筋通さぬ市長に自民支持者が反発!

16日に告示される春日市長選挙は、現在までに現職の井上澄和市長(72)と新人の川崎英彦氏(60)、同じく近藤幸恵氏(65)の3人が名乗りを上げているが、春日市民が井上氏に7期目を託すかどうかに注目が集まっている。

井上市長は1999年(平成11年)に初当選以来、6期24年春日市の発展に尽力してきた。
しかし、県内60市町村の中で6期目の首長は井上氏ただ一人、ロシアのプーチン大統領より在任期間が長く、さすがに7期目となると市民の間にも迷いが生じている。
しかも、これまで市長を支持してきた自民関係者から反発の声が出ている様だ。

 

自民党の推薦なし

過去の選挙で 自民・民主・公明から推薦を取り付け盤石の体制を築いてきた井上市長、今回も 早々と立憲・国民・公明の推薦を得ることに成功したが、肝心の自民党から推薦が出ていない。

実は、春日支部には市長と川崎氏の2人から推薦願が出ていたため、総会を開催し採決を取ることにしたという。
川崎氏は自民党市議として積極的に党務に励んできたが、一方の市長には党籍がない。
それだけならいいが、2021年の衆院選に向けて立候補の準備を進めていた 自民党の栗原渉元県議会議長とは距離を置き、5区内の自治体で為書きを送っていない首長は井上市長だけというのが党員の間では知られていた。

また、今回の選挙に向け、市長が早々と立憲から推薦を得ていたことから、5区の堤かなめ衆院議員との間で、県議選で立憲公認の室屋美香氏を支援する取引をしたという噂が広がっていた。(実際に支援したことは後述する。)

こうした経緯もあり、採決が行われ、川崎氏の推薦を支持する党員が6割以上を占めるという結果になった。
本来なら多数決で川崎氏で決まるべきところだったが、慌てた市長支持の党員からどちらを選ぶか5区総支部の判断に委ねることを提案、春日支部では結論を出さないまま5区総支部に上げることに。

5区総支部としても春日支部内で意見が割れている状況で、どちらかに決めるよう言われても困るだけだろう。
結局、どちらにも推薦を出さないことで落ち着いた様だ。

 

自民党への敵対行為

4月9日投開票の県議選は予想通りの激戦となり、立憲新人の室屋美香氏が初当選、自民の中牟田伸二氏が4選を果たした。
同じく4選を目指した松尾嘉三氏は、選挙直前に悪質な怪文書が撒かれたことが響き、僅かに及ばなかった。

弊社記事 → 保守分裂の県議選(2023年4月6日)

 室屋 美香 立民 新 10,720
 中牟田伸二 自民 現 10,677
 松尾 嘉三 自民 現   9,437

噂されていた通り、井上市長は選挙期間中も自民党公認の松尾嘉三氏を一切応援せず、逆に自身の市政報告会に 立憲の室屋氏を出席させ支持を呼び掛けている。
今回松尾氏が落選したことに、中牟田氏の支持者からも「自民党への敵対行為に他ならない」と怒りの声が上がっている。

また、今までの流れから、井上市長が再選したとしても次期衆院選で栗原氏ではなく堤氏を支援する可能性もあり、自民支持者から「栗原さんのためにならん」という意見も出ている。
そう言えば、井上市長は政治家になる前は山崎拓氏の秘書を務めていたと聞く。
山崎氏と言えば、先の衆院選で立憲の辻本清美氏の応援演説を行ったことで、党の規律を乱したとして1年間の党員資格停止の処分を受けている。
井上市長が師匠に倣って 立憲の議員を応援していても何ら不思議ではない。

「選挙は何でもあり」という言葉があるが、一般人にとって理解しがたいことばかりだ。

保守分裂の県議選

県議選も残すところあと3日、選挙カーのトーンが上がってきた気がする。
今回の特徴として、前回より保守分裂の選挙区が多くなった点が挙げられる。
自民公認 vs 無所属、自民公認 vs 自民公認、自民推薦 vs 自民推薦など、それぞれの選挙区によって事情は異なるが、地域を二分する戦いが繰り広げられている。

太宰府市・筑紫野市長選と同じ構図

今回から 定数2となった太宰府市選挙区には3人が立候補、3期目を目指す現職の渡辺美穂氏(61・立憲社民推薦)が頭一つ抜け出し、新人で元市議の宮原伸一氏(57・自民公認/公明・農政推薦)、平川裕紀子氏(48・無所属)が追いかける展開となっている。

草の根運動を展開する平川氏には政党推薦はないが楠田大蔵市長が支援、選挙前から陣営に原田義昭元衆院議員のスタッフが入り巻き返しを図る。
一方の宮原氏は5区の総支部が支援、同じ構図の1月の筑紫野市長選で苦杯をなめたが、ここで負けると次の衆院選に影響が出てくることが予想されるため、総力を結集して臨んでいる。




春日市・怪文書出回る

定数2の春日市選挙区には3人が立候補、新人の室屋美香氏(50・立憲公認)、4期目を目指す 中牟田伸二氏(65・自民公認/農政推薦)、同じく4期目を目指す 松尾嘉三氏(54・自民公認/農政推薦)の3人が激しく争っている。

井上市長は室屋氏(立憲)とバーター?(2023年3月9日)

その春日市では市長選挙(4月16日告示)を控えているが、県議選の期間中にも拘わらず、市長の市政報告会に室屋候補と中牟田候補が揃って出席するという珍事が起きている。
井上市長にとっては与野党から支持を受けているアピールになるかもしれないが、候補者の2人は内心複雑だろう。
得をするのは井上市長だけという話だ。

そう言えば1ヵ月ほど前、松尾氏を貶める内容の怪文書が自治会長などの市民、近隣の議員の送られてきた。
また、更に詳しい分厚い資料が弊社にも届いたが、別段驚くほどの内容でもなかった。
怪文書にしては手が込んでいることから、興信所を使い費用を掛けたことが窺えるが、誰が指示したか、この構図から自ずから見えて来る気がする。

井上市長は室屋氏(立憲)とバーター?

春日市の県議選(定数2)が激戦になりそうだ。
現職はいずれも自民3期目の 中牟田伸二県議(65)と松尾嘉三県議(54)、過去3回の選挙は 1・2位を激しく争ってきた。
両陣営ともこれまで以上に厳しい選挙になると見ている。



というのも、前回無所属で県議選を戦った室屋美香氏(50)が、今回は立憲民主党公認で出馬を予定しているからだ。
室屋氏は、ケーブルステーション福岡の元アナウンサーで知名度は高い。
現在は 福岡5区・堤かなめ衆院議員(立憲)の公設秘書を務め、堤氏と春日市内の公民館で小まめに集会「りっけん市民カフェ」を行い、支持を広げている。



気になるのが井上市長の動向だ。
もともと中牟田県議は2011年に井上市長が擁立した人物で、市長の後継者と言われていた。
ところが、前回2019年の選挙で、井上市長が裏で室屋氏を応援したという噂が飛び交い、幸いにして中牟田氏はトップ当選で 事なきを得たが、後援会には不信感が募っていたという。

そして、今回 室屋氏が立憲公認で立候補予定だが、3月5日に開催された室屋氏の総決起集会では 井上市長が挨拶を行い 支援を呼び掛けた。
実は、今回7期目に挑む井上市長には、既に立憲から自民よりも早く推薦が出してもらったという事情がある。

過去に多選批判を繰り返してきた民主系の立憲が、プーチンより任期の長い井上市長に推薦を出すとは驚きだが、「市長の室屋支援と立憲の市長支援はバーター」と見られており、あからさまな市長の室屋支持に中牟田県議の支持者からは不満の声が上がっている。

政治の世界は何でもあり、戦国時代と同じだ。
どうする、中牟田県議?