倒産防止開発機構の被害者 [2008年10月14日10:10更新]

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米国に端を発したサブプライムローン問題は、大きな津波となって世界の金融市場を襲い、日本でも株価は1万円を割り込む状態となっている。年末を控えたこの時期の景気悪化で、零細中小企業経営者は今後も資金繰りで苦しむことが予測される。



 

売り上げが下がり回収が遅れると、資金繰りの悪化は避けられない。すでに銀行からは目一杯借りている状態で、資金調達に苦しむ経営者。そこへ、公的機関と間違える様な名前の「中小企業倒産防止開発機構」(福岡市)から立派なパンフレットが届く。中には甘く素晴らしい勧誘の文字が並んでいる。

経営者がワラをもすがる思いで電話をすると、女子社員の素晴らしい応対に驚く。会社を訪れると、応接室の調度品など素晴らしいセッティングがなされ、瞬く間に相手を信用してしまう雰囲気に飲み込まれる。中小企業の経営者が銀行や取引先を訪れても、これほど丁重な扱いを受けることはなく、苦しい資金繰りを引き受けてくれる同社は、神様以上に素晴らしく見えたに違いない。

応対する社員も当初は倒産防止開発機構という名前を信用し、社内では「クライアント」と称する経営者に対し、真剣にコンサル業務を行う。だがそのうち、約束手形を詐取して融通手形取り組みの仲介をしている自分に気が付き、そんな自らの行為が恐ろしくなる。まともな社員は退社しているのが実態である。

 

一応はビジネスの形態をとっており、「盗人にも三分の理あり」の諺もあるが、実質は手形のパクリ以外の何物でもない。本紙ではこれまでも同機構について報じてきたが被害者は依然、後を絶たない。

確かに、訪れた企業の数社に対しては一時的に資金を用立てた例もある。しかし最終的に数千万円の手形を詐取され、資金調達が出来ずに倒産するケースが大半で、判明しているだけでも現在10数社ある。現在弁護士を通じて連絡を取り合い、近く刑事告訴に踏み切るための準備を進めている模様だ。

(J)