福岡市では昭和52年の地下鉄空港線の建設工事から、縄文時代の土器や石器が発見され、その後も中国製の陶磁器などが次々に出土している。
これまでの調査から、JR博多駅の北西エリア一帯(東は御笠川、西は那珂川に挟まれた範囲)を「博多遺跡群」とし、「掘れば確実に何かが出る地域」とされ、建て替えを計画するも発掘調査に掛かる費用や期間で諦めたケースも数多くあった。
また、令和6年2月に旧冷泉小学校跡地で博多遺跡群の一部と考えられる「石積遺構」が発見され、これは博多が中世の国際貿易都市として栄えていた事を示す学術的な価値が認められ、「博多遺跡」という名称で国の史跡に指定されている。
元気都市福岡では、天神ビックバンや博多コネクティッドで次々に大型ビルの建設ラッシュが始まっているが、周辺地域でもホテルやビジネスビルの建設も増加している。
しかしながら既存の建物を壊した段階で、特に博多区の冷泉地区周辺では文化財が出土することが多い。
試掘調査の結果、埋蔵文化財が確認されれば、文化財保護法第93条に基づき工事の届け出を提出した事業者が、作業員の人件費や消耗品費、重機代などを負担しなければいけない。
発掘調査は2~3ヶ月、場合によっては1年以上に及び、1㎡あたり約9万円の費用が必要とのこと。
しかし、福岡市の現状では調査員の確保が難しく最低でも1年以上に亘り工事を進めることが出来ない状況にあるようだ。
民間でも発掘調査をする業者はあるが、その費用は2倍、最近では人件費の高騰で3倍程度が掛かる模様。
1年間工事がストップし、発掘調査費用や金利を計算すると、かなりの高額になり頭を抱えている事業主も出ており、福岡市も何らかの救済措置を考えるべきだろう。

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