福岡市長選挙の候補選定が難航していた自民党など保守系会派は本紙既報通り、元民放アナウンサーの高島宗一郎氏を擁立することが先週、正式に決まった。一方、与党の民主党では推薦候補をめぐって激しい綱引きが県連内部で行われた結果、最終的に現職・吉田宏市長の推薦を先月末に決定している。
このほか前福岡市教育長の植木とみ子氏、共産党推薦の有馬精一氏、元佐賀市長の木下敏之氏、元市議会議員の荒木龍昇氏もすでに出馬を表明。先週末には本紙がすでに報じていた7人目の候補者、飯野健二氏が記者会見を行なった。
地元のエリートコースを歩んできた飯野氏は今春、政治団体「福岡維新の会」を設立していた。過去の経歴は素晴らしいが、同氏を知る友人知人に聞くと強力な支援者もいない状況のようだ。どの様な選挙活動をするのか、そもそも供託金の調達が出来るのか、会見に出席した記者連中も戸惑っていた。
とにかく、まだ新たな候補者が名乗りを上げる、あるいは今後出馬を断念する者が出る可能性はあるものの、選挙戦の顔ぶれはほぼ出そろったと言ってよく、11月14日の投開票日まで2カ月間に渡る激しい選挙戦がいよいよ本格化する。
まず現職の吉田氏だが、今回の推薦の経緯を省みても、民主関係者の中に「反吉田」を打ち出している者が多いことは明らかである。その一方で、さすが現職だけあって一部の財界関係者はすでに吉田氏支援で動き出してもいる。こうした複雑な状況下で、市議団の江藤博美氏らがどれだけ選挙を仕切れるのか、疑問視する声が漏れている。
対する自民・公明・みらい福岡の保守系3会派。これまで水面下で様々な人物と交渉しながらもなかなか決まらず、衆院選で落選した元先生までもがその気になる始末。特に民主福岡市議団の暴走を快く思っていない関係者は、夏の暑さも加わって不満が爆発する寸前の状況であった。だがここへ来て知名度抜群の高島氏の擁立が決まったことで、多くの関係者がほっと胸をなでおろしている。
ただ決定が遅れたために、従来は保守系候補を支援しながらもいち早く現職の推薦を決定した団体もあり、こうした組織では内部に亀裂が入る可能性も高く、関係者が頭を痛めているとの話も聞かれる。
とりあえず現段階では事実上、現職の吉田氏をはじめ高島、木下、植木各氏の4人による争いと言っていいだろう。うち吉田、高島、植木各氏がAクラスで中盤以降は三つ巴の戦いとなり、最終的には現職と若い高島氏との一騎打ちになる-と選挙通は見ているのが現状だ。
その理由としてまず、民主・保守系3会派ともに「強固な一枚岩」とは言い難いことが挙げられる。前回のような「自公VS民主」といった単純な構図ではなくなる上に、民主代表戦など国政のごたごたの影響を避けるためにも、各陣営が政党色を薄める戦術を採ることも考えられるだろう。
それから経済界。財界・企業というものは概して現職を推すものだが、今回は経済界が一致団結して吉田氏を応援するという状況にはなりそうもない。結局、現職と自民が推す保守系候補の高島氏とを「両天秤」にかける可能性が高いだろう。
そして特定の支持政党を持たない、いわゆる無党派層の動向。多くの候補者がこども病院の移転問題を取り上げており、あらためて選挙戦の争点となりそうな雲行きだが、時すでに遅しの感は否めない上に、前回の五輪誘致問題のように全市民的な関心を呼でいるとは言い難い。またその他の争点も、今一つ明確とは言えず、「吉田体制を続けるか否か」が最大の争点となれば対立候補が多いだけに票が分散されてしまう。そうなると投票日までの期間が短いだけに、候補者の知名度が大きく影響することになる。
以上の点を総合すると、KBCの朝の顔であった高島氏が、最終的には「反現職票」の受け皿となり、対抗馬の1番手となる可能性が高い-こう見るのが自然である。
ただ、結果を左右するのはそれだけではなさそうだ。ユニークな候補者が多いだけに、公私にわたり話題も豊富と言われており、情報合戦は避けられず、噂や怪情報が乱れ飛ぶ事が予想される。現に吉田氏については、すでにスキャンダルに関する情報が飛び交い始めている。
過去の選挙でスキャンダルに泣いた候補者は多く、特に女性有権者は異性関係のスキャンダルには敏感である。最近は特にインターネットや携帯電話などの情報ツールが発達し、根拠のない単なる噂までもが予想を上回る速さで世間に広がる可能性もあるから恐い。
いずれにしても今回は前回同様、当選を目指してあらゆる手段が用いられること必定で、各選対における参謀役の手腕がカギを握るだろう。こんな記事も読まれています
福岡市長選 候補者ほぼ出そろう [2010年9月6日09:17更新]
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