野党共闘の結果、立憲と国民に明暗
選挙前、立憲民主党が貼り出したポスターには 「日本再建」と書かれていた。選挙が終わり、議席を減らしたことで 枝野代表と福山幹事長が辞任の意向を示し、新たな代表が選ばれる予定だ。
党内に様々な問題を抱える立憲は、まずは「政党再建」から着手しなければならない。
共産党の妥協で野党統一が実現したことで、選挙区の立憲民主党の候補者が 自民候補と接戦となり、福岡では 5区と10区では勝利した。
しかし、比例票が伸びず 結果的に立憲民主党は議席を減らすことになった。
比例九州ブロックでは、前回7議席(旧立憲3+希望の党4)あった議席が、改選後 立憲は4議席にとどまった。
ただ、立憲に合流しなかった国民民主党が 1議席を獲得、選挙前の政党支持率が1%に満たなかったのに、得票率が4.4%もあったのには 驚かされた。
理由として、(1)連合票が 立憲に向かわず 国民に行ったこと、(2)投票時の立憲と国民の党名略称が同じ「民主党」で案分されたこと、(3)政策が現実的で若い世代に受け入れられたこと などが挙げられる。
ちなみに、選挙ドットコムというウェブサイトに、投票マッチングというコーナーがある。
https://shugiin.go2senkyo.com/votematches/
20の質問に答えれば、最も自分に近い政党を判定してくれるのだが、これまでの集計結果で最も多いのが 国民民主党29%だった。
共産党に対する非礼
野党共闘をワンマンで進めた立憲枝野代表が 責任を取って代表を辞任するのはいい。だが、その恩恵に預かった者が多数いる。
彼らに「共産党と組むのは止めた方がいい」と言えるだろうか。
選挙前、共産党事務所に出向いて 共産候補を取り下げる様に頭を下げた者もいる。
自民に勝つという大義の下、譲歩している共産へのメリットは少ない。
立憲にとっては 選挙区で共産票をまるごと頂ける。
そのくせ選挙が始まると、共産とは距離を置き 一線を画した風に振る舞う。
中には、党本部が決めたことで 頼んだ覚えはないと、涼しい顔をしている候補者も。
少なくとも、自民党の候補者や街宣車は 「比例は公明へ!」と叫んでいたが、「比例は共産へ!」と 呼びかけた立憲の街宣車はいない。
共産党の街宣車が、「選挙区は ○○候補(立憲)を、比例は 共産に!」と連呼しているのを迷惑がる 立憲陣営もあった。
非礼も甚だしい。
内心穏やかでないと思われるが、気にする素振りも見せず 野党共闘を叫ぶ共産陣営のひたむきさには感心した。
立憲の新執行部では、野党共闘を見直す動きになるかもしれないが、それぞれが今回 受けた恩に対しては 丁寧に対応した上で、次のステージに進んでほしい。
理想は新党結成
今回 立憲と共産は議席を減らしたが、維新は4倍増、野党共闘に加わらなかった国民民主も微増となった。維新は大阪で、候補者を立てた15区全てで勝利し自民を圧倒、ここに 立憲の進むべき道のヒントがあると言えよう。
平成以降、自民党政治に嫌気がさした国民は、日本新党、民主党、日本維新の会、希望の党と 基本的に保守政党に期待した。
いずれも 自民の議員、或いは政治信条が右の議員らが主導している。
4年前、希望の党から排除された議員が集った立憲は、どうしても左に寄らざるを得なかった。
一方の希望の党は 小池都知事と決別し国民民主に名前を変えたが支持率は低迷、選挙基盤の弱い殆どの議員は 左寄りと分かっていながら 昨年9月、立憲に合流した。
数は増えたが政治信条がバラバラ、根っこが違っていては上手くいくはずがない。
だから、今度党首が代わっても何も変わらないだろう。
選挙が終わったばかりで恐縮だが、敢えて理想を言うなら、政治信条を同じにする者で 新党を結成することだ。
そうすれば、次の選挙前には 国民民主との合流や、関西以外で下部組織のない維新と協力する選択肢も出て来よう。
自民に変わる政権政党の登場を待つ国民は多い。
立憲の党首が変わってそうなれるかどうかだが、期待しないでウォッチしていきたい 。