熊本県の建設業界のみならず地元経済界のリーダー的存在であった「多々良」(熊本市九品寺 代表者勢田孝徳氏)がこのほど、熊本地裁に自己破産の申請を行なった。 その業歴も古く、トップ企業として君臨してきた「名門企業」の突然の破産に、驚きは稲妻のように九州の業界に伝わった。 今年に入り国交省から決算書の内容について、不都合を指摘されていた多々良。改善策として10億円の資金調達が必要となり、その方法として第三者割り当での増資を発表した。 自社の社員から年齢に応じて、例えば20代は200万円、30代なら300万円と出資金を募り、下請け納入業者にも資金の提供を要請した。その結果、4月の時点で7億円近い資金の目途が付いていた。 だが、その後の受注予定も建設基準法の改正から着工遅延が予測され、非常に厳しい経営環境を根本的に覆す方法も無い。一方、熊本ファミリー銀行も4月の借入金返済の遅延は了承したが、新たな出資者の被害を防ぐ意味から、4月28日発送の内容証明で「5月9日までに10億円を一括返済」するよう求めた。 当初は民事再生を考慮し弁護士も選んだ同社だったが、これ以上社員や取引業者を巻き込むことを恐れ、事態の悪化を避ける策として急遽、GW期間中に苦渋の決断をしたようだ。 突然の破綻で連鎖倒産を恐れた会社側は、取引先への影響を最小限で食い止めるために、5月7日の手形決済と現金支払いには最後の手持ち資金11億円を充てた。 破綻ニュースに先行して資金調達の噂が流れていたため、社員や下請け納入業者の間で出資金についての問題を懸念する声も出ていたが、5月20日を締め切りに設定していたために実際の被害は発生せず、一歩手前で回避された。 名門老舗と言われた多々良も、その長い歴史に看板を下ろした。 (J)
「多々良」自己破産 影響最小限に食い止める [2008年5月14日09:49更新]
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