今年2月、岐阜県の高校1年生(16歳)と東京都と滋賀県の中学3年生(15歳と14歳)の3人を不正アクセス禁止法違反と電子計算機使用詐欺で警視庁が逮捕した。
昭和生まれの世代には中々理解できない事件だが、そもそも遠く離れた3人が、どうやって知り合い、いつから犯罪に走り、多額の金銭をどうしていたか、分からないだろう。
先ずもってITに詳しい関係者は、この3人が映画に出て来るような凄腕のハッカーではないことを断言している。
誰でも入手可能なプログラムや対話型生成AI(人工知能)と、一般的なハッカーの間で使い回されているツールを使えばできる犯罪、もっと言えば狙われた楽天モバイルのセキュリティの低さを指摘している。
この3人、元々はオンラインゲーム等で知り合い、チャットで親交を深め、中高生だけに面白半分で「金が欲しい」や「ハッキング技術」の話がきっかけで、暴走が始まったのではなかろうか。
彼らは個人のIDとパスワード33億アカウント分を仮想通貨で購入、そしてセキュリティも緩い上に、追加で本人確認書類無しで15個の携帯番号を取得できる楽天モバイルに着目した。
これで70件近いアカウントの不正アクセスに成功、約2500件の携帯番号を手に入れ、テレグラムを使い1件3000円ほどで販売、中高生では考えられない約750万円の仮想通貨を手に入れていた。
事件で使われたチャットGPTは不正プログラムなどの作成を実行しない設定になっている模様であるが、これもネット上には特殊な指示を出してAIを騙し、悪意のある指示に従わせる手法が開示されており高い技術や知識は必要ない。
小中高生のITリテラシーを止める必要はないが、モラルや犯罪意識の教育を徹底しなければ、今後はとんでも無い日本になるような気がしてならない。
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IT犯罪の若年化
「貯蓄から投資」と言われましても
小学校の頃、月に一回「貯金の日」に、児童全員がそれぞれおこづかいを学校に持って来て貯金するという日があった。
私も含め、児童の多くは 毎月100円程度を預けていたが、カバン屋のK子ちゃんは1回1万円を預けていて、その時初めて格差というものを肌で感じた気がする。
我が国では、コツコツ働いて将来のために貯金をすることが美徳とされてきた。
バブル後長期間続いたデフレの時代はそれでも良かった。
しかし、ウクライナ戦争を機に物価が急上昇を始めると、貯蓄で買えるモノの量が目減りしていくことを知る。
私の頭でも貯金だけじゃダメだと分かる。
岸田総理は6月、今年を「資産所得倍増元年」とし、「貯蓄から投資へ」のシフトを大胆かつ抜本的に進めていくと発表、資産形成の重要性を国民に訴えた。
そう急に言われましても、どうしたらいいか分からない。
これまでも株やFX、投資信託で儲かったという人をあまり聞かないし、世の中には投資詐欺が溢れている。
〇〇ファンド、仮想通貨、ネットワークビジネスなど数えきれない投資話、あぶく銭がある人が真っ先に引っ掛かるが、なけなしの貯金まで吸い取られれる者や、借金までして自殺に追い込まれた学生もいる。
政府が投資を推奨するとなれば、今後もっと巧妙な投資話が出てくるだろう。
彼らは心理戦に長けていて、組織的で素人の何倍も上を行く。
つい最近の話だが、2年前にネットワークビジネスで散々な目にあった60代後半の婦人が、〇〇〇〇プロジェクトなる投資案件に600万円つぎ込み、知り合いにも勧めていると聞いた。
何でも新しいクレジットカードを作る100億円のプロジェクトに投資するというもの、そもそも そんな上手い話なら企業が投資すればよいのに、一般のおばちゃまから集めているところが怪しい。
政府におかれては、学生は勿論だが一般国民に向けの金融リテラシーを身に着ける施策に取り組むようお願いしたい。
それと、詐欺は立件しにくいというが 抑止になるような厳罰化も同時に考えるべきだ。
それがないと、国民は路頭に迷うばかりである。