移り変わる酒のブーム [2011年3月10日11:24更新]

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(11年2月号掲載)

御神酒(おみき)という言葉があるように、日本人にとって酒は古来から、単なる嗜好品以上の存在、神聖なものとして扱われてきたように思う。



昭和40年代までは日本酒が主流で、地元で採れた米を使って酒を製造する蔵元が各地に存在した。 一方、九州を中心に庶民に愛されてきたのは焼酎である。

全国的には大手メーカーが作る甲類と呼ばれる物が主流だったが、価格も手ごろなことから地方の小さな酒蔵の商品が販路を拡大。大分の麦焼酎「いいちこ」や鹿児島・宮崎のイモ焼酎がブームとなり1本数万円のプレミアが付くブランド品も登場した。

だがそんな焼酎も、最近は一時の勢いに陰りが見え始めている状況で、誕生した多くの銘柄やブランドも、今後は次第に淘汰されていくことになりそうだ。

 

ここしばらくは焼酎に押され気味だった日本酒だが、最近は大学の醸造科を卒業して故郷に戻った若者たちが情報交換をしながら品質の改良に努め、質の高い酒を作るようになった-との話を聞いた。

従来は料理に重きを置いていたが今では各種の日本酒をそろえ、料理に合わせて酒をすすめる店も出現している。また日本酒と言えば和食と相場が決まっていたが、最近は若い料理人が「フランス、イタリア料理にも合う」として店で扱い、インターネットを使って海外に輸出される日本酒も増えているというから面白い。

酒屋の若い後継者の中には、各地の醸造元をたずねて新しい商品の発掘に精を出しながら、いずれ訪れるであろう日本酒ブームを先取りしようと密かに知識を高めている者も。

浮き沈みがあるのが商売の世界、こうした地道な努力が報われる日がいずれ来ることを願う。