社会保険庁をはじめ、途切れることのない昨今の公務員不祥事。かつて公務員は「公僕」と呼ばれていた時期もあったが、今はもはや死語となり、辞書でしか見ることができない時代になっている。こう言い切っても、読者からお叱りを受けることはないだろう。 この思いをさらに強めるような事件が熊本県で起こり、報道された。公務員のモラルはどこに消えたのだろう―そう嘆くだけではすまない、呆れる事件だ。 人吉市の福祉担当者が、金を借りていた金業者に、生活保護受給者286人の名簿を渡していた。その見返りに金利の減免か、借金の一部返済充当を期待したようだ。 自立したくても出来ない人が、人として最低の生活を維持するために生活保護受給者となる。この生活保護をめぐっては、昨年の北九州市の打ち切り問題、福岡市での横領など、事件が相次いだ。また行政側の対応に配慮が欠けるケースもあり、窓口担当者も試行錯誤を行ってはいるが、トラブルは絶えない様だ。 現時点では市職員の行為を、マスコミは一方的に非難している。市職員をかばうつもりはないが、驚いたのは、ヤミ金業者の行為だ。名簿を受け取ったことをネタに市職員を脅し、毎月の支払いを増額したのだという。 ヤミ金業者の業務に、禁を犯して「協力」した市職員を「優遇」するどころかさらに追い込み、挙句の果てには表面化させてしまった。 彼らの行為は通常では考えられない。ヤミ金業者に最低限のモラルを求める方が悪いのだろうか。いずれにしても実に情けない話で、将来は「常識」の文字も死語になるように思えてくる。まったく無茶な話である。事件になったことで、ヤミ金業者も結局は何らかの処罰を受けることになるだろう。 昔はどんな仕事でも誇りを持った、職人気質のプロと呼ばれる人がいた。最近は優れた道具が作られて、素人でも並みのプロに負けない仕事をする人も増え、プロの資質が低下しているのも事実である。 政治を知らなくても人気があれば選挙に当選する時代で、そんな候補者を公認する政党も現われ、政治家をはじめとするモラルの低下が日本をダメにしている。 有権者も政治家を見る目を養わないと、悪賢いベテラン代議士や馬鹿な代議士に騙されて、国民生活はますます苦しくなるだろう。 (J)
「モラル」という言葉も、もはや死語か [2008年2月15日11:54更新]
タグで検索→ |

