玄界灘に面して海の幸に恵まれる福岡市。今では流通機構の発達で山間部の食材も手軽に入手できるようになった。 週末には九州各地から人が集まり、最近はお隣の韓国や中国からの観光客も増えた。他の都市に比べると外食人口は多く、それだけに各店がそれぞれ趣向を凝らし、しのぎを削っている。 それに付随してガイド本も花盛りである。紹介者の弁や食欲をそそる写真、魅力的な雰囲気を演出したグラビア。こうした本やネットでの情報を元に、お気に入りの店を探そうとする人も多いだろう。 食材の新鮮さ、見ることで食欲をそそる盛り付け、食べた料理のうまさ、さらに接客する人の魅力。様々な要素を組み合わせ、それぞれについて高い水準を保つ料理店は、努力に応じたそれなりの価格になるのもうなずける歳になった。 有名店「船場吉兆」の度重なる裏切りは、名前だけ一人歩きした末に創業当時の気持ちを失った「老舗」の実態をさらすことになり、マスコミの報道などによって廃業に追い込まれた。この事件をきっかけに、料理店・食品業界全体に疑念を抱いている人も、多いのではないだろうか。 実際、今度は飛騨牛をめぐって新たな産地偽装疑惑が浮上、マスコミをにぎわせまさに「底なし」の感がある。 だが、小さな店でも真心を持って客に接する努力をしている店は多く、自分の目と舌で見付けて行くのも楽しいものである。美味しいものを満喫すれば大半の人が喜ぶはずだし、店側としても客を満足させて送り出せば無料で宣伝(=口コミ)してくれるわけで、これほどありがたいこともないだろう。 昔から「客が店を育て、店が客を育てる」との言葉があるようにコミュニケーションが大切で、これを大切にしている店は客が溢れているから面白い。 素晴らしい環境・立地条件の場所に立派な店を開き、調度品や器にも凝ったとしても、経営者の姿勢が悪ければ最終的には客を騙すのと同じだ。客が怒って閑古鳥が鳴き始めると、暖簾を下ろすのは時間の問題となる。 結局は何事も「人」にたどり着く。自らの目と舌を信じて新しい出会いを求めると、思わぬ発見がもたらされ、外食もさらに楽しくなる。 (J)
客が店を育て、店が客を育てる [2008年6月24日09:20更新]
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