世界レベルを間近で見る機会

2001年以来22年ぶりとなる世界水泳選手権福岡大会が開幕した。
福岡市は期間中の来場者数を40~50万人と試算、経済波及効果は福岡市内で540億円の見込みとしているが、根拠資料は黒塗りで公開されないままだ。
弊社記事→ 共産党が追求!市負担金3倍も内訳は黒塗り(2023年3月24日)

それはそれとして、この福岡に世界のトップアスリートたちが集まって来ている。
福岡県民としてこの機会を共有しないのは もったいない。



16日に行われた 水球女子、イスラエル対カザフスタン戦を見に行った。
国歌斉唱の場面では、各国の国歌に合わせ 出場選手と観客が大声で歌っていた。

試合が始まって水の格闘技と言われる理由が分かった。
ボールを持っていない ほぼマンツーマンの選手の間で何かが起こっている。
守備の選手が攻撃の選手へのパスを阻止するため、水面下で手足を引っ張っているようで、溺れているようにも見える。

審判はボールを持つ選手への妨害はチェックしているが、ボールを持っていない選手同士の戦いに関心はないようだ。
試合中、常に水に浮き、ボールに向かって全速力で泳ぎ、肉弾戦を繰り広げる中で相当体力を消耗するものとと思われる。
試合が終わると 水面下の格闘を忘れたかのように 互いのプレーを称え合い、全選手・コーチが握手を交わしていた。

熱戦は30日まで続く。
期間中、多くの日本の若者たちに会場に足を運んでもらい、「世界」レベルの空気に触れてほしいが チケット代が高額なのが残念。
福岡都市圏の小中学生と引率者、10000名が抽選で招待されているというが、残念ながら会場はガラガラ。

机上の経済波及効果540億円は眉唾だが、世界のトップレベルに触れることで子どもたちへの教育効果は何物にも代えがたい。
総事業費225億円、市負担金120~130億円と当初見込みの3倍になっているが、もっと市内の小中高生を招待する工夫があっても良かったのでは。

共産党が追求!市負担金3倍も内訳は黒塗り

東京五輪を巡る談合・汚職事件で電通に対する信用は失墜した。
とは言え、行政側にイベントの企画力はないため、大規模な国際大会になるほど電通頼みとなる構図はこれからも変わらないだろう。

さて、今年7月に開催される第19回FINA世界水泳選手権福岡大会において、大会組織委員会とマーケティング専任代理業務契約を結び、全体を仕切っているのが「電通・電通九州グループ(以下電通)だ。
福岡市は2015年、日本水泳連盟の支援を取り付け 世界水泳招致委員会を設立、 12月17日に正式に立候補を表明し、2016年1月にハンガリーブタペストで行われた国際水泳連盟理事会で招致が決まった。

2017年2月、組織委員会が 総事業費100億円と試算、福岡市は負担金を 35~40億円と見込み予算化した。
同年5月には、連盟がプロポーザル方式で マーケティング選任代理業務の業者選考を行ったが、事前の説明会には11者の参加があったという。
しかし、応募したのは電通1者のみ、結局電通に決まり6月に随意契約を締結している。



2019年10月には、市から市議会に対し、事業費が膨らみ負担金が増えるとの報告があるも、負担金の内訳を示さなかったため市議会から問題視する声が上がっていた。
また、業者選考時の組織委員37名の中に電通と電通九州の社長が名前を連ねていたことも判明している。

そして、今年2月17日に開会した市議会で、総事業費225億円、市負担金120~130億円と当初見込みの3倍になることが判った。
市が公開した根拠資料のうち、組織委員会と電通との契約書の半分以上が黒塗り(下図)、また、高島市長が言う「経済波及効果540億円」の元となる支出額明細も黒塗りで、市議会が事前に税金の使い道をチェックできない状況となっている。



分かりやすく言うと、「負担金が想定の3倍に増えましたので黙って支払って下さい。内容については説明できません」というもの。
東京五輪における不祥事が次々と明るみになり、電通に対する世間の目が厳しくなっている今、こうした黒塗りに疑念が湧いても仕方がないだろう。

市議会では共産党市議団が問題を指摘し 大会中止を求め反対するも、予算案は賛成多数で通過、今さら止める訳にはいかないという判断だろう。

当初の予算がなし崩し的に膨張した点では東京五輪と類似している。
まさか後々不祥事が明るみに出ることはないと思うが、それなら黒塗りなどしないで明細をガラス張りにするべきだ。