(08年12月号掲載) 師走の週末ともなれば、夜の繁華街は酔客や買い物帰りの人であふれる。12月4日土曜日の深夜、消防車がサイレンを鳴らして出動した。場所は「天神プレイス」(福岡市中央区今泉)だ。 道路は即座に警察官によって封鎖され、はしご車のアームは長く伸び、下では消防隊員によって放水の準備がなされた。野次馬も集まり始めたが、警報機の誤作動だったのか火の手は見えず、まもなく撤収作業が始まり事なきを得た。 この場所は前回のバブル期に、地元デベロッパーが土地を取得。だがバブル崩壊の荒波を受けて持ちこたえることができずに手放し、現在は独立行政法人「都市再生機構」(UR)の所有となっている。 一時は有料駐車場として利用されていたが、地域の発展を望む声が強く、多くの再開発計画が出された。結局、地元デベロッパーの「アーム・レポ」(福岡市中央区)が50年の定期借地権を利用し「大成建設」に契約金0円、総額約45億円でビルの建設を発注、今年3月末に完成した。契約を交わした時点では、建物は外資ファンドに売却し、4月末には大成側に全額を支払う予定だったと聞いている。 ところが今年の春頃から外資ファンドは撤退傾向にあり、天神プレイス購入のため約77億円を提示していた「セキュアード・キャピタル・ジャパン」(東京)も資金調達が厳しくなった。そのため契約履行の条件約200項目を追加提示、ア社は代表以下不眠不休の作業を行い、何とか書類を提出したという。 その後、米国発のサブプライムローンによる大津波が日本の不動産業界を襲い、不動産価格は大幅な下落への道を進んだ。セ社も、ア社に売却価格の大幅な値下げを求めたのだが、とても応じられる額ではなかったようだ。 ホテルや駐車場は営業すれば日銭が稼げる。だが天神プレイスはプレオープンした後に再び休業するなど、関係者が首を傾げる時期もあった。施工した大成建設は5月、建物の所有権を主張するために、46億円を超える抵当権設定仮登記を行って様子を見ていた。だがとうとうしびれを切らしたらしく11月に同じ金額で抵当権を設定した。 借地権の賃料は毎月700万円を超えると言われ、ア社は経費節減を図るために本社を移転、「背水の陣」を敷いた。解決に向け全社一丸となって懸命な努力を続けているが、この年末が大きな山場と思われる。 最近の経営者は資金繰りが苦しくなると、その苦労から逃れるために、法的手続きを弁護士に委任して庇護を受けるケースが多い。そんな中でもア社代表は、例えば急な業務に対応するため銀行主催のゴルフコンペを土壇場でキャンセル。こうした涙ぐましいほどの姿に、関係者からは同情論も聞かれる。 しかし一部にはすでに限界との見方もあり、「これ以上の無理はむしろ大きなマイナスで、かえって周囲に多大な迷惑をかける結果を招く」と心配する関係者もいる。 いずれにしても年末を迎えて大きな資金調達は困難となっているが、代表の努力が報われる日が来てもらいたいものである。 (J)
代表の努力 報われるか アーム・レポ [2008年12月19日11:41更新]
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