(10年12月号掲載)
そんな状況を少しでも改善しようと、中央区長浜の鮮魚市場を開放するイベントを福岡市や市場関係者が始めて久しい。
毎月第2土曜日に設定している「市民感謝デー」。営業時間は通常のせりが終わった午前9~12時の3時間だが、新鮮で格安の魚を求める市民らが行列を作って開門を待つほどの人気イベントである。
そんな魚市場で師走の賑わいを味わいたくて、知り合いの仲買業者に頼み、昨年12月の感謝デーに「にわか魚屋」を経験してみた。
開門と同時に市場は人で埋まり、店員との駆け引きが始まる。客を呼び止めるために大声を張り上げていると時間はあっと言う間に過ぎ、心地よい疲れだけが残った。
終わった後は用意された握り寿司の弁当を食べたが働いた後の食事は実に美味く、ぜひ次回も訪れたいものだと思った。
魚市場を取り巻く環境は確実に変わりつつある。宗像地区などでは漁師が水揚げした魚を直接、地元の道の駅などに納入、安くて新鮮な魚を目当てに客も集まっている。また最近では県外の活魚運搬業者が、地元市場で仕入れた魚介類を福岡市内に持ち込み、飲食店に直接販売して売り上げを伸ばしているという。
長浜市場での取扱量は減少傾向にあり、本紙が報じてきた架空取引の件も、こうした背景から生じたもの。長い間、市民の台所として親しまれてきた柳橋連合市場(中央区)も、毎年訪れるたびに寂れていっているような印象を受ける。その原因を食生活の変化や消費者の魚離れに求めるだけでは、何の解決にもならない。
例えば、常時一般人が出入りできるスペースを作り、買った鮮魚を持ち込んで食べることができる施設を作るのはどうか。また客自身が魚を調理できるコーナーを設け、若い人や子どもに包丁を持たせて教えるのも、未来への投資として考えても有効だろう。
「ベイサイドプレイス博多」松金市場の低迷を見ても分かるが、市民が求めているのは上品さや高級感ではなく、もっと身近で楽しめる要素なのではないだろうか。
仲卸業者が漁師から魚を仕入れ仲買人、小売店を通じて消費者に提供、それぞれが中間マージンを取るというシステムそのものが今、危機に瀕している。一方で、月に1度だが実際にこれだけ多くの消費者が市場を訪れるのも事実。市場関係者も真剣に考えないと、生き残れないように思える。
魚市場を取り巻く現状 [2011年1月21日09:20更新]
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