(11年3月号掲載)
結局、1回目の不渡りとなったが、その後も現場は稼動し、代表の事業継続意欲も衰えてはおらず、何とか半年は持ちこたえるだろうと多くの関係者が信頼していた。ところが3月7日に2回目の不渡りを起こしてあっけなく事業を停止、私的整理に入った。
創業者である代表は、とにかく仕事に対する意欲が旺盛、若くして企業を起こしたが今日にいたるまでの道のりは平坦でなかった。
残土処理業の分野においては先駆者として、裁判などで行政との戦いを繰り返してきた。問題の解決方法をリサイクル製品に求め、やっとの思いで無機汚泥再生資材「N-ライト」を完成。特許申請中ではあるが発注主である行政も認め、大手ゼネコンも使用し始めた矢先の倒産であった。
残土処理業のかたわら、糸島市(旧糸島郡志摩町)に土地を購入し、九大移転に伴う開発を目論んだ。しかし、4万7000坪の土地を購入して開発するにはあまりにも経営母体の資金力が弱く、借入金がふくらむにつれ金利が経営を圧迫するなど、この計画がかなりの負担となったようである。
その結果、連帯保証人である実子と経理を担当していたその妻が、増え続ける借入金の大きさに恐怖を覚え、関係書類と実印などを持ったまま連絡が取れなくなったのが1回目の不渡りの原因。これが発端となり坂道を転がり始めた。
この様な時、甘い言葉を囁く人間が現れるのが世の常。整理屋やブローカーと思しき人物が事務所に出入りしていたとの情報も。糸島の土地を処分することでかなりの現金が入ってくることを想定して脚本を書き、実子を主役に仕立てようとした、演出家兼黒子の存在が考えられる。
代表が実子らを当局に訴えるという騒ぎを経て、最終的には書類や実印は代表の手に戻ったという。
幸い、土地売買が成立すれば、融資を行っている金融機関をはじめ親族からの借入金の返済や、一般債権者の負債も支払い可能。これからの整理は時間との戦いであると同時に、家族同士の信頼関係回復が大きな課題となりそうである。
72歳になった代表とは長い付き合いで、これまで必死に頑張っている情熱的な姿、波瀾万丈の人生を見続けてきた。それだけに、老代表が行なう「終戦処理」を、最後まで見届けたいと思う。
老社長の終戦処理 名島産業建設の破綻 [2011年3月31日09:10更新]
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