警視庁が振り込め詐欺の被害者400人を対象に調査を行ったところ、約3割の人が銀行員などの注意を無視し、その挙句に金をだまし取られていた事実が判明した。 振り込め詐欺をマスコミが報じるたびに、現代社会を反映した新しい文言が飛び出してきて、「こんな発想、手口もあるのか」と感心する。その巧みさ、時勢を取り入れる速さには驚くばかりで、これらの発案者は一般企業の企画立案担当として十分に能力が発揮できるのではないか、と思えるほどである。 さらに、電話をかける「実行犯」。発案者から与えられた新しいテーマを即行動に移す実行力、フットワークの軽さは一般企業顔負けで、営業担当としての能力を高く評価したいほどだ。 3割の人の大半は「自分はそれほどバカではない」との自負が、心のどこかにあったはず。にもかかわらずだまされたわけで、人間心理の「盲点」を突いて金を奪うテクニックは、実に巧妙である。 それだけではない。情報化が進み実に便利になった現代社会の、様々な隙間を突いて「パクリ」は存在している。 以前この欄である女性経営者の遺産問題を紹介した。癌に侵された高齢の女性経営者の最期を看取ったのは、交際していた女性。疎遠だった親族は、しばらくの間その死を知らされず、気がついたときには数億円とも言われていた財産は、交際していた女性とともに消えていた。親族はあわてて弁護士などに相談したが後の祭りで、どうすることも出来なかったという。 これもすでに紹介した話であるが、身寄りのない1人暮らしの老人の戸籍が外国の犯罪者に狙われるケース。いずれの例も、少子化や核家族などが進み老人の独り暮らしが増えているという、現代社会のゆがみ、ひずみが生み出したとも言えるだろう。 「遠い親戚よりも近くの他人」。昔の人は上手いことを言ったもので、遺産相続を狙っていた親族と第三者との争いが各地で裁判に発展しているとの話も聞く。 いずれにしても、どれだけ情報が氾濫し便利な世の中になったとしても、社会からゆがみやひずみがなくなることはない。人の心の盲点も同様。パクリ屋はこうしたところを「住処」にして今もぬくぬくと生きながらえている。 (J)
現代社会・人間心理の「盲点」 [2008年6月26日08:58更新]
タグで検索→ |

