建設会社イチケンのトラブル [2010年9月7日09:39更新]

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(10年8月号掲載)

暴力団排除の機運が全国的に高まって久しい。中でも福岡・愛知両県警は、警察庁の指示もあって厳しい取り締まりを行なっている。最近は暴力団の派手な行動も影を潜め、取り締まりの効果が現れているようにも見えるが、企業を狙った発砲事件などが後を絶たないのもまた事実である。



最近、東証1部上場の建設会社「イチケン」(東京都台東区)が名古屋地区で受注していた個人住宅が、実は指定暴力団トップの私邸だった─と週刊誌などによって報じられた。

神戸に本拠地を置く日本最大の暴力団トップは現在服役中で、来春にも出所の予定という。イチケンが受けた物件は、そんなトップが出身地である名古屋に計画した私邸である、と警察当局によって見なされたのが今回のトラブルの発端らしい。

発注主は現在不動産業を表看板にしているが、過去においては風俗業を営んでいた経緯があり、その辺りの関係が取りざたされたようである。

 

すでに確保されている建設予定地は約5000平米。総額約18億8000万円の契約を結び、契約金として6億円が支払われた。

だが当局からの強い要請・指導によってイチケンは契約解除を発注主に申し入れ、いったんは受け取った6億円も返却する意向で、その経理処理に時間を要したために決算公開が遅れたという。

だが発注主はこの申し出を拒否。「契約は有効」として裁判に訴えたとの情報も。仮にイチケンの主張が認められ契約は無効と判断されたとしても、今度は発注主から損害賠償などを請求されることもありえる。

また万が一、暴力団関係者と裏取り引きをして問題を解決しそれが発覚したならば、イチケンは当局から行政指導を受けるだけでなく、世間から企業としてのあり方を厳しく問われることにもなりかねない。

この不景気な時代に個人住宅としては破格の規模・金額であり、一も二もなく飛び付いたイチケンの姿が目に浮かぶ。ポンと支払われた6億円もの現金もまさに魅力的で、経理担当者が一番喜んだことだろう。

事前に代表者が謝辞を述べに訪れたとも言われているが、美味しい話には落とし穴が付き物。ついつい警戒を怠ってしまったようである。

 

指定暴力団が複数存在する福岡県では今春から新たな暴力団排除条例が施行されており、みかじめ料などを供与した側が罰則を受ける可能性がある。

たとえ罰則を受けなくても報道などによって企業イメージを損なう恐れも。イチケンの例を他人事とせず、取引や受注には細心の注意を払ってトラブルを未然に防いでいただきたい。