官製談合の疑いで議案否決 ⑥・嘉麻市 [2021年1月12日10:08更新]

■ 透明性の確保と説明責任

嘉麻市では 3中学校区の義務教育学校建設の契約議案に反対した議員を批判する声が高まっている。
開校時期に遅れが生じることがほぼ確定したからで、稲築中学校区では、反対した議員名を記した匿名の文書が各戸に配布されている。

しかし、議会は税金の使い道をチェックする立場、プロポーザル方式は随意契約で受注金額が高くなることもあり、慎重になるのは当然である。
むしろ、談合の疑いが指摘されている状況で、もろ手を挙げて賛成する議員がいるなら、それこそ市民への裏切りだ。
裁決を延ばすことも可能だし、真相究明のための委員会を設置することもできる。
市民の皆さんには、そのことをまず理解頂きたい。

それから、嘉麻市の情報公開の姿勢について知って頂きたい。
弊社は昨年12月23日付で、「義務教育学校施設整備事業の公募型プロポーザル方式に関して、3中学校区ごとの審査結果で、評価の内訳が分かる表(一覧表等)及び個票」の情報開示請求を行った。
そして、1月5日付で開示されたのが下図だ。



点数を付けた委員の名前を伏せるのは分かるが、それぞれが付けた点数まで全て黒塗りになっているのには驚いた。
30億円以上もかけて建設する学校というのに、提案のどの部分が評価されて選定されたか、これでは市民は知ることができない。
官製談合など無かったと信じたいが、やましいことがあると勘繰られても仕方がない。

敢えて申し上げるが、”ちゃんとした” 自治体は、透明性の確保と説明責任を果たすことを目的として、「プロポーザル方式による情報公開基準」を設け、事業者を選定するための評価項目・配点は公開すると定めている。

→ 参考: 豊島区 ポロポーザル公開基準

今回、議会で契約議案が否決したというニュースを聞いて取材を始めたが、プロポーザル方式に多くの問題があることが分かった。

人口減少が進む筑豊地方では、小中一貫の義務教育学校の検討を進めている自治体が多いと聞く。
1校区あたり30億円~50億円もの大型案件、大手ゼネコンや地場企業が必死になって取りにくる中で、業者選定に疑念を持たれない工夫は必要だ。
特にプロポーザル方式を採用する場合は、どうにでもできるというデメリットも言われてるので、今回のケースをよい教訓として、他自治体では 透明性の確保と説明責任を果たせるよう、努めていく必要があるだろう。



ー 了 ー