選挙管理委員会にクレーム

16日告示23日投開票の春日市長選・市議選について、選挙管理委員会の対応への不満が聞かれた。
まず、17日から期日前投票が始まっていたにも拘わらず、「投票所入場整理券」が有権者の家に届けられたのが 18日から19日にかけて。
春日市の市報には「整理券は事前に郵送する」と書かれてあり、送られてくるのを待っていた市民からクレームが多かったという。

市報には、「整理券がなくても選挙人名簿の登録が確認できれば投票できます」という記載もあるが、一般的に整理券を持参するものと認識されており、整理券なしで投票所に行くという発想にはならない。
また、ここにも 不思議な話が。
整理券なしで投票所に行く場合は本人確認書類が必要と考えられるが、春日市の投票所では手ぶらで行っても可ということで、「成りすましができるのでは」との指摘もあった。



それから、期日前投票の投票所の入口に 一部の候補者が見えるように選挙公報が置かれていたことに対する苦情があった。
投票所に選挙公報が置かれているのは見た記憶はないが、投票に来た人に求められたときのために選挙公報を備えておく必要があるのは理解できる。

しかし、3人が立候補している中で 特定の候補だけが見えないということは そちらに不利になる可能性もある。
来場した有権者から指摘があり、選挙公報そのものを目に触れない場所に置くようにしたという。



そして、開票について。
各自治体の選挙管理委員会は、開票の途中経過を30分おきにホームページで公開している。
23日の夜は県内26市町で首長選・市町議員選の開票が行われていたが、春日市は途中経過を公表していなかった。
後で確認したところ、公表する体制を取っておらず、これまでの選挙でも同じだったという。

事務局も県議選に続く市長選・市議選で大変だったと思うが、クレームの中には 見直すべき点は多々あったろう。
春日市選挙管理委員会は、今回寄せられた意見を参考に改善点等を検討していくとしている。

当たり前の「情報公開」を訴える2人

弊社では情報公開に消極的な自治体にスポットを当て報じてきた。
個人情報以外の部分について開示するか否かの判断には 一定の幅があり、首長の裁量に委ねられていると言ってよいだろう。

そのため、開示した資料が「黒塗り」だらけの自治体は、官製談合や不都合なことを隠そうとしていると疑われても仕方がないのである。
また、そこの首長に限って、「条例に従い ガラス張りで公開している」と真顔で説明するものだ。

ところで、福岡県内の情報「」公開のベスト4、大任町・田川市・春日市・嘉麻市のうち、田川市と春日市で首長選挙が明日16日に告示されるが、それぞれに情報公開が不十分と主張する立候補予定者がいるという。

 

公共施設の収支が黒塗りの春日市

春日市では、井上澄和市長が「放課後児童クラブ」の収支報告書を黒塗りで公開したことをきっかけに、他の公共施設(スポーツセンターや図書館、児童センターなど)の公共施設の収支計画者についても一律に黒塗りすることになった。
学童施設で実費徴収したおやつ代をいくら使ったか、図書館がいくら図書の購入費に使うのか、市民も市議も知る術がなくなっている。

春日市の情報公開に関する 過去の弊社記事

元市議で立候補を予定している川崎英彦氏(60)は、公共施設の決算書黒塗りを問題視し、情報公開推進会議の設置や、行政評価に外部の目を入れること、予算編成のプロセスの公開などを推進するとしている。

かわさき英彦 公式ウェブサイト



 

意思決定過程に疑問の多い田川市

田川市では、家庭用ごみ収集について市の委託業者選定が不透明だっとして、百条委員会が資料提出を求めたにも拘わらず、二場公人市長の判断で明らかにされず疑惑の解明に至らなかった。
また、住環境に大きな影響のあるバイオマス発電所の建設が、住民に知らされないまま進められるということもあった。

田川市の情報公開に関する過去記事
田川バイオマス発電に関する過去記事

出馬を予定している市議の村上卓哉氏は、「公平・公正な市政をすすめるために税金の使い道を全て隠すことなく公開しガラス張りの行政を実現します」としている。

村上たくや 公式ウェブサイト



春日市と田川市で情報公開が進むのか、有権者の判断に注目したい。

筋通さぬ市長に自民支持者が反発!

16日に告示される春日市長選挙は、現在までに現職の井上澄和市長(72)と新人の川崎英彦氏(60)、同じく近藤幸恵氏(65)の3人が名乗りを上げているが、春日市民が井上氏に7期目を託すかどうかに注目が集まっている。

井上市長は1999年(平成11年)に初当選以来、6期24年春日市の発展に尽力してきた。
しかし、県内60市町村の中で6期目の首長は井上氏ただ一人、ロシアのプーチン大統領より在任期間が長く、さすがに7期目となると市民の間にも迷いが生じている。
しかも、これまで市長を支持してきた自民関係者から反発の声が出ている様だ。

 

自民党の推薦なし

過去の選挙で 自民・民主・公明から推薦を取り付け盤石の体制を築いてきた井上市長、今回も 早々と立憲・国民・公明の推薦を得ることに成功したが、肝心の自民党から推薦が出ていない。

実は、春日支部には市長と川崎氏の2人から推薦願が出ていたため、総会を開催し採決を取ることにしたという。
川崎氏は自民党市議として積極的に党務に励んできたが、一方の市長には党籍がない。
それだけならいいが、2021年の衆院選に向けて立候補の準備を進めていた 自民党の栗原渉元県議会議長とは距離を置き、5区内の自治体で為書きを送っていない首長は井上市長だけというのが党員の間では知られていた。

また、今回の選挙に向け、市長が早々と立憲から推薦を得ていたことから、5区の堤かなめ衆院議員との間で、県議選で立憲公認の室屋美香氏を支援する取引をしたという噂が広がっていた。(実際に支援したことは後述する。)

こうした経緯もあり、採決が行われ、川崎氏の推薦を支持する党員が6割以上を占めるという結果になった。
本来なら多数決で川崎氏で決まるべきところだったが、慌てた市長支持の党員からどちらを選ぶか5区総支部の判断に委ねることを提案、春日支部では結論を出さないまま5区総支部に上げることに。

5区総支部としても春日支部内で意見が割れている状況で、どちらかに決めるよう言われても困るだけだろう。
結局、どちらにも推薦を出さないことで落ち着いた様だ。

 

自民党への敵対行為

4月9日投開票の県議選は予想通りの激戦となり、立憲新人の室屋美香氏が初当選、自民の中牟田伸二氏が4選を果たした。
同じく4選を目指した松尾嘉三氏は、選挙直前に悪質な怪文書が撒かれたことが響き、僅かに及ばなかった。

弊社記事 → 保守分裂の県議選(2023年4月6日)

 室屋 美香 立民 新 10,720
 中牟田伸二 自民 現 10,677
 松尾 嘉三 自民 現   9,437

噂されていた通り、井上市長は選挙期間中も自民党公認の松尾嘉三氏を一切応援せず、逆に自身の市政報告会に 立憲の室屋氏を出席させ支持を呼び掛けている。
今回松尾氏が落選したことに、中牟田氏の支持者からも「自民党への敵対行為に他ならない」と怒りの声が上がっている。

また、今までの流れから、井上市長が再選したとしても次期衆院選で栗原氏ではなく堤氏を支援する可能性もあり、自民支持者から「栗原さんのためにならん」という意見も出ている。
そう言えば、井上市長は政治家になる前は山崎拓氏の秘書を務めていたと聞く。
山崎氏と言えば、先の衆院選で立憲の辻本清美氏の応援演説を行ったことで、党の規律を乱したとして1年間の党員資格停止の処分を受けている。
井上市長が師匠に倣って 立憲の議員を応援していても何ら不思議ではない。

「選挙は何でもあり」という言葉があるが、一般人にとって理解しがたいことばかりだ。

こんな地方議員が増えればいい

弊社では、公金をかすめ取ろうとする首長や地方議員の話題をお届けすることが多いが、こんな政治屋ばかりでないことも是非知って頂きたい。

春日市で15日、テレビでもお馴染みの 北川正恭氏(早稲田大学名誉教授)を招いて「輝け議会!! 対話による地方議会活性化フォーラム in 春日」が開催された。
同フォーラムは九州の市町村議員が 政策立案能力の向上や議会改革について学ぶ場で、ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州(代表 神吉信之氏)がサポートしている。

統一地方選前ということで「有権者にどうやって届ける?あなたの想い、あなたの政策 ~選挙で効果的な情報発信とは~」というテーマについて三部形式で行われた。

一部は北川氏による講演、三重県議(3期)から知事(2期)、そして国会議員(4期)と保守系改革派として政治のド真ん中を歩き、 「対執行部」、「対議会」、「政党と派閥」など実体験として苦労をして来られた方だけに、言葉には重みが感じられ、参加した議員は熱心に聴き入っていた。

二部ではマニフェストを取り入れた議員の事例報告と 飯塚市の市民団体による地方議会の内容を市民に伝える活動紹介、三部では「どうやって届ける?あなたの想い、あなたの政策」というテーマでディスカッションが行われた。

地方議会も変わろうとしているが、未だボスが牛耳っている議会も多い。
質問をしない、議案書見ない、首長に媚びる、手を挙げるだけ、委員長になりたい、少数派を虐める、そんなボスの言いなり議員がいる。

世の流れに敏感で改革を望む議員が行動を起こそうとしても、往々にして潰されてしまう。
それでも、このフォーラムに参加している様な意識の高い議員が増えていけば、変わっていくと思われる。

統一地方選では、北川氏の言う「生活者起点」で考え行動する 多くの地方議員が誕生することを願っている。