竹中工務店に強まる逆風 [2011年6月29日11:19更新]

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(11年6月号掲載)

スーパーゼネコン5社の中でも「竹中工務店」(大阪市)は、特に建築に関しては別格の扱いを受けてきた。

発注する施主は「わが社は竹中工務店さんに仕事をしてもらっている」というプライドや優越感を持って契約。下請け業者は「竹和会」という組織を作り、同社から受注した工事については優秀な職人を選んで仕事に当たらせていた。



だが今や、技術力よりも価格が優先される時代へと変わった。公共工事をあてにせず民間の特命工事を主流としてきた竹中だったが古き良き時代のようには受注できなくなり、価格競争の渦に巻き込まれ苦戦を強いられるようになった。

そのため現場責任者は、最後の仕上げや追加工事で下請け業者に無理難題を押し付け、赤字分は自分の借りで処理。業者からの請求はたとえ現場責任者が認めたとしても、書類が本社の経理に回らず実際には支払いが行われないケースが増えた。業者の完成工事未収金はふくらむ一方で当然、資金繰りは悪化の一途をたどる。

 

その1例が「牟田建設」(福岡市城南区)である。

同社は6月3日、自己破産の申請を弁護士に依頼、破綻が表面化した(負債総額約3憶5000万円)。10年12月期の売り上げは5憶0239万円だが、驚いたのは4憶6629万円の完成工事未収金が決算に計上されていたことだ。

同時に、牟田建設と取引があった「佐藤商店」(中央区)は銀行からコンサルタントを入れて経営再建を図り、所有していた箱崎ふ頭の倉庫跡地を4月に売却していたことが明らかに。苦しい台所事情を露呈させ、同業者の間で話題となった。

 

売却できる資産を所有している業者はまだいい。竹中からの仕事を主力としてきた「福岡土木」(東区)はこれまで蓄積されてきた工事未収金を回収するために、かなり綿密な計画を立てて実行に移している。

数年前から自己手形の振り出しを停止し借入金の返済を意図的に増やして、現在は借入金ゼロの状態にしたようだ。さらに、竹中からの受注を減らして同社への依存度を低くした上で、九州支店を飛び越えて本社と直接、交渉を始めた模様である。

他の取引業者も福岡土木同様、反旗を翻すのは時間の問題ではないか-こう語る関係者は多い。

 

竹中の九州支店トップは、自身の昇進と支店利益の確保を優先するあまり、かなりの取引業者を泣かせてきた。業者の決算書には一目瞭然の数字が記載されており、これを契機に同社の取引先が金融機関などから厳しい追及を受けるのは必至だ。

業界に君臨してきた竹中工務店だが、今後の受注に大きな影響を受けることになるだろう。