記者クラブ制度 [2009年3月2日10:50更新]

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(09年2月号掲載)

福岡県庁や主な市役所、県警などの庁舎内には全国紙や地元紙、テレビ各社などが所属する「記者クラブ」なるものが置かれていることはご存じだろうか。 

記者クラブ制度が作られた当初の目的はよく知らないが、今や広報担当の部署が、行政のPRをスムーズに行うためマスコミに便宜を図る、また当局に批判的な記事を抑え込むシステムとなってしまったようである。 



かつては記者クラブに所属しながらも、行政のトップに辛らつな質問を繰り返す記者がいたものだ。それがエスカレートしトップの逆鱗に触れると、会社に圧力が掛かる。跳ね返す勇気を持たない上司は部下をかばうことをせずに配置転換を命じた─そんな話もよく耳にした。 

こうしたことが続けば現場記者のやる気は削がれ、入社当時の熱意は次第に薄れる。結果、「無冠の帝王」と呼ばれたマスコミ記者も今ではサラリーマン化して上司の顔色をうかがい、特ダネを目指すよりも特オチを恐れるようになった。 

官庁や企業の会見に群がり、伝書鳩のように発表内容をそのまま書いて安心している。おかげでどの社の記事も金太郎アメと同じ、似たような内容ばかりだ。 

 

先月、読売新聞がこども病院移転をめぐって福岡市が試算を水増ししていた疑惑を報じた。だがこの話は昨夏、本紙など一部メディアがすでに報じている。「なぜ今ごろ」と多くの関係者が首を傾げたほどだ。 

さらに情けないのは読売に追随した他のメディア。「読売が書いたらニュース」とばかりに書き散らしていた。1社が右を向けば各社一斉にそれにならう。「主体性」という文字は彼らの辞書にはないのだろうか。昨夏の段階で今回のようにマスコミがきちんと報じていれば、移転問題の行方も変わっていただろう。 

読売には何らかの情報・意図があってこの時期に書いたのかもしれない。たとえそうだとしても、多くの読者は冷ややかに見ていることを自覚するべきだ。 

 

最近は新聞各社とも販売部数が低下、さらに不況の影響で広告収入が半減した社もあると聞く。あらゆる業界の再編が進んでいる昨今、このまま部数が減少し続ければ全国紙や地方紙の破綻、吸収合併がないとは言い切れない。 

昔の気概を取り戻し、部下の楯となる上司がいれば「勇将の下に弱卒なし」の例えがあるように、若くて活きのいい記者が育ち、強力な集団が出来上がるだろう。記者クラブから飛び出し特ダネを追えば当然面白い紙面になり、ファンが増えて発行部数も上向くと思うのだが。

現状を見る限り、それは「ない物ねだり」なのかもしれない。

(J)