FIT裏口認定に関する意見広告

2022(令和3)年9月、「太陽光の闇」というタイトルの連載記事を書いた。
2012年にFIT(固定価格買取制度)が始まると同時に、太陽光発電事業に参入を決めた 久留米市の会社経営者、組坂善昭さんについての話である。

組坂さんは、土地を購入し国の事業認可を得ていたにも拘わらず、九州電力から供給過剰という理由でストップが掛かり、事業中止を余儀なくされ損失を被った。
しかし、その後の調べで、一部の大型の発電所が九州電力に供給(予定も含む)していることが判明、そこには国が大企業を優遇した形跡があるとのことで、現在訴訟の準備を進めているところだ。

組坂さんは77歳、「死ぬ前に真実を国民に伝えたい」という思いで、2021年の衆院選(福岡6区) 及び 22年の参院選(福岡選挙区)に立候補し、再生エネの健全な発展を訴えて戦ったことも。
負けると分かっている戦いに挑戦した組坂さんに興味を持ち、参院選後に取材させて頂き、記事を書いた次第である。

昨日、大手の新聞社に意見広告が掲載されることが決まったと連絡があった。
新聞社は事実に基づかない意見は掲載しないが、今回その主張に合理性があると認められたことになる。

これまで組坂さんは1人で戦ってきたが、同じように泣き寝入りしてきた人が全国に存在しているという。
意見広告で賛同者が出てくれば、国や電力会社に対する集団訴訟になる可能性もあるのではなかろうか。




2022年9月の掲載した記事を再掲するので、ご興味のある方はご覧頂きたい。

太陽光の闇

電気代に事業者の儲けを上乗せ

急激な円安進行とエネルギーや食糧価格の高騰で、国民生活は厳しさを増しているが、電気代の値上げも続いている。
その内訳に「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」という項目があるのをご存知だろうか。

例えば、九州電力の領収書(下図)を見ると、請求額 9204円のうち 再エネ賦課金として 1055円(請求額の約11%)が含まれていることが確認できる。
これは今年度の再エネ賦課金1kWhの単価、3.45円に使用料の306kWhを乗じて算出された金額だ。



再エネ賦課金は、2012年度から導入されたFIT(再エネ固定価格買取)制度によって、 電力会社が電力の買い取りに要した費用を、電気の使用量に応じ家庭や企業が一定割合で負担するもので、メガソーラー・風力・バイオマスなどの稼働件数(発電量)の増加と共に上昇の一途を辿っている。

下図のように、買取価格は 0.22円/kWhから始まり年々上昇し、今年度は3.45円/kWh、今後も全国で自然エネルギーの発電所が稼働予定であることから、賦課金は向こう8年程度上昇を続け、最低でも4円/kWhを超えると試算されており、家計や企業経営の負担が増えることを覚悟しておく必要がある。

これが地球温暖化防止や国際競争力の強化、地域の活性化など崇高な目的のためなら我慢もできる。
しかし、昨今 太陽光発電所や風力発電所など、無秩序な乱開発による環境破壊が指摘されているほか、それらの多くが 中国や欧米等の外国資本であったり、大金を手にした業者と政治家との繋がりが報じられたりといい話が聞かれない。

再エネ賦課金の全部とは言わないが、こうした一部の投資家の銭儲けに使われている実態があるのだが、今さら気づいても後の祭り、彼らのやりたい放題を指をくわえて見ているしかないのである。


再エネに3.8兆円の国民負担

2020年(令和2年)12月7日、経産省総合資源エネルギー調査会で、「FIT制度に伴う国民負担の状況」で公表された資料は、あまりにショッキングである。

FIT制度が導入された2012(平成24年)年の再エネ比率は10%、その後 2018(平成30年)年時点で16.9%まで上がっているのだが、2020年(推計値)の 再エネの買取費用の総額が3.8兆円、そのうち 電気代に含まれる再エネ賦課金が 2.4兆円となっている。

2021年(令和3年)度の防衛費が5.1兆円なので、3.8兆円がどれくらい大きいかおわかりだろう。
再エネ賦課金だけで 2.4兆円、単純に国民1人当り2万円を負担していることになる。
地方を車で走ると太陽光発電や風力発電を目にするが、その事業者の売電収入を 私たちが負担しているのだ。
2030年には買取費用総額が 4兆円、うち再エネ賦課金3兆円まで増えると試算されており、国民負担は更に増える予定だ。



また、同日の調査会の資料によると、2020年の買取総額 3.8兆円のうち、事業用太陽光が 2.5兆円と 66%を占めている。
特に注目してほしいが、事業用太陽光のうちでも 2012年度認定から2014年度認定までの3年間に、2.2兆円 58%と集中していること、つまり 再エネの国民負担の6割近くが FIT制度開始3年以内に認定をもらった太陽光事業者に偏っているのだ。



なぜそのようなことになったのか。
それは 東日本大震災後、太陽光発電の普及を急いだ政府(当時民主党)が、制度設計が不十分なまま FIT制度を導入したことに要因があると言われている。

2012年の買取価格が 40円/kWh、13年 36円/kWh、14年 32円/kWhと 高く、目利きの利く事業者や投資家は、この期間に一斉に太陽光事業に参入、土地を確保し認定を取得し権利を確保している。
認定を受けた事業者は、いつ事業を始めても向こう20年間は 認定時の買取価格が保証されるというのが、制度の最大の欠陥だった。
その後、権利だけ確保し 設備投資の費用が安くなるのを見越して着工しない業者が多く見られたことから、2015年に制度が見直された経緯がある。

買取価格は下降を続け 今年度は 11円となり、もはや新規参入をするところは激減しているが、今なお 開発にあたって住民トラブルなどのニュースが報じられている。
それらがこの3年間に権利を確定させた業者、或いは 事業を引き継いだ業者と言われている。


FITの裏口認定を指摘する人物

「国や電力会社による一部発電事業者の優遇が賦課金上昇の一因」と制度の闇を指摘する人物がいる。
それは、7月の参院選福岡選挙区に立候補した組坂善昭氏(74)だ。
結果は落選に終わったが、選挙戦を通じ「国が裏口認定した事業者が得る利益を国民に還元し、電気代を引き下げる」と訴えた。

久留米市内にある組坂氏の事務所を訪ね、その根拠やこれまでの経緯について説明頂いた。

2012年7月にFIT制度が開始された当初、認可申請書に添付する用地の権利書類は「取得見込みでも構わない」とされていた。
ところが、
認定を受けても事業に取り掛からない業者が続出したことから 経産省が問題視し、運転を開始していない事業者に対し、2013年から 土地と発電設備を確定したことを証明する書類の提出(報告徴収)を義務付けている。

特に、認定した場所の土地の権利関係書類の提出が求められており、「場所の決定が確認できない場合には聴聞の対象とし、認定の取消しに向けた手続きに移行する」と厳しい対応をしている点に注目だ。





下図は、2021年12月22日の経産省資料を元に作成した「事業用太陽光発電(メガソーラー)の年度別FIT認定・導入状況」である。
FIT制度スタート直後は、認定件数をはるかに導入件数が下回っていることが分かる。
組坂氏は、「その中には報告徴収の結果 認定を取り消された業者も含まれるが、これから運転開始をする大規模メガソーラー業者も含まれる。政府がそれらの業者を極秘裏に救済している、裏口認定の証拠がある」と指摘する。

それが事実なら大問題だ。
次回は宇久島メガソーラーの実例を挙げて説明する。


宇久島裏口認定の根拠

宇久島メガソーラー事業は、佐世保市宇久島に約 480MW、国内最大規模の発電能力を誇る太陽光発電事業で、発電した電力を海底ケーブルで佐世保市に送り、一般家庭約17万3000世帯分相当をまかなうとしている。
同事業は、2012年にドイツのフォトボルト社が設立した TERASOL合同会社が主体となり、京セラ・九電工・オリックス・みずほ銀行が 約2000億円を出資することで始まった(後にフォトボルトとオリックスは撤退)。
発電設備認定を受けたのが FIT制度が始まった年度末の2013年3月27日とされているが、未だ運転を開始どころか地元漁業関係者との調整中で 本格着工まで至っていない。


宇久島メガソーラーHPより ↑

組坂氏は 情報公開請求で集めた資料を元に、「当初の事業者TERASOLが 土地の権利関係の条件を満たしていなかったのに、認定が取り消されていない」と指摘する。

最も日付の早い契約書で 2018年10月25日、それ以前にある土地の権利関係の書面は、地元区長らと交わした6801筆分についての 「賃貸証明書(リンク参照)のみということが判っている。
しかも「私有地については最終的に地権者の判断だが、地権者がメガソーラー用地として賃貸するよう協力を求める」という記述があるように、権利確定とは程遠い内容だ。

前述のように、経産省は 認定を受けたにも拘わらず 運転を開始していない事業者全てに報告徴収を行っており、もちろん TERASOLに対しても、2013年9月に通知が発送され同10月18日までに書類を提出させたと考えられる。
「土地の権利が確定していない事業者は認定を取り消す」、「権利者の証明書は認められない」と厳しく規定されていることから、賃貸証明書しか保持していないTERASOLは認定取消しになっているはずである。



賃貸証明書しか保持していないTERASOLが、認定取消しとなったことを裏付けるのが、2017年9月に 組坂氏が情報開示請求で入手した「平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧(リンク先参照)」だ。

事業者名は黒塗りで消された資料だが、一覧表の中に 出力が480MW規模の事業者は存在しておらず、この時点で TERASOLの 宇久島メガソーラー事業は認定されていないことが確認できる。

ところが、現在の認定情報を経産省のサイト(リンク先長崎県を参照)で確認すると、同事業が 2013年3月27日に「宇久島みらいエネルギー合同会社」の名前で認定を受けたことになっているのだ。



2018年11月に経産省に提出された事業計画変更届(リンク先参照)により、認定を受けた事業者が、TERASOLから宇久島みらいエネルギー合同会社に変更され事業譲渡をされたとしているが、経産省が受け付けたということは TERASOLが認定を受けていたことになり、ここに疑問が生じる。



平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧」にTERASOLが確認されなかったのに、なぜ2013年3月に宇久島みらいエネルギー合同会社が認定を受けたことになっているのか。

また、宇久島みらいエネルギー合同会社が認定を受けている筆数は計 11196筆で、2013年の賃貸証明書に記載のある 6801筆とは一致しない。
その差4395筆、これだけの筆数が追加されたということは、そもそもの土地の権利関係書類がいかにいい加減だったということだ。

更に、事業用地のうち 農地転用と林地開発の許可が必要だった部分については、2019年8月に最終的に許可が下りており、土地の権利の確定に同年前半までかかったと考えられる。

以上のことから、組坂氏は 「経産省が2013年10月に報告徴収を実施した際、土地利用について確定した書類がなかったTERASOLについて、故意に認定を取り消さなかった疑いがある」と主張する。


経産省が文書の存在を偽装?

2012年度に40円/kWhで認定を受けている 宇久島メガソーラーが運転を始めれば、再エネ負担金から 20年間で 約4800億円の収入を得ると組坂氏は試算している。
それを再エネ賦課金で負担するのは私たち国民、経産省が故意に認定を取り消さなかったのであれば看過できない。

平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧」に記載がなかったにも拘わらず、現在の事業計画認定一覧には 同事業が 2013年3月27日認定とされている。
これについて、誰もが納得できる合理的な説明が求められる。

そこで組坂氏は、「2016年(平成28年)度までの認定事業者一覧」に記載されていない事業者が いかなる方法で報告徴収を受けたのか、また 結果はどうだったかを確認するため、経産省に対し2021年(令和3年)5月11日付で情報開示請求を行っている。

1ヵ月後の6月11日、経産省が 一部の文書を除き、開示期限の延長を一方的に通知してきた。
その理由を「(要求された報告徴収は)著しく大量の文書であり、精査するのに相当の時間を要し、事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがあるため」とし、2022年(令和4年)5月12日に開示決定等をするとしていた。



1年待てという。
1年も待たされるのだから開示されると誰もが思うだろう。
ところが、1年経った今年5月12日付に「不開示決定通知書」が送付されてきた。
理由には「文書管理規則上の保存期間が満了したため既に廃棄済みであり、開示請求時点において保有していないため」とあった。

あまりにも馬鹿にした話である。
開示請求時点において保有していないのであれば、何も開示期限の延長をする必要はない。



経産省の資源エネルギー庁における「標準文書保存期間基準(保存期間表)」によると、確かに報告徴収の保存期間は5年となっている。
組坂氏が請求した2012年(平成24年)度の文書は 2018年度には廃棄されていると思われ、請求したのが2021年5月なので 少なくとも廃棄後2年以上は過ぎており、それを「著しく大量の文書」という理由で1年も待たせるのは不自然だ。

組坂氏は次のように見ている。
経産省は、初めから宇久島メガソーラーをはじめ複数の事業について、特別扱いをして 報告徴収そのものを行っていないので、そもそも文書は存在していない。
しかし表向き、報告徴収は全事業者一律に行われたとされているため、「存在しない」とは言えない。
そのため、開示請求がきた時点で「著しく大量の文書」という通知を出して 文書が存在したように偽装したのではないかと。


事実なら 認定取消し・買取価格の引き下げを

下表は、組坂氏が作成した 現在の九州管内における 認定発電出力の大きい順 1位から25位までの一覧表である。
表中、左から5列目の「認定無し」とは、「平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧」に記載がなかったことを表している。
しかし現在の、事業計画認定情報 公表用ウェブサイトでは、それらの事業者は全て2012年(平成24年)度~2013年(平成25年)度の日付で認定されたことになっていて辻褄が合わない。

前述のように、2013年9月に報告徴収が行われ、土地の権利が確定していないなど基準を満たしていない中小の事業者は認定取消しとなっているが、その数は 600を超えるという。
表中の殆どの事業者は、報告徴収時に土地の権利が確定していなかったことが確認されており、公平公正に徴収が行われていれば 認定取消しの対象となったはずである。

それが現在認定されているということは、何らかの特別扱いがあったと考えるしかない。
事業者名では分かりにくいが、国内の大手企業・銀行、外資などが入っており、政治的な力が働いて優遇したことも想像される。
経産省には、認定を取り消された事業者があることも踏まえ、納得のいく合理的な説明が求められる。

本来認定されていなかったはずの 表中 25の事業者のうち、10者は既に運転が開始され国民負担が発生中しており、あとの15者は運転開始前で これから負担することになる。
仮に特別扱いされたことが判明し、本来のルール(期限までに土地の権利が確定していない事業者は認定取り消し)による措置が取られればその負担はなくなる。



組坂氏は、「九州電力は、基準を満たしていた中小の事業者を故意に参入させないよう事実上接続を拒否し経産省もそれを追認、一方で 経産省は 九電の子会社も含め 大口の資本が参加した事業については 自らが決めたルールを破り認めてきた」として、現在 国と九電を相手取り訴訟の準備を進めている。

組坂氏が代表を務める 政治団体「再エネの真実を知る会」

再エネ特措法 第一条には「我が国の国際競争力の強化及び我が国産業の振興、地域の活性化その他国民経済の健全な発展に寄与する」と崇高な目的が掲げられている。
しかし、こと太陽光に関しては、一部の国内大手資本の参入を促進、または外国資本による植民地型の開発が黙認されるなど、国と政治家の無策ぶりが目立つ。
国民と国土がこれだけ悲鳴を上げているのに、太陽光関連の事業者から政治献金を受け取っている政治家も少なくない。

議員の先生方におかれては、国会の場で 過去に大手事業者に特別扱いがあったのか質して頂きたい。
仮に事実が認められた場合、運転開始前であれば認定取消し、運転中であれば買取価格を引き下げるなどの措置も考えられる。
再エネ賦課金が無駄に膨らみ 国民負担が増していかないよう、努めて頂くことを期待している。



ー 了 ー

太陽光の闇 ④ ~経産省が文書の存在を偽装?~

経産省が文書の存在を偽装?

2012年度に40円/kWhで認定を受けている 宇久島メガソーラーが運転を始めれば、再エネ負担金から 20年間で 約4800億円の収入を得ると組坂氏は試算している。
それを再エネ賦課金で負担するのは私たち国民、経産省が故意に認定を取り消さなかったのであれば看過できない。

平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧」に記載がなかったにも拘わらず、現在の事業計画認定一覧には 同事業が 2013年3月27日認定とされている。
これについて、誰もが納得できる合理的な説明が求められる。

そこで組坂氏は、「平成28年(2016年)度までの認定事業者一覧」に記載されていない事業者が いかなる方法で報告徴収を受けたのか、また 結果はどうだったかを確認するため、経産省に対し令和3年(2021年)5月11日付で情報開示請求を行っている。

1ヵ月後の6月11日、経産省が 一部の文書を除き、開示期限の延長を一方的に通知してきた。
その理由を「(要求された報告徴収は)著しく大量の文書であり、精査するのに相当の時間を要し、事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがあるため」とし、令和4年(2022年)5月12日に開示決定等をするとしていた。



1年待てという。
1年も待たされるのだから開示されると誰もが思うだろう。
ところが、1年経った今年5月12日付に「不開示決定通知書」が送付されてきた。
理由には「文書管理規則上の保存期間が満了したため既に廃棄済みであり、開示請求時点において保有していないため」とあった。

あまりにも馬鹿にした話である。
開示請求時点において保有していないのであれば、何も開示期限の延長をする必要はない。



経産省の資源エネルギー庁における「標準文書保存期間基準(保存期間表)」によると、確かに報告徴収の保存期間は5年となっている。
組坂氏が請求した2012年(平成24年)度の文書は 2018年度には廃棄されていると思われ、請求したのが2021年5月なので 少なくとも廃棄後2年以上は過ぎており、それを「著しく大量の文書」という理由で1年も待たせるのは不自然だ。

組坂氏は次のように見ている。
経産省は、初めから宇久島メガソーラーをはじめ複数の事業について、特別扱いをして 報告徴収そのものを行っていないので、そもそも文書は存在していない。
しかし表向き、報告徴収は全事業者一律に行われたとされているため、「存在しない」とは言えない。
そのため、開示請求がきた時点で「著しく大量の文書」という通知を出して 文書が存在したように偽装したのではないかと。


事実なら 認定取消し・買取価格の引き下げを

下表は、組坂氏が作成した 現在の九州管内における 認定発電出力の大きい順 1位から25位までの一覧表である。
表中、左から5列目の「認定無し」とは、「平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧」に記載がなかったことを表している。
しかし現在の、事業計画認定情報 公表用ウェブサイトでは、それらの事業者は全て平成24年(2012年)度~25年(2013年)度の日付で認定されたことになっていて辻褄が合わない。

前述のように、2013年9月に報告徴収が行われ、土地の権利が確定していないなど基準を満たしていない中小の事業者は認定取消しとなっているが、その数は 600を超えるという。
表中の殆どの事業者は、報告徴収時に土地の権利が確定していなかったことが確認されており、公平公正に徴収が行われていれば 認定取消しの対象となったはずである。

それが現在認定されているということは、何らかの特別扱いがあったと考えるしかない。
事業者名では分かりにくいが、国内の大手企業・銀行、外資などが入っており、政治的な力が働いて優遇したことも想像される。
経産省には、認定を取り消された事業者があることも踏まえ、納得のいく合理的な説明が求められる。

本来認定されていなかったはずの 表中 25の事業者のうち、10者は既に運転が開始され国民負担が発生中しており、あとの15者は運転開始前で これから負担することになる。
仮に特別扱いされたことが判明し、本来のルール(期限までに土地の権利が確定していない事業者は認定取り消し)による措置が取られればその負担はなくなる。



組坂氏は、「九州電力は、基準を満たしていた中小の事業者を故意に参入させないよう事実上接続を拒否し経産省もそれを追認、一方で 経産省は 九電の子会社も含め 大口の資本が参加した事業については 自らが決めたルールを破り認めてきた」として、現在 国と九電を相手取り訴訟の準備を進めている。

組坂氏が代表を務める 政治団体「再エネの真実を知る会」

再エネ特措法 第一条には「我が国の国際競争力の強化及び我が国産業の振興、地域の活性化その他国民経済の健全な発展に寄与する」と崇高な目的が掲げられている。
しかし、こと太陽光に関しては、一部の国内大手資本の参入を促進、または外国資本による植民地型の開発が黙認されるなど、国と政治家の無策ぶりが目立つ。
国民と国土がこれだけ悲鳴を上げているのに、太陽光関連の事業者から政治献金を受け取っている政治家も少なくない。

議員の先生方におかれては、国会の場で 過去に大手事業者に特別扱いがあったのか質して頂きたい。
仮に事実が認められた場合、運転開始前であれば認定取消し、運転中であれば買取価格を引き下げるなどの措置も考えられる。
再エネ賦課金が無駄に膨らみ 国民負担が増していかないよう、努めて頂くことを期待している。



ー 了 ー

太陽光の闇 ③ ~宇久島裏口認定の根拠 ~

宇久島裏口認定の根拠

宇久島メガソーラー事業は、佐世保市宇久島に約 480MW、国内最大規模の発電能力を誇る太陽光発電事業で、発電した電力を海底ケーブルで佐世保市に送り、一般家庭約17万3000世帯分相当をまかなうとしている。
同事業は、2012年にドイツのフォトボルト社が設立した TERASOL合同会社が主体となり、京セラ・九電工・オリックス・みずほ銀行が 約2000億円を出資することで始まった(後にフォトボルトとオリックスは撤退)。
発電設備認定を受けたのが FIT制度が始まった年度末の2013年3月27日とされているが、未だ運転を開始どころか地元漁業関係者との調整中で 本格着工まで至っていない。


宇久島メガソーラーHPより ↑

組坂氏は 情報公開請求で集めた資料を元に、「当初の事業者TERASOLが 土地の権利関係の条件を満たしていなかったのに、認定が取り消されていない」と指摘する。

最も日付の早い契約書で 2018年10月25日、それ以前にある土地の権利関係の書面は、地元区長らと交わした6801筆分についての 「賃貸証明書(リンク参照)のみということが判っている。
しかも「私有地については最終的に地権者の判断だが、地権者がメガソーラー用地として賃貸するよう協力を求める」という記述があるように、権利確定とは程遠い内容だ。

前述のように、経産省は 認定を受けたにも拘わらず 運転を開始していない事業者全てに報告徴収を行っており、もちろん TERASOLに対しても、2013年9月に通知が発送され同10月18日までに書類を提出させたと考えられる。
「土地の権利が確定していない事業者は認定を取り消す」、「権利者の証明書は認められない」と厳しく規定されていることから、賃貸証明書しか保持していないTERASOLは認定取消しになっているはずである。



賃貸証明書しか保持していないTERASOLが、認定取消しとなったことを裏付けるのが、2017年9月に 組坂氏が情報開示請求で入手した「平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧(リンク先参照)」だ。

事業者名は黒塗りで消された資料だが、一覧表の中に 出力が480MW規模の事業者は存在しておらず、この時点で TERASOLの 宇久島メガソーラー事業は認定されていないことが確認できる。

ところが、現在の認定情報を経産省のサイト(リンク先長崎県を参照)で確認すると、同事業が 2013年3月27日に「宇久島みらいエネルギー合同会社」の名前で認定を受けたことになっているのだ。



2018年11月に経産省に提出された事業計画変更届(リンク先参照)により、認定を受けた事業者が、TERASOLから宇久島みらいエネルギー合同会社に変更され事業譲渡をされたとしているが、経産省が受け付けたということは TERASOLが認定を受けていたことになり、ここに疑問が生じる。



平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧」にTERASOLが確認されなかったのに、なぜ2013年3月に宇久島みらいエネルギー合同会社が認定を受けたことになっているのか。

また、宇久島みらいエネルギー合同会社が認定を受けている筆数は計 11,196筆で、2013年の賃貸証明書に記載のある 6801筆とは一致しない。
その差4,395筆、これだけの筆数が追加されたということは、そもそもの土地の権利関係書類がいかにいい加減だったということだ。

更に、事業用地のうち 農地転用と林地開発の許可が必要だった部分については、2019年8月に最終的に許可が下りており、土地の権利の確定に同年前半までかかったと考えられる。

以上のことから、組坂氏は 「経産省が2013年10月に報告徴収を実施した際、土地利用について確定した書類がなかったTERASOLについて、故意に認定を取り消さなかった疑いがある」と主張する。



ー 続 く ー

太陽光の闇 ② ~FITの裏口認定を指摘する人物~

FITの裏口認定を指摘する人物

「国や電力会社による一部発電事業者の優遇が賦課金上昇の一因」と制度の闇を指摘する人物がいる。
それは、7月の参院選福岡選挙区に立候補した組坂善昭氏(74)だ。
結果は落選に終わったが、選挙戦を通じ「国が裏口認定した事業者が得る利益を国民に還元し、電気代を引き下げる」と訴えた。

久留米市内にある組坂氏の事務所を訪ね、その根拠やこれまでの経緯について説明頂いた。

2012年7月にFIT制度が開始された当初、認可申請書に添付する用地の権利書類は「取得見込みでも構わない」とされていた。
ところが、
認定を受けても事業に取り掛からない業者が続出したことから 経産省が問題視し、運転を開始していない事業者に対し、2013年から 土地と発電設備を確定したことを証明する書類の提出(報告徴収)を義務付けている。

特に、認定した場所の土地の権利関係書類の提出が求められており、「場所の決定が確認できない場合には聴聞の対象とし、認定の取消しに向けた手続きに移行する」と厳しい対応をしている点に注目だ。





下図は、2021年12月22日の経産省資料を元に作成した「事業用太陽光発電(メガソーラー)の年度別FIT認定・導入状況」である。
FIT制度スタート直後は、認定件数をはるかに導入件数が下回っていることが分かる。
組坂氏は、「その中には報告徴収の結果 認定を取り消された業者も含まれるが、これから運転開始をする大規模メガソーラー業者も含まれる。政府がそれらの業者を極秘裏に救済している、裏口認定の証拠がある」と指摘する。

それが事実なら大問題だ。
次回は宇久島メガソーラーの実例を挙げて説明する。



ー 続 く ー

太陽光の闇 ① ~電気代に事業者の儲け上乗せ~

電気代に事業者の儲けを上乗せ

急激な円安進行とエネルギーや食糧価格の高騰で、国民生活は厳しさを増しているが、電気代の値上げも続いている。
その内訳に「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」という項目があるのをご存知だろうか。

例えば、九州電力の領収書(下図)を見ると、請求額 9204円のうち 再エネ賦課金として 1055円(請求額の約11%)が含まれていることが確認できる。
これは今年度の再エネ賦課金1kWhの単価、3.45円に使用料の306kWhを乗じて算出された金額だ。



再エネ賦課金は、2012年度から導入されたFIT(再エネ固定価格買取)制度によって、 電力会社が電力の買い取りに要した費用を、電気の使用量に応じ家庭や企業が一定割合で負担するもので、メガソーラー・風力・バイオマスなどの稼働件数(発電量)の増加と共に上昇の一途を辿っている。

下図のように、買取価格は 0.22円/kWhから始まり年々上昇し、今年度は3.45円/kWh、今後も全国で自然エネルギーの発電所が稼働予定であることから、賦課金は向こう8年程度上昇を続け、最低でも4円/kWhを超えると試算されており、家計や企業経営の負担が増えることを覚悟しておく必要がある。

これが地球温暖化防止や国際競争力の強化、地域の活性化など崇高な目的のためなら我慢もできる。
しかし、昨今 太陽光発電所や風力発電所など、無秩序な乱開発による環境破壊が指摘されているほか、それらの多くが 中国や欧米等の外国資本であったり、大金を手にした業者と政治家との繋がりが報じられたりといい話が聞かれない。

再エネ賦課金の全部とは言わないが、こうした一部の投資家の銭儲けに使われている実態があるのだが、今さら気づいても後の祭り、彼らのやりたい放題を指をくわえて見ているしかないのである。


再エネに3.8兆円の国民負担

2020年(令和2年)12月7日、経産省総合資源エネルギー調査会で、「FIT制度に伴う国民負担の状況」で公表された資料は、あまりにショッキングである。

FIT制度が導入された2012(平成24年)年の再エネ比率は10%、その後 2018(平成30年)年時点で16.9%まで上がっているのだが、2020年(推計値)の 再エネの買取費用の総額が3.8兆円、そのうち 電気代に含まれる再エネ賦課金が 2.4兆円となっている。

2021年(令和3年)度の防衛費が5.1兆円なので、3.8兆円がどれくらい大きいかおわかりだろう。
再エネ賦課金だけで 2.4兆円、単純に国民1人当り2万円を負担していることになる。
地方を車で走ると太陽光発電や風力発電を目にするが、その事業者の売電収入を 私たちが負担しているのだ。
2030年には買取費用総額が 4兆円、うち再エネ賦課金3兆円まで増えると試算されており、国民負担は更に増える予定だ。



また、同日の調査会の資料によると、2020年の買取総額 3.8兆円のうち、事業用太陽光が 2.5兆円と 66%を占めている。
特に注目してほしいが、事業用太陽光のうちでも 2012年度認定から2014年度認定までの3年間に、2.2兆円 58%と集中していること、つまり 再エネの国民負担の6割近くが FIT制度開始3年以内に認定をもらった太陽光事業者に偏っているのだ。



なぜそのようなことになったのか。
それは 東日本大震災後、太陽光発電の普及を急いだ政府(当時民主党)が、制度設計が不十分なまま FIT制度を導入したことに要因があると言われている。

2012年の買取価格が 40円/kWh、13年 36円/kWh、14年 32円/kWhと 高く、目利きの利く事業者や投資家は、この期間に一斉に太陽光事業に参入、土地を確保し認定を取得し権利を確保している。
認定を受けた事業者は、いつ事業を始めても向こう20年間は 認定時の買取価格が保証されるというのが、制度の最大の欠陥だった。
その後、権利だけ確保し 設備投資の費用が安くなるのを見越して着工しない業者が多く見られたことから、2015年に制度が見直された経緯がある。

買取価格は下降を続け 今年度は 11円となり、もはや新規参入をするところは激減しているが、今なお 開発にあたって住民トラブルなどのニュースが報じられている。
それらがこの3年間に権利を確定させた業者、或いは 事業を引き継いだ業者と言われている。



ー 続 く ー

原田義昭代議士とマルチの密接な関係

8月5日から8回に分けて、「原田義昭代議士とマルチの密接な関係」という記事を掲載しました。まとめて読みたいというご要望にお応えして、その後の続編を加えて再掲致します。

 

■ 年利23%の現金還元

小泉純一郎元総理が、融資詐欺で代表らが逮捕された㈱テクノシステムの広告塔だったとの報道があったが、詐欺師が政治家や芸能人に近づき利用する例は枚挙に暇がない。
知らずに協力してしまい、被害が大きくなってから気がついて 後悔しても後の祭り。
芸能人はギャラが出て呼ばれるのだから仕方がないとしても、政治家の場合は余程慎重に行動しないと、道義的責任を問われることになる。

福岡5区の自民党現職で 前環境大臣の原田義昭氏(76)であるが、詐欺的なマルチ商法で全国に被害が広がっている化粧品会社と密接な関係だったことから、批判の声が上がっている。

平成26年設立の ㈱ジェイコスメ・ジャパン(東京都 代表者 菅原淳司氏)は、化粧品販売のマルチ商法で急成長した会社だ。



会員は、1口10万8000円で化粧品を購入すると、1pt=1円換算で、入金日の翌々月から毎月 4000pt を10か月間 付与され、10ヶ月目に 10万pt が付与される。
貯まったポイントは商品と交換することができるが、最大の特徴は 3%~5% の手数料を支払えば ポイントを現金化(返戻金と称している)が可能ということである。(但し、契約書等には表記していない。)
年利換算すると 厳密には約23%であるが、「1年で利回り4割、銀行預金より有利」と評判になり 瞬く間に広がった。

また、香港に本社を置くグループ会社 JCOSME HOLDINGS LIMITED.H.Kが発行するJGBコインという仮想通貨を 会員向けに販売するなどして売上を急伸させ、報道によると これまで会員数5万人、化粧品で300億円、仮想通貨で400億円以上を集めたという。

代表の菅原氏は、芸能人を使った派手なパーティを開催するなど、会員を増やすための宣伝費は惜しみなく使う戦略の中で、原田義昭代議士に近づいていった様だ。

㈱ジェイコスメ・ジャパン 菅原淳司代表


■ ジェイコスメ・ジャパンとは

ジェイコスメ代表の菅原淳司氏は、昭和42年生まれ、北海道 旭川東高校から早稲田大学法学部に進学、ノエビア化粧品会社で基礎を学び、マルチ商法の外資系化粧品会社でノウハウを習得、平成23年に化粧品販売を目的にジェイ・シックスの屋号で創業、同25年から香港・タイ・台湾・シンガポールに現地法人を設立した。
今回問題になっている 「ジェイコスメ・ジャパン」はグループ会社として同26年2月に設立している。

菅原氏は、新製品の発表、事業計画の発表、成績優秀者の表彰等を行うワールドコンベンションや、パーティ、懇親会、国内外の旅行など お金に糸目を付けない豪華な催しで富裕層の心を掴むのに成功してきた。
1年に1回 東京品川のホテルで開催されるコンベンションには、辺見マリ、山本リンダ、酒井法子、千葉真一、錦野旦などが出演し 場を盛り上げたという。

平成28年には、東京のホテルにおいて、フランス大使館後援で フランス人デザイナー、エイメリック フランソワのファッションショーを開催、同29年には 韓国で ミス・コリア本選のメインスポンサー、同年 空手の最大派閥である 新極真会の全国大会のメインスポンサーを務めている。

そして、同年(2017年)6月4日に品川で開催されたコンベンションに登場し、来賓挨拶をしたのが 福岡5区選出の原田義昭代議士だった。

来賓挨拶をする原田義昭代議士


■ 1人 最高2億円の被害

10万8000円で商品を購入して 1年後に金利が約23%付いて現金が戻ってくる仕組みは、冷静に考えれば おかしいと思いそうだ。
しかし、いざ自分が当事者で、周りの友人知人が実際に利益を得ているのを見て、しかも現職大臣が太鼓判を押し、熱気の中で言葉巧みに勧誘されたと想像すると、入会していたかもしれない。

ジェイコスメが右肩上がりで会員数を増やしていた平成29年(2017年)頃までは、会員が美味しい思いをしていたのも事実だ。
当初は半信半疑で始めるも 実際に利益が出たことで、次回は 家中の現金を集め、家族も説得して、数倍の額の商品を購入した会員が多い。

しかし、平成30年(2018年) を境に ジェイコスメの資金繰りが悪化し始め、翌令和元年(2019年)には返戻金の支払いが滞り始め、9月になると完全にストップしたという。

詐欺に詳しい専門家は、ジェイコスメの返戻金のカラクリは、「高配当」を謳い文句にお金を集める「ポンジスキーム」と呼ばれる手法と指摘する。
返戻金の原資は運用益ではなく、会員が再び商品を購入する代金によるもので まさに​自転車操業、会員が急増している間は支払いができるが、いずれ行き詰ることは明らかだ。

被害額は人によって様々だが、取材した中で多かったのが 50万~ 2000万円、最も多い方で 約2億円というご婦人がおられた。

現在も ジェイコスメからの支払いは完全にストップしたままだ。
しかし、会社は閉鎖しておらず FAXのみで顧客対応を続けているように装っている。

そして昨年から、損害賠償を求める集団訴訟が全国各地で起こされていることが判った。


原田義昭代議士の事務所で語り合う 菅原代表と原田氏


■ ジェイコスメを訴えた裁判

現在 全国でジェイコスメ(菅原淳司氏)を相手取って30件を超える裁判が行われているという。
そのうち4件の裁判の詳細が判った。

1つは令和2年(2020年)6月、個人が1億0130万円の貸金の返還を求めたものだ。
年40%の運用益があるという虚偽の説明によりジェイコスメの商品代金として同額を支払うも、運用益及び元金も返還されなかったことから、菅原氏と令和2年2月末までに支払う金銭貸借契約を締結したが、期限までに返済されなかった。

あとの3件は 集団訴訟で いずれも同月に提訴されている。
訴額(原告人数)はそれぞれ、約1億5000万円(22名)、3600万円(3名)、2000万円(12名)で、いずれも元金の返還を求めたものである。

原告の弁護士はそれぞれ異なるが、被告 ジェイコスメ側の弁護士は 同一の弁護士が担当している。
被告側の 主張は次の通りだ。

・当初は 1ポイント=1円 としていたが、その額は 経済の状況などで変動することがあると 契約書に書かれている。
・今回、経済の状況、ポイントを巡る規制の強化、会社の債務の増加、他社への会員移動に伴う会員数の減少による経営状況の悪化により、1ポイント=0円とし、返戻制度(ポイントの現金化)を停止した。
・返戻制度、会員サービスとして ポイントを買い取っていたが、サービスなので中止しても問題はない。

確かに、出資法違反に抵触しないように契約書類等には 「現金化」ができることは一切書かれていないが、 勧誘の際に口頭で説明され 公然の秘密だった。
菅原氏はマルチ商法の会社を渡り歩いて 経験を重ねただけあって、訴訟リスクを避けるための法的知識を身につけていた様だ。

各裁判でジェイコスメが和解案を提示しているが、とても妥協できる条件ではない。
判決が出るまでまだ時間がかかりそうだが、各裁判所がどのような判決を下すか注視していきたい。


平成31年1月13日、ジェイコスメ新年会で 環境大臣として来賓挨拶


■ 消費者問題に関する委員長

さて、本題の原田義昭代議士とジェイコスメの密接な関係についてである。

原田氏と菅原氏の関係がいつからかははっきりしないが、平成29年(2017年)1月16日の 原田氏のブログには、菅原淳司氏のことを「友人」と紹介していることから、少なくともその前の年、平成28年(2016年)には 知り合ったものと思われる。

大阪で開催されたその日のパーティに出席するため、雪が降る中 福岡から新幹線「のぞみ」で往復したと書かれており、親密ぶりが窺える。

被害者の一人は、「ジェイコスメと言えば原田代議士、毎回参加していた。環境大臣の時は、福島の原発の視察に行った後 作業服で会場に駆けつけた。パフォーマンスもいいところ、福島の人に失礼ですよ。その後 キムタクのお母さんらと一緒にダンスを踊っていました。」と話す。

原田氏のブログ

実は、原田氏は 平成28年(2016年) 9月26日に 、マルチ商法被害など消費者問題を所管する 衆議院「消費者問題に関する特別委員​会」の 委員長に就任、衆議院が解散する 同29年(2017年)9月28日まで約1年間務めている。
その頃は ジェイコスメの売上が拡大し、被害者予備軍が急増している時期、菅原氏が消費者問題を所管する委員長に 便宜を図ってもらうために近づいていったということは容易に想像できる。

詐欺師が政治家を利用しようと近づくのは世の常、政治家の方がしっかりと見極めをしていかなければならない。
消費者の利益を擁護するはずの特別委員会、その委員長であれば 尚の事、相手がどのような商売をやっているかどうか、事前に調査した上で パーティに出席するべきだったと思われる。


衆議院ホームページ 会議録より


■ ジェイコスメの顧問弁護士

「消費者問題に関する特別委員会」の原田義昭委員長のジェイコスメ応援はまだ続く。

雑誌「財界にっぽん」の平成29年(2017年)6月号に、菅原淳司氏との対談記事が掲載される。
原田氏は 台湾の李登輝氏の「我是不是我的我(私は私のためにあるのではない。公のために働くように生まれてきた)」という言葉を紹介し、「私も公徳心を大切にしていきたい」と述べ、菅原氏も「ビジネスにおいても、社長は会社のためじゃなくて『公』、つまりお客様をどう満足させるかを考えてビジネスをするということに尽きと思う」と応じている。

お金を払って政治家との対談記事を掲載することで、信頼の度合いを高める思惑があったことは明らかだ。

そして極めつけは、あろうことか 原田氏が ジェイコスメの顧問弁護士を務めていたというのである。
このことは昨年2月、週刊誌が特集記事で、「ジェイコスメから月々50万円の顧問料が支払われている」と報じていた。
平成29年(2017年)9月24日に品川で開催された コンベンションでは、ジェイコスメの今後の事業計画のプレゼンが行われているが、その中で 原田氏は顧問弁護士、衆議院消費者問題に関する特別委員長として紹介されている。

原田氏が、同30年12月1日まで顧問弁護士を務めていたことが ある裁判の中で確認されており、マルチ商法被害を所管する特別委員会の委員長が、マルチ被害を広げた会社の顧問弁護士とあっては 世も末である。


ジェイコスメのコンベンションで示された資料


■ 選挙時に400万円の寄附

前述のように、平成29年(2017年)当時、原田氏は マルチ被害を所管する 衆議院消費者問題に関する特別委員会の委員長を務めていたが、9月28日に衆議院が解散され 10月10日公示で総選挙に突入した。

驚くべきは、平成29年(2017年)分の政治資金収支報告である。
10月11日付で ジェイコスメ・ジャパンから 400万円を 自民党福岡5区の支部で寄附を受けていた。

400万円、寄附として 決して小さい金額ではない。
被害に苦しんでいる多くの会員から集めた金が原資、前述の週刊誌は「詐欺の上前を撥ねた格好の原田前環境大臣」と表現している。

今回 損害賠償を求める裁判を起こしている原告の男性は
「2017年9月、品川であったコンベンションで 原田氏が挨拶をしたのを覚えています。消費者問題の委員長ということで、自民党のお墨付きみたいな印象を受けました。」と語った。

また、地元福岡に住む原告の女性は 「令和元年(2019年)6月に 品川のパーティに行った時、原田環境大臣が挨拶で『ジェイコスメはいい会社です。宜しくお願いします。』と言った。それで信用した。直接会って金返せと言いたい。」と述べた。

平成29年分 政治資金収支報告書


自身の言葉で被害者に説明を

原田氏は、結果としてジェイコスメの広告塔として いいように利用されたが、それは無償というわけではない。

平成28年(2016年)9月、衆議院消費者問題に関する特別委員会の委員長に就任、ジェイコスメの顧問弁護士を務め 月々50万円の顧問料を得ていたという。

同29年(2017年)には 同委員長と顧問弁護士の 肩書で ジェイコスメのパーティやコンベンションに来賓として挨拶、乾杯の音頭を取ったり、経営者向け雑誌で菅原氏と対談記事が掲載されるなどして、ジェイコスメの信用度アップに貢献した。

同年の解散総選挙に合わせて ジェイコスメ菅原氏から400万円の寄附を受けている。
その後、同30年(2018年)9月に環境大臣に就任後も 同社のパーティやコンベンションに来賓として毎回出席を続け、令和元年(2019年)6月のパーティに出席したことが確認されている。

その僅か3カ月後の9月には、 ジェイコスメから会員への支払いが完全にストップ、経営破たんが表面化している。

一連の流れを見ると、法的な責任はともかくも、政治家として道義的責任は免れようもない。
詐欺まがいのマルチ商法の弁護士としての顧問料や政治献金を得て、結果的に被害者を増やすことに加担してしまったことは事実である。

原田氏におかれては、被害者に対し 自身の言葉で事の経緯とその責任について説明し、謝罪する必要があるだろう。
国民を守る政治家として、原田氏がどのような対応をするか注視していきたい。


■ フライデーに抗議の原田氏

原田義昭代議士が 8月13日、自身のFacebookで 「週刊誌の『誹謗中傷と選挙妨害』に厳しく抗議する」という記事を書いている。

原田義昭氏のFacebook記事はこちら

フライデー(講談社)が  8/20・27号で 「原田義昭衆議院議員に”投資詐欺”被害者の怒りが爆発」と報じた内容に対してだ。

現在、その記事は フライデーデジタルでも読むことができる。
集めたカネは400億円超…麻生派現役議員に被害者が怒りの告発!

Facebook で原田氏は、ジェイコスメが破綻したこと、複数の出資者との間で債務不履行・損害の発生等の事件を引き起こしていること、自身が同社と親交を持ち顧問弁護士を務めていたことを認めている。
この点については、「およそ政治家、議員たるもの、企業などの招きのあった会合、催しには喜んで出かけて、その企業への祝辞などを述べることは極く普通であって、私は同社を含めて東京、福岡を中心に何十の企業と関わりを持つ。」と説明している。

また、「それら企業がその後に起こす刑事民事の法的問題に対して、『宣伝塔』になったとして責任を問われることは絶対にない、何らの因果関係がないからである。」と述べている。
更に、記事の内容が「原田氏がジェイコスメの『宣伝塔』となり出資の際の動機となったとして賠償責任があるかの印象づけをしている。選挙妨害のニュアンスが色濃い。」として批判し、法的措置も辞さないとしている。

残念なのは、その文面から 老後資金を失った方、友人関係や親子関係がずたずたになった多くの人々への配慮が微塵も感じられないことだ。
法律の専門家の立場から、「因果関係がないから『宣伝塔』になっても責任がない」と言われるならその通りかもしれない。

だが 取材の中で、福岡県在住の方が「原田大臣がパーティでジェイコスメを良く言ってたので信用した」という証言があったのも事実である。
自身が顧問弁護士を務めていた企業が原因で、生きる希望を失った人たちがいる。
原田氏にとってそれは、取るに足らない出来事なのだろうか。

マスコミも呆れる原田先生

空気を読めないというはこういうことか。

福岡5区の自民現職、原田義昭議員が、10日午後に記者会見を行うとの連絡が、地元テレビ局及び新聞各社に入った。
折しも中央では同じ麻生派所属の河野太郎大臣が、総裁選出馬会見を行おうとする直前、何らかの政局に関する発言、或いは自身の進退かと各社が関心を持ったのは言うまでもない。

そこで原田氏は2点について 報告したという。

1点目は、5区内の自民党県議が4月、「自民党福岡県連5区支部」という実在しない組織名の肩書を用いて文書を配布したとして、二人を福岡地検に刑事告訴しているというもの。
しかし、文書の内容に誤りは無かったということで、記載ミスとして片付けられる程度の話の様だ。
それ以前に、同じ支部内の県議を訴えるという醜態を晒し、支部長の資質を問われるものだ。

2点目は、原田氏の名誉を棄損し 選挙妨害に当たる出所不明の怪文書が出回っているため、刑事告訴したというもの。

「女性の会」という団体が、マルチ商法で全国に被害者を出しているジェイコスメと原田氏について、昨年2月の週刊誌が報じた記事をコピーして、「反社会的詐欺師の片棒を担ぐ原田氏は国会議員に相応しくない」とした内容である。

しかし、記者から「週刊誌に書かれている顧問弁護士を務めていた事と 400万円の寄付を受けたのは事実か」という質問があり、原田氏は「事実だがそれと告訴は別の議論」と答えた。
また、「道義的責任があるのでは」と問われ、「私が広告塔として損害を与えたということは認めないし、責任はない」と ジェイコスメ被害者が聞いたら怒り出すような回答をしている。

約40分間の独演会に 出席者はほとほと呆れ、翌日ニュースにしたマスコミは無かったという。
10月1日に喜寿を迎える原田先生だが、周囲にアドバイスをしてくれる人はいないのだろうか。
何だか可哀そうになってきた。

フライデー「ジェイコスメ記事」に抗議の原田代議士

原田義昭代議士が 8月13日、自身のFacebookで 「週刊誌の『誹謗中傷と選挙妨害』に厳しく抗議する」という記事を書いている。

原田義昭氏のFacebook記事はこちら

フライデー(講談社)が  8/20・27号で 「原田義昭衆議院議員に”投資詐欺”被害者の怒りが爆発」と報じた内容に対してだ。

現在、その記事は フライデーデジタルでも読むことができる。
集めたカネは400億円超…麻生派現役議員に被害者が怒りの告発!

Facebook で原田氏は、ジェイコスメが破綻したこと、複数の出資者との間で債務不履行・損害の発生等の事件を引き起こしていること、自身が同社と親交を持ち顧問弁護士を務めていたことを認めている。
この点については、「およそ政治家、議員たるもの、企業などの招きのあった会合、催しには喜んで出かけて、その企業への祝辞などを述べることは極く普通であって、私は同社を含めて東京、福岡を中心に何十の企業と関わりを持つ。」と説明している。

また、「それら企業がその後に起こす刑事民事の法的問題に対して、『宣伝塔』になったとして責任を問われることは絶対にない、何らの因果関係がないからである。」と述べている。
更に、記事の内容が「原田氏がジェイコスメの『宣伝塔』となり出資の際の動機となったとして賠償責任があるかの印象づけをしている。選挙妨害のニュアンスが色濃い。」として批判し、法的措置も辞さないとしている。

残念なのは、その文面から 老後資金を失った方、友人関係や親子関係がずたずたになった多くの人々への配慮が微塵も感じられないことだ。
法律の専門家の立場から、「因果関係がないから『宣伝塔』になっても責任がない」と言われるならその通りかもしれない。

だが 取材の中で、福岡県在住の方が「原田大臣がパーティでジェイコスメを良く言ってたので信用した」という証言があったのも事実である。
自身が顧問弁護士を務めていた企業が原因で、生きる希望を失った人たちがいる。
原田氏にとってそれは、取るに足らない出来事なのだろうか。

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ⑧ ■ 自身の言葉で被害者に説明を

原田氏は、結果としてジェイコスメの広告塔として いいように利用されたが、それは無償というわけではない。

平成28年(2016年)9月、衆議院消費者問題に関する特別委員会の委員長に就任、ジェイコスメの顧問弁護士を務め 月々50万円の顧問料を得ていたという。
同29年(2017年)には 同委員長と顧問弁護士の 肩書で ジェイコスメのパーティやコンベンションに来賓として挨拶、乾杯の音頭を取ったり、経営者向け雑誌で菅原氏と対談記事が掲載されるなどして、ジェイコスメの信用度アップに貢献した。

同年の解散総選挙に合わせて ジェイコスメ菅原氏から400万円の寄附を受けている。
その後、同30年(2018年)9月に環境大臣に就任後も 同社のパーティやコンベンションに来賓として毎回出席を続け、令和元年(2019年)6月のパーティに出席したことが確認されている。

その僅か3カ月後の9月には、 ジェイコスメから会員への支払いが完全にストップ、経営破たんが表面化している。

一連の流れを見ると、法的な責任はともかくも、政治家として道義的責任は免れようもない。
詐欺まがいのマルチ商法の弁護士としての顧問料や政治献金を得て、結果的に被害者を増やすことに加担してしまったことは事実である。

原田氏におかれては、被害者に対し 自身の言葉で事の経緯とその責任について説明し、謝罪する必要があるだろう。
国民を守る政治家として、原田氏がどのような対応をするか注視していきたい。

ー 了 ー



 

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ⑦ ■ 選挙時に400万円の寄附

前述のように、平成29年(2017年)当時、原田氏は マルチ被害を所管する 衆議院消費者問題に関する特別委員会の委員長を務めていたが、9月28日に衆議院が解散され 10月10日公示で総選挙に突入した。

驚くべきは、平成29年(2017年)分の政治資金収支報告である。
10月11日付で ジェイコスメ・ジャパンから 400万円を 自民党福岡5区の支部で寄附を受けていた。

400万円、寄附として 決して小さい金額ではない。
被害に苦しんでいる多くの会員から集めた金が原資、前述の週刊誌は「詐欺の上前を撥ねた格好の原田前環境大臣」と表現している。

今回 損害賠償を求める裁判を起こしている原告の男性は
「2017年9月、品川であったコンベンションで 原田氏が挨拶をしたのを覚えています。消費者問題の委員長ということで、自民党のお墨付きみたいな印象を受けました。」と語った。

また、地元福岡に住む原告の女性は 「令和元年(2019年)6月に 品川のパーティに行った時、原田環境大臣が挨拶で『ジェイコスメはいい会社です。宜しくお願いします。』と言った。それで信用した。直接会って金返せと言いたい。」と述べた。

ー 続 く ー

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ⑥ ■ ジェイコスメの顧問弁護士

「消費者問題に関する特別委員会」の原田義昭委員長のジェイコスメ応援はまだ続く。

雑誌「財界にっぽん」の平成29年(2017年)6月号に、菅原淳司氏との対談記事が掲載される。
原田氏は 台湾の李登輝氏の「我是不是我的我(私は私のためにあるのではない。公のために働くように生まれてきた)」という言葉を紹介し、「私も公徳心を大切にしていきたい」と述べ、菅原氏も「ビジネスにおいても、社長は会社のためじゃなくて『公』、つまりお客様をどう満足させるかを考えてビジネスをするということに尽きと思う」と応じている。

お金を払って政治家との対談記事を掲載することで、信頼の度合いを高める思惑があったことは明らかだ。



そして極めつけは、あろうことか 原田氏が ジェイコスメの顧問弁護士を務めていたというのである。
このことは昨年2月、週刊誌が特集記事で、「ジェイコスメから月々50万円の顧問料が支払われている」と報じていた。
平成29年(2017年)9月24日に品川で開催された コンベンションでは、ジェイコスメの今後の事業計画のプレゼンが行われているが、その中で 原田氏は顧問弁護士、衆議院消費者問題に関する特別委員長として紹介されている。

原田氏が、同30年12月1日まで顧問弁護士を務めていたことが ある裁判の中で確認されており、マルチ商法被害を所管する特別委員会の委員長が、マルチ被害を広げた会社の顧問弁護士とあっては 世も末である。

ー 続 く ー


ジェイコスメのコンベンションで示された資料

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ⑤ ■ 消費者問題に関する委員長

さて、本題の原田義昭代議士とジェイコスメの密接な関係についてである。

原田氏と菅原氏の関係がいつからかははっきりしないが、平成29年(2017年)1月16日の 原田氏のブログには、菅原淳司氏のことを「友人」と紹介していることから、少なくともその前の年、平成28年(2016年)には 知り合ったものと思われる。

大阪で開催されたその日のパーティに出席するため、雪が降る中 福岡から新幹線「のぞみ」で往復したと書かれており、親密ぶりが窺える。

被害者の一人は、「ジェイコスメと言えば原田代議士、毎回参加していた。環境大臣の時は、福島の原発の視察に行った後 作業服で会場に駆けつけた。パフォーマンスもいいところ、福島の人に失礼ですよ。その後 キムタクのお母さんらと一緒にダンスを踊っていました。」と話す。


原田氏のブログ

実は、原田氏は 平成28年(2016年) 9月26日に 、マルチ商法被害など消費者問題を所管する 衆議院「消費者問題に関する特別委員​会」の 委員長に就任、衆議院が解散する 同29年(2017年)9月28日まで約1年間務めている。
その頃は ジェイコスメの売上が拡大し、被害者予備軍が急増している時期、菅原氏が消費者問題を所管する委員長に 便宜を図ってもらうために近づいていったということは容易に想像できる。

詐欺師が政治家を利用しようと近づくのは世の常、政治家の方がしっかりと見極めをしていかなければならない。
消費者の利益を擁護するはずの特別委員会、その委員長であれば 尚の事、相手がどのような商売をやっているかどうか、事前に調査した上で パーティに出席するべきだったと思われる。

ー 続 く ー

衆議院ホームページ 会議録より

 

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ④ ■ ジェイコスメを訴えた裁判

現在 全国でジェイコスメ(菅原淳司氏)を相手取って30件を超える裁判が行われているという。
そのうち4件の裁判の詳細が判った。

1つは令和2年(2020年)6月、個人が1億0130万円の貸金の返還を求めたものだ。
年40%の運用益があるという虚偽の説明によりジェイコスメの商品代金として同額を支払うも、運用益及び元金も返還されなかったことから、菅原氏と令和2年2月末までに支払う金銭貸借契約を締結したが、期限までに返済されなかった。

あとの3件は 集団訴訟で いずれも同月に提訴されている。
訴額(原告人数)はそれぞれ、約1億5000万円(22名)、3600万円(3名)、2000万円(12名)で、いずれも元金の返還を求めたものである。

原告の弁護士はそれぞれ異なるが、被告 ジェイコスメ側の弁護士は 同一の弁護士が担当している。
被告側の 主張は次の通りだ。

・当初は 1ポイント=1円 としていたが、その額は 経済の状況などで変動することがあると 契約書に書かれている。
・今回、経済の状況、ポイントを巡る規制の強化、会社の債務の増加、他社への会員移動に伴う会員数の減少による経営状況の悪化により、1ポイント=0円とし、返戻制度(ポイントの現金化)を停止した。
・返戻制度、会員サービスとして ポイントを買い取っていたが、サービスなので中止しても問題はない。

確かに、出資法違反に抵触しないように契約書類等には 「現金化」ができることは一切書かれていないが、 勧誘の際に口頭で説明され 公然の秘密だった。
菅原氏はマルチ商法の会社を渡り歩いて 経験を重ねただけあって、訴訟リスクを避けるための法的知識を身につけていた様だ。

各裁判でジェイコスメが和解案を提示しているが、とても妥協できる条件ではない。
判決が出るまでまだ時間がかかりそうだが、各裁判所がどのような判決を下すか注視していきたい。

ー 続 く ー


平成31年(2019年)1月13日、ジェイコスメの新年会に環境大臣として来賓挨拶

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ③ ■ 1人 最高2億円の被害

10万8000円で商品を購入して 1年後に金利が約23%付いて現金が戻ってくる仕組みは、冷静に考えれば おかしいと思いそうだ。
しかし、いざ自分が当事者で、周りの友人知人が実際に利益を得ているのを見て、しかも現職大臣が太鼓判を押し、熱気の中で言葉巧みに勧誘されたと想像すると、入会していたかもしれない。

ジェイコスメが右肩上がりで会員数を増やしていた平成29年(2017年)頃までは、会員が美味しい思いをしていたのも事実だ。
当初は半信半疑で始めるも 実際に利益が出たことで、次回は 家中の現金を集め、家族も説得して、数倍の額の商品を購入した会員が多い。

しかし、平成30年(2018年) を境に ジェイコスメの資金繰りが悪化し始め、翌令和元年(2019年)には返戻金の支払いが滞り始め、9月になると完全にストップしたという。

詐欺に詳しい専門家は、ジェイコスメの返戻金のカラクリは、「高配当」を謳い文句にお金を集める「ポンジスキーム」と呼ばれる手法と指摘する。
返戻金の原資は運用益ではなく、会員が再び商品を購入する代金によるもので まさに​自転車操業、会員が急増している間は支払いができるが、いずれ行き詰ることは明らかだ。

被害額は人によって様々だが、取材した中で多かったのが 50万~ 2000万円、最も多い方で 約2億円というご婦人がおられた。

現在も ジェイコスメからの支払いは完全にストップしたままだ。
しかし、会社は閉鎖しておらず FAXのみで顧客対応を続けているように装っている。

そして昨年から、損害賠償を求める集団訴訟が全国各地で起こされていることが判った。

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原田義昭代議士の事務所で語り合う 菅原代表と原田氏

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ② ■ ジェイコスメ・ジャパンとは

ジェイコスメ代表の菅原淳司氏は、昭和42年生まれ、北海道 旭川東高校から早稲田大学法学部に進学、ノエビア化粧品会社で基礎を学び、マルチ商法の外資系化粧品会社でノウハウを習得、平成23年に化粧品販売を目的にジェイ・シックスの屋号で創業、同25年から香港・タイ・台湾・シンガポールに現地法人を設立した。
今回問題になっている 「ジェイコスメ・ジャパン」はグループ会社として同26年2月に設立している。

菅原氏は、新製品の発表、事業計画の発表、成績優秀者の表彰等を行うワールドコンベンションや、パーティ、懇親会、国内外の旅行など お金に糸目を付けない豪華な催しで富裕層の心を掴むのに成功してきた。
1年に1回 東京品川のホテルで開催されるコンベンションには、辺見マリ、山本リンダ、酒井法子、千葉真一、錦野旦などが出演し 場を盛り上げたという。

平成28年には、東京のホテルにおいて、フランス大使館後援で フランス人デザイナー、エイメリック フランソワのファッションショーを開催、同29年には 韓国で ミス・コリア本選のメインスポンサー、同年 空手の最大派閥である 新極真会の全国大会のメインスポンサーを務めている。

そして、同年(2017年)6月4日に品川で開催されたコンベンションに登場し、来賓挨拶をしたのが 福岡5区選出の原田義昭代議士だった。

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来賓挨拶をする原田義昭代議士

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ① ■ 年利23%の現金還元

小泉純一郎元総理が、融資詐欺で代表らが逮捕された㈱テクノシステムの広告塔だったとの報道があったが、詐欺師が政治家や芸能人に近づき利用する例は枚挙に暇がない。
知らずに協力してしまい、被害が大きくなってから気がついて 後悔しても後の祭り。
芸能人はギャラが出て呼ばれるのだから仕方がないとしても、政治家の場合は余程慎重に行動しないと、道義的責任を問われることになる。

福岡5区の自民党現職で 前環境大臣の原田義昭氏(76)であるが、詐欺的なマルチ商法で全国に被害が広がっている化粧品会社と密接な関係だったことから、批判の声が上がっている。

平成26年設立の ㈱ジェイコスメ・ジャパン(東京都 代表者 菅原淳司氏)は、化粧品販売のマルチ商法で急成長した会社だ。



会員は、1口10万8000円で化粧品を購入すると、1pt=1円換算で、入金日の翌々月から毎月 4000pt を10か月間 付与され、10ヶ月目に 10万pt が付与される。
貯まったポイントは商品と交換することができるが、最大の特徴は 3%~5% の手数料を支払えば ポイントを現金化(返戻金と称している)が可能ということである。(但し、契約書等には表記していない。)
年利換算すると 厳密には約23%であるが、「1年で利回り4割、銀行預金より有利」と評判になり 瞬く間に広がった。

また、香港に本社を置くグループ会社 JCOSME HOLDINGS LIMITED.H.Kが発行するJGBコインという仮想通貨を 会員向けに販売するなどして売上を急伸させ、報道によると これまで会員数5万人、化粧品で300億円、仮想通貨で400億円以上を集めたという。

代表の菅原氏は、芸能人を使った派手なパーティを開催するなど、会員を増やすための宣伝費は惜しみなく使う戦略の中で、原田義昭代議士に近づいていった様だ。

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㈱ジェイコスメ・ジャパン 菅原淳司代表

衆議院会館にガサ入れ

金融機関に虚偽の書類を提出し 約11億円の融資をだまし取ったとして、今年5月に逮捕・起訴された テクノシステム(横浜市)社長の生田尚之被告は、かねてより政治家との癒着が噂されていたが、東京地検特捜部が衆議院会館に家宅捜索に入ったことで関係者に激震が走っている。

元秘書らの貸金業法違反容疑ということで報じられているが、吉田宣弘議員は ある被疑者に対する捜査と説明している。
まさかの公明党に注目が集まっているが、捜査の手が現職議員や大物の経営者らにまで及ぶのか、今後の行方を注視していきたい。


テクノシステムに贈られた花輪に政治家の名前が…

太陽光で人生狂う・テクノシステム

最近は、太陽光発電事業や 電力小売事業で 一時は成功を収めるも転落したというニュースが続いている。要因は様々だが、比較的若い経営者が多い。

東京地検に詐欺容疑で逮捕された  ㈱テクノシステムの代表者、生田尚之氏(47)も、太陽光発電事業に手を出して 人生が狂った様だ。

尚之氏の父親は、発電所や産業プラントのコンサル会社を経営した後、ものづくりの原点に立ち返りたいとして会社を売却し新会社を設立、厨房のフードサーバー等の装置を開発するなど、世界各国で50近くの特許を取得した仕事人だったという。

その父の熱意と技術を継承し 尚之氏は2009年に独立創業、当初は河川や海水の淡水化装置の開発販売を主に地道にスタート、2010年の1期目の決算では2億932万円を売り上げた。
またフードサーバーがメディアで紹介されるなどして知名度を上げ、2013年の4期目には 11億2747万円と着実に伸ばしていった。

その頃から太陽光発電事業に参入、動く金額の大きさが 感覚を麻痺させていったのではなかろうか。
2015年の6期目の決算では104億1514万円とあっさりと100億を突破、10期目となる2019年には年商約161億3900万円を計上するまで急成長を遂げた。

株式上場も目前で発覚した今回の粉飾事件、同社は間もなく東京地裁へ民事再生法の適用を申請する予定で 負債総額は150億円と言われている。

父親が築き上げたものまで一瞬で壊してしまった尚之容疑者、太陽光発電事業にさえ手を出さなければ 人生踏み間違えることはなかっただろうが、悔やんでも悔やみきれないだろう。