倒産ラッシュ? [2016年3月22日05:23更新]

今週末ころからは春本番で、桜の季節、さあ花見、となりそうだが、一方ではこの数年間少なかった倒産劇が多発しそうで、春の陽気に浮かれるわけにはいかないかもしれない。

平成21年12月に施行された「中小企業金融円滑化法」が、その役目を終えて無くなるからだ。

この法律は同20年9月のリーマンショックで冷え込んだ、中小零細企業の資金繰り悪化への対応策として、当初は2年間の時限立法として制定されたものの、期限を迎えても中小企業の業績や財務内容、資金繰りは一向に良くならなかったため、2度に亘って延長、そして同25年3月末をもって一応は終了していた。
この間に金融機関に対して債務の返済を繰り延べる、いわゆるリスケジュール・リスケを申請すれば、基本的には了承を得られたため、これを活用した中小企業は全国で約40万社に上る。
なお終了後の3年間も「暫定リスケ期間」として、実質は延長されていたが、これも同28年3月末で完了となるところから、金融機関は唯でさえ年度末で忙しい中、対応に追われている模様。
追われる理由は簡単明瞭で、金融円滑化法を利用している40万社の中で、財務内容が改善されて4月以降の支払いが当初の約定通りに戻っても、何ら問題が無い中小企業は約4万社でしかなく、残りの約36万社は依然として資金繰りは厳しいままだからだ。
確かに消費増税や人手不足、資材の高騰など様々な問題もあったが、一番の要因は「リスケ慣れ」と云われている。
日々の支払いが、例えば100万円から20万円になれば80万円は軽くなり、大きく違うはずなのだが、「リスケ慣れ」で20万円の資金繰りが慢性化しており、資金の余裕は一切生まれていない。
とはいえ、4月からは当初の約定支払いに戻らざるを得ず、また金融機関においても財務内容の厳しい金融円滑化法を利用する中小企業に対し、直ちに融資できるはずもなく、多くはゴールデンウィーク前に資金繰りがひっ迫するだろう。
ここ数年は中小企業の倒産も少なかったが、4月以降は倒産予備軍も大量に発生する可能性があり、十分な警戒、注意、情報収集が必要だろう。