経営不振に直面し、再建の道を模索する日産自動車だが、その動向には、工場を構える福岡県苅田町に隣接する行橋市の繁華街にも影を落としている。
苅田町には飲食店が少ないこともあり、行橋市のJR行橋駅前は京築エリア随一の繁華街として知られ、日産の関係者らは、取引先の懇談や同僚の親睦の場として行橋市の店を利用し、地域経済に潤いをもたらしてきた。
しかし今回の経営不振問題で、スナック経営者らは日産の行く末を「死活問題」と捉え、固唾を呑んで見守っている。
日産自動車九州の幹部が常連だったというスナックの経営者によれば、昨年までしばしば開かれた日産や自動車部品メーカーの会合が、経営問題が深刻化した今年初め頃からめっきり減り、「この繁華街は日産を中心とした自動車関連のお客さんに支えられてきた。近頃は人もまばらで街がさみしくなった」と語る。
日産の再建計画は依然として全容が明らかになっていない中、苅田町の生産拠点(日産自動車九州、日産車体九州)は閉鎖されず、維持される見通しだが、日産は2万人に及ぶ人員削減を発表しており、九州の工場も「無傷ではいられない」(地場の自動車部品メーカー幹部)との見方が大勢。
日産の再建計画によっては取引がある部品メーカーも仕事が減り、人員整理に乗り出す恐れもあり、地域経済にさらなる打撃が及ぶのは想像に難くない。
どの業種でもリストラ実施時に対象として挙がるのは40~50歳代、あるラウンジ経営者は「最も足を運んでくださる世代。彼らが少なくなれば売上に大きな影響が出る」と憂慮する。
日産が今後どんな再建計画を発表するのか。
地元の自動車産業で働く人々だけでなく、飲食店を含め夜の街の住民も成り行きを注視している。
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