被害は九州一円に!? 倒産防止開発機構 [2008年5月2日10:00更新]

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これまでも何度か本紙で報じてきた中小企業倒産防止開発機構の問題。今回は、熊本県の企業経営者からもたらされた「被害例」をご紹介しよう。



 

50年に渡って熊本県球磨郡で営業してきた、年商2億円内外の小さな運送会社が、3月17日に1回目の不渡りを出した。同月末に2回目の不渡りで銀行取引停止処分を受けたが、代表自らが事情説明に回り、営業は何とか続行されている。

民間調査機関の情報を読むと、取立てに回ってきた約束手形はすでに警察に盗難届を出していた、との説明がなされていた。何か匂うので先方の代表に電話を掛け取材を行うと、「やはり」と言うべきか、同開発機構の被害者であることがわかった。

 

田舎町の小さな運送会社だけに、資金が潤沢とは言い難く、特に最近の燃料費の値上げが直撃し、代表も資金繰りに苦慮していた。

そんな会社に1通のダイレクトメールが届く。中には、様々な美辞麗句、「幸福をもたらす」かのような文句が並ぶパンフレット。資金繰りに追われていた代表が飛び付くまでに時間はかからなかった。

結局、包括的コンサルティング契約に至り、手形用紙や銀行印などを貸金庫に預けたまでは良かった。

ところがその後、発行した記憶が無い手形が銀行に回り、驚いた代表は開発機構を追及した。そのたびに福岡から現金が送られ、手形は通常通り決済されてきたが「3月17日には送金はなく、やむなく不渡りになった」―と代表は語る。 

この後、開発機構からは迷惑を掛けた「慰謝料」の名目で、同機構が福岡の別の会社から発行させた約束手形が送られた。さらに被害額を弁償する念書まで発行、その巧妙な手口に驚いた。

当然被害者である代表は近くの警察署に被害届を出した。だが、あくまで表面上は商取引に見せかけた手順を踏んでおり、「民事不介入」を盾に放置される可能性が濃厚と思われる。 

詐欺行為と商行為の「紙一重の差」を利用した、実に上手い方法を考えたものである。

被害は九州一円に広がる様相を呈している、と言えそうだ。

(J)