どうなる維新?

日本維新の会が揺れている。

昨年の統一地方選挙で躍進し、野党第一党に向けて順調に党勢を拡大するかに見えたが、昨年後半から大阪万博に関し多額の費用が掛かる木造リングへの疑問や海外パビリオンの建設の遅れが露呈した。

また、その後もパワハラなどを理由とした地方議員の相次ぐ離党により支持率は下落トレンドに転じたように思う。

今年に入り国民民主党から分裂した教育無償化を実現する会と統一会派を結成し、野党内での存在感を高めると思われたが、4月の衆参補選では自民党が不在の長崎3区、東京15区に公認候補を出すも、いずれも立憲に完敗し野党第一党への道は厳しいものとなった。

さらに、東京15区で自陣営の公選法違反の可能性について注意喚起したことを巡り、代表選に出馬経験もある足立康史衆議院議員と党執行部の間で内紛が発生、直近では政治資金改革を巡り馬場代表と岸田総理が合意し衆院で自民の穴だらけの法案に賛成するも、参院では反対に転じるなど迷走している。

維新は過去に二度の分裂を経験しているが、1度目は平成26年にみんなの党との合流を巡り橋下徹派と石原慎太郎派(次世代の党を結党)に分裂。

その後、日本維新の会は結いの党と合流し維新の党となったが、この党も橋下氏や松井一郎氏の離党などをきっかけに内紛状態に突入し、同27年冬に2度目の分裂となった。

このような分裂と合流の歴史を繰り返す維新は、衆院選の成績も同24年・54議席、同26年・41議席、同29年・11議席、 令和3年・41議席と乱高下している。

選挙を重ねる中で、国政では熊本県副知事を経験した小野泰輔衆議院議員、福岡政界では県組織代表を務める若きエース天野浩市議、民間感覚に秀でた塩生好紀県議などホープはいるものの、いかんせん人材にムラがありすぎる。

野党第一党を目指すのであれば先ずは内紛を繰り返す歴史に終止符を打った上での、世代交代が必然となるが、目下のところそれは難しいように見える。

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前市長逃亡? 大丈夫か、大阪IR

平成28年12月22日、大阪市内で行われた大阪都構想の説明会の中で、松井一郎市長(当時)が言い放った。
カジノに税金は一切使いません。

「これ統合型リゾートですから特定の政党(共産党?)が間違った情報を流布してますけど、これだけはっきり言っときます。IRカジノには一切税金使いません。逆です。民間事業者が大阪に投資してくれるんです。その額は 5000億から1兆円 大阪に投資されます。そこはご心配いただかないようにしてください。」

ところが、既にIRの土壌対策として 1000億円を超える公費(税金)が投入されることが明らかになっている。
当初は複数のIR開発会社の競合を想定していたが、終には米国MGMのみとなり、現在のカジノ業界を取り巻く環境をみても いつ離脱してもおかしくはない状況にある。
それを裏づけるのが「解除権」の3年間の延長だ。

大阪府・市がIR開発会社と締結する実施協定案には、一定の事業条件が整わない場合、契約を解除する権利が含まれており、権利を行使した場合、IR開発会社は損害賠償も手数料も支払う必要はない。
2026年9月まで3年間の解除権延長は、MGM側の意向をのんだ格好で、府・市は圧倒的に不利である。

途中で解除された場合、代わりの業者はいないので それまでの投資が無駄になる。
IRと万博の成功・失敗は大阪の経済だけでなく日本全体に影響が及び、国費も投じられるので他人事で済ます訳にはいかない。

既に想定外が続き、IRの開業時期は延期されている。
万博~IRを推進してきたのは紛れもなく日本維新の会、その中心人物で「税金は一切使いません」と言い放った松井市長は早々と退散、責任回避で逃亡したという声も。

維新は「身を切る改革」で党勢を拡大してきたが、これらの事業でやっていることは正反対、そのフレーズが霞んで見えてくる。