来ていないのが現状のようだ。同時に、原油価格の値上がりの影響から物価が上昇。消費動向を急速に冷やし、ファンド資金を対象に計画されていた物件でトラブルが発生。それらが表面化して関係者の注目が集まりだしている。



そんな矢先の6月29日、地元デベロッパー「インベスト」(福岡市中央区)の緊急役員会が開催された。取締役の1人が緊急動議で代表の解任案を提出。賛成多数であっけなく成立し倒産劇の幕は上がった。

創業者の多くがその自負からワンマン経営者の道を進む。インベストの創業者である前代表も御多分に漏れず、その独断が功を奏して売り上げを伸ばした。経営手腕が高く評価されると同時に、夜の中洲での遊びっぷりも、関係者の間で噂になるほど派手になった。

経営者特有の勘が働くのはいいが朝令暮改も激しかったようで、心ある社員が会社を去るケースも多々あったという。高額な給料を提示されて入社しながら数カ月後には支給額が10万円になった例も。そうなれば生活が困窮するのは当然で謀反を企てたくなるのも道理。解任の口実を幹部に与えたのは、基本的には前代表自身と言える。

 

だがこの解任劇、シナリオはかなり前から周到に用意されていた可能性が高い。前代表が解任され新社長が就任した直後、この新社長から依頼を受けたと称する弁護士3人がインベスト本社の、緊急取締役会が開かれたまさにその部屋に登場したのである。

この日は月末の日曜日、夜10時前後である。あまりにも早い登場で、関係者から話を聞いてもにわかには信じられなかった。ばっちりスーツを着込んでいた弁護士たちは、平日なら残業をしていたとの言い訳も通るだろうが、事前に打ち合わせを行った上で事務所で待機していた―と考えるのが妥当だろう。

さらに前代表の印鑑を保管していた警察OBに提出を求め、出し渋ると法的説明を行い説得するなど、まるで想定していたかのように手際が良かったという。

翌30日には裁判所で会社更生法の申請手続きを行いすぐさま文書で関係者に通知。さらに7月4日には市内のホテルで債権者集会を開いた。500人前後を収容できる部屋が短期間によく確保できたものだと感心したが、何と弁護士事務所が半月前に押さえていたとの情報が伝わって来た。

 

会社側は法的手続きの申請を弁護士に依頼するなど、少なくとも1カ月ほど前から解任・倒産劇の準備を水面下で着々と進めていたのではないか―こう勘繰るのは私だけだろうか。

まあ、着手金の受け渡しはいつしたのかなどの疑問を詮索するのはやめにして、弁護士の「スピーディーな仕事ぶり」を高く評価するべきなのかもしれないが。

(J)