障がいのある人の可能性発掘 エイブルアート・カンパニー [2008年3月7日08:35更新]

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(08年2月号掲載) 

天神イムズで開催された合同展このシリーズで紹介した「JOY倶楽部プラザ」や「工房まる」などのように、アートに取り組む作業所が増えている。

1月下旬、福岡・天神のイムズ地下の催し会場で開かれた、福岡市主催の「ときめきフェスタアート展」と、三菱地所などが主催する「キラキラっとアートコンクール」の合同展には、福岡市内の5施設が参加して、絵画や陶器、木工など多彩な作品を披露した。作品は、いずれも個性的でインパクトがある。各施設ではこうした作品を、作品そのもの、またTシャツやポストカード、バッグなどにして販売、利用者の給料にあてている。



そうした活動で隠れた才能が開花し、一般のアート作品に伍して評価される人も出てきた。しかし、作業所の職員は福祉の専門家であっても、アート作品のPRや営業活動の専門家ではない。そのため外部への発信もアート作品を使った商品化もまだ十分ではない。

 

そんな現状を打開しようと昨年、全国から障害のあるアーティストを発掘して、その作品を外部の企業や団体に提供したり、クリエイターと組んで商品化したりする専門組織「エイブルアート・カンパニー」が誕生した。

その福岡の事務局を担当しているのが、前回紹介した工房まるの母体である「NPO法人まる」。同法人理事長の樋口龍二さん(33)によれば、発端は1995年に財団法人たんぽぽの家(奈良市)が始めたエイブル・アート・ムーブメントという市民運動。

これは、障がい者のアートは既成の美術概念を覆す力があると考え、積極的に障がい者のアートを世に広めていこうというもので、同じような活動をしている東京のエイブル・アート・ジャパンと、福岡のNPO法人まるの3者が共同し、より強力な情報発信と事業化のためのエイブルアート・カンパニーが生まれたという。

 

樋口さんは福岡でこの活動の牽引者となっているが、以前は美術はむしろ嫌いな方だった。

「昔、美術の成績が悪く、絵には苦手意識があったんです。ところが、1999年に東京で開かれたエイブルアート展を見て、それまでの美術観が180度ひっくり返されたのです。絵はこんなに自由に描いていいのかと。同時に何物にも束縛されないアートの力に魅了されました」

エイブルアート・カンパニーの仕組みは、毎年公募でカンパニーアーティスト(障害のある登録作家)を募り、作家個人や施設と契約を結び、著作権保護とともに作品をウェブなどに公開し、興味を持った企業や団体から著作権料を得て作家に還元する。また、クリエイターと共同でオリジナル商品の企画や製作、販売を行うというものだ。

昨年6月、16人のアーティストを選んで、東京・代官山でデビュー企画展を開催し、大変好評だった。今年はさらに登録作家の数を増やし、7月に東京・代官山、その後は福岡のイムズでも企画展を開催する予定だという。

★問い合わせ先 TEL092-562-8684