医者の言い分 [2009年2月6日10:10更新]

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先月下旬、当方に1冊の本が贈られてきた。タイトルは「医者の言い分」(中経出版)、著者は野田一成氏である。彼とは10年前ほど前、NHK福岡放送局に勤務していた時に知り合い、公私にわたって親しく付き合っていたので、早速読ませてもらった。



野田氏は鹿児島大学法学部卒で、お互いに仕事上で情報交換を行っていた仲であった。ある日突然会社を辞めるとの相談を受け、医者になると言い出したのには驚いた。

同氏の夫人も同じ大学の法学部出身だったので、辞めるのはいいとしてもどうせなら弁護士へ転職する方が現実的ではないかと勧めたのだが、本人の医師になるとの意志は強かった。 8月まで通常の勤務をこなしながら山口大学医学部を受験、通常の試験とは若干異なるものの、良く編入試験で合格できたとものだと感心していた。

その後、医師の国家試験合格を待たずに横浜の病院に就職して引っ越すなど、自信がなければ通常では考えられない。昨年夏に立派なお中元が届いたので、家計に余裕が出来たのだろうと我が家で喜んでいたところに、今度は本の出版である。

題名は「医者の言い分」となっているが、報道記者の習性は抜けていないようだ。患者と医師、病院と医師の関係など、客観的に見て冷静な判断で記事を書いている。すでに本屋の店頭に並んでおり、いずれ話題になると思っている。

 

妊婦が病院をたらい回しにされた挙げ句、治療を受けられずに死亡するなどの悲惨な事件が全国で相次いでいる。だがマスコミはこうした被害者を「悲劇の主人公」に祭り上げ、医者や病院の側を一方的に叩く。そうした報道を見るにつけ、不愉快な気分になる。

医療関係者もうかつに弁解を行えば世間から袋叩きにあう可能性があり、言いたいことはあっても言えない立場に追い込まれているのではなかろか。

もちろん、病院側を無条件に擁護する気はまったくないし、まして被害者やその家族に非があると言っているわけでもない。私が言いたいのは、事象を「善と悪」というわかりやすい構図に仕立て上げ感情的に報じるだけでは問題の本質に迫れない、結局は解決への道が遠くなるのではないか、ということである。

あえて言わせていただきたい。多くの読者・視聴者は、マスコミのこうした報道姿勢にうんざりしているのが実態ではないか。それに気付かず、全紙共通の特色がない記事を垂れ流すだけでは、新聞購読者が減少するのは当然であろう。

そうした意味でも「医者の言い分」は、貴重な情報と示唆をわれわれに与えてくれると思う。

(J)

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