幼稚な犯罪 長崎の贈収賄事件 [2010年10月1日14:33更新]

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長崎県南島原市発注の公共工事に絡み、長崎県警が同市の下水道課前参事を収賄容疑で逮捕したのを新聞が報じていた(9月17日付)。最近の建設業界では談合も少なくなり、これに比例するように贈収賄事件の摘発も減少していただけに興味を持って記事を読んだが、その内容のお粗末さに驚いた。



 

贈賄側は水道工事コンサルタント「日新技術コンサルタント」九州事務所長で、収賄側である同市下水道課の前参事に現金を2回に分けて計40数万円を送ったとされる。びっくりしたのはその渡し方で、金は前参事が管理する銀行口座に振り込ませていたという。

贈収賄の現金は裏金として捻出され、その受け渡しは相手に直接現金で手渡すのが常識である。福岡と長崎では距離もあり時間を要するので、銀行を利用した理由も理解できないではないが、受け渡しの証拠を残す危険性に思い至らなかったのだろうか。

あるいは双方に「これは賄賂だ」との認識がなかったのか。「基本」を無視したあまりにも無謀な行為である。贈賄側と収賄側の信頼関係が成立しない限り、秘密裏に行なわれる現金の授受は非常に難しく、領収書はもちろん、たとえメモでも受け取りを書き残すのはタブー。もし賄賂の授受があったと認定されれば、今回の事件は幼稚な犯罪としか言いようがない。

 

かつて筑豊地区であった贈収賄事件。贈賄・収賄側双方を紹介し引き合わせた人物が立会人として同席した上で現金の授受を行なったが、その後関係者間でトラブルが発生し立会人が立腹。当局に通報して摘発された例もある。

最近は贈賄側の時効が3年、収賄側の時効が5年であることを捜査当局側がうまく活用するケースも多い。時効となった贈賄側の罪は問わず、まだ時効ではない収賄側を逮捕するための供述を引き出す手法。「自分さえ助かればいい」との保身が働き、結果的に相手を裏切る行為に走るわけだ。

固い信頼関係で結ばれていたとしても、手のひらを返すのは一瞬。重要なのは安易に相手を信用しないこと、過去の経緯にとらわれず常に用心を怠らないことである。